企業の一言説明

昭文社ホールディングスは、高品質な地図・ガイドブック出版を主力とする企業であり、現在はデジタルコンテンツや地理情報システム(GIS)サービスへと事業領域を拡大している情報・通信業において首位級の地位を確立しています。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 極めて強固な財務基盤と高い自己資本比率: Piotroski F-Scoreは6点 (A: 良好)と評価され、特に財務健全性においては3/3満点を達成しています。自己資本比率は70.7%と非常に高く、流動比率も2.53倍と盤石な財務体質が特長で、安定した経営基盤が大きな魅力です。
  • デジタル・ソリューション事業への積極的な転換と中長期的な成長期待: 伝統的な出版事業からの脱却を目指し、デジタル地図データの企画・販売、電子サービス、法人向けGIS提供など、新たな収益源の確立に注力しています。直近の四半期売上成長率が+7.90%とプラスに転じている点は、今後の成長に向けた兆しと捉えられます。
  • 収益性の課題と純利益の変動性、高水準な信用倍率: 過去12ヶ月のROEは1.89%、営業利益率は4.98%と業界平均や優良企業のベンチマークを下回っており、本業の収益化には改善の余地があります。また、過去の純利益は特別損益の影響を大きく受け変動が大きいため、安定的な利益創出が課題です。加えて、信用倍率87.0倍という高水準は、将来的な売り圧力となる可能性があり注意が必要です。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 C 伸び悩み
収益性 C 改善の余地
財務健全性 S 極めて優良
バリュエーション B 適正水準(判断分かれる)

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 531.0円
PER 96.37倍 業界平均17.6倍
PBR 0.73倍 業界平均1.6倍
配当利回り 0.93%
ROE 1.89%

1. 企業概要

昭文社ホールディングス (9475) は、1960年の創業以来、「マップル」ブランドで広く知られる地図、旅行ガイドブック、雑誌の企画・制作・出版を主軸とする企業です。紙媒体事業に加え、デジタル地図データやWebサービス、スマートフォン・アプリ、法人向けの地理情報システム(GIS) などのソリューション事業も展開し、多角的な収益モデルを構築しています。特に、全国の地図情報を網羅した膨大なコンテンツ資産と、それを活用したデジタル技術は同社の強みであり、高い参入障壁となっています。

2. 業界ポジション

国内の地図・ガイドブック出版市場において、昭文社ホールディングスは首位級の市場シェアを誇る老舗企業として確固たる地位を築いています。しかし、出版業界全体が紙媒体離れやデジタル化の進展により縮小傾向にある中、同社は事業の多角化を通じて新たな成長領域を模索しています。競合としては、より広範なデジタル地図サービスを提供する大手IT企業や、特定の旅行分野に特化した情報提供プラットフォームなどが挙げられます。同社の強みは、長年にわたる地図情報蓄積と「マップル」ブランドの認知度ですが、デジタル分野での競争は激しく、技術革新への素早い対応が求められます。
財務指標を業界平均と比較すると、PER(株価収益率)は会社予想で96.37倍であり、業界平均の17.6倍と比べて著しく高水準です。これは、足元の利益水準が低いことに起因すると考えられます。一方、PBR(株価純資産倍率)は実績で0.73倍と、業界平均の1.6倍を大きく下回っており、純資産に対して株価が割安な水準にあると言えます。

3. 経営戦略

昭文社ホールディングスは、伝統的な出版事業で培った膨大な地図情報資産を基盤としつつ、「デジタルファースト」を掲げ、事業構造の転換を進めています。中期経営計画の要点は、デジタルコンテンツとソリューション事業の強化です。具体的には、

  • オンラインサービスの拡充: 旅行情報サイト「MAPPLE Kanko Guide」やホテル予約サイト「MAPPLE Travel」の運営を通じて、旅行・レジャー分野におけるデジタル接点を強化。
  • 法人向けGIS(地理情報システム)事業の拡大: 国や地方自治体、民間企業向けに、防犯・防災、観光振興、地域マーケティング、顧客管理、物流最適化などに資するデジタル地図データやシステムの提供。
  • インバウンド需要への対応: 多言語対応の地図・ガイドブック、アプリ開発により、増加する訪日外国人観光客のニーズを取り込む戦略を推進。

最近の重要な開示として、2026年3月期の経常利益を23%上方修正している点が挙げられます。これは、収益改善への期待を高める材料となります。同社は第3四半期決算短信で、今後の販売戦略やコストコントロールを強化し、通期目標達成を目指す方針を示しています。
今後のイベントとしては、2025年3月28日配当の権利落ち日(Ex-Dividend Date)が予定されています。これは、この日以降に株式を購入した投資家は、直近の配当を受け取る権利を持たないことを意味します。

4. 財務分析

  • 【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
    Piotroski F-Scoreは、企業の収益性、財務健全性、効率性の9項目を評価し、財務品質を0~9点で数値化する手法です。昭文社ホールディングスのF-Scoreは以下の通りです。
項目 スコア 判定
総合スコア 6/9 A: 良好(全体的に健全だが一部改善余地あり)
収益性 2/3 純利益とROAはプラスだが、営業キャッシュフローのデータが不足
財務健全性 3/3 短期・長期の負債リスクが低く、株式希薄化もなし
効率性 1/3 ROEは改善が見られないものの、売上成長は堅調
**【収益性スコア 2/3 の根拠】**

過去12ヶ月の純利益は**227百万円**とプラス計上されており(1点)、総資産をどれだけ効率的に使って利益を出しているかを示すROAも**0.91%**とプラスです(1点)。しかし、営業キャッシュフローの直近12ヶ月のデータが直接提供されていなかったため、この項目は評価対象外(N/A)となりました。もし営業キャッシュフローがプラスであれば、さらにスコアは向上した可能性があります。

**【財務健全性スコア 3/3 の根拠】**

直近四半期の流動比率は**2.53倍**(253%)と、短期的な負債の返済能力を示す基準値150%を大きく上回っており高評価です(1点)。また、総負債を自己資本で割ったTotal Debt/Equity(負債資本倍率)は**3.74% (0.0374倍)**と、極めて低い水準であり、総負債が自己資本を上回る1.0倍を大きく下回るため、財務健全性は非常に高いと言えます(1点)。さらに、発行済株式数に大きな変動がなく、既存株主の持ち分が希薄化されていない点も評価されました(1点)。

**【効率性スコア 1/3 の根拠】**

過去12ヶ月の営業利益率(**4.98%**)は、前年(2024年3月期**6.82%**)と比較して悪化傾向にあり、利益を生み出す効率が低下していると評価されました(0点)。同様に、株主資本利益率(ROE)も過去12ヶ月で**1.89%**と、前年(2024年3月期**15.27%**)から大幅に悪化しており、株主資本の運用効率の改善が課題です(0点)。しかし、売上高は直近四半期で前年比**+7.90%**とプラス成長を達成しており、これは事業規模が拡大していることを示唆し、効率性スコアに1点加点されました。
  • 【収益性】営業利益率、ROE、ROA
    • 営業利益率 (過去12か月): 4.98% (2025年3月期実績: 3.02%)
      一般的な目安である10%を下回っており、本業での収益力には改善の余地があります。デジタルシフトを加速し、事業ポートフォリオを改善することで、より高い利益率を目指すことが求められます。
    • ROE (過去12か月): 1.89% (2025年3月期実績: 4.21%)
      株主資本をどれだけ効率的に使って利益を出したかを示すROEは、優良企業の目安とされる10%を大きく下回っています。これは、株主から預かった資本を十分に活用できていないことを示唆しており、株主価値向上に向けた具体的な施策が期待されます。2024年3月期に15.27%を達成していますが、これは主に投資有価証券売却益などの特別利益によるもので、本業の収益力によるものではない点に留意が必要です。
    • ROA (過去12か月): 0.91%
      総資産に対する利益率であるROAも、目安とされる5%に比べて低く、資産全体の効率的な運用が課題となっています。
  • 【財務健全性】自己資本比率、流動比率
    • 自己資本比率 (2025年3月期): 70.7%
      総資産に対する自己資本(返済不要な資金)の割合で、70.7%という数値は非常に高く、財務基盤が極めて安定しており、倒産リスクが低いことを示します。借入依存度が低く、外部環境の変化にも強い抵抗力を持っています。
    • 流動比率 (直近四半期): 2.53倍 (253%)
      短期的な支払能力を示す指標で、目安とされる200%以上を大きく上回っています。これは、現金や売掛金などの流動資産が、買掛金などの流動負債を大きく上回っていることを意味し、短期的な資金繰りに全く問題がない、潤沢な手元資金があることを示します。
  • 【キャッシュフロー】営業CF、FCFの状況
    • 営業CF (2025年3月期): 700百万円
      本業で稼ぐ現金の流れを示す営業キャッシュフローは、2025年3月期に700百万円と安定してプラスを維持しており、健全な事業活動が行われていることを裏付けています。
    • FCF (フリーキャッシュフロー) (2025年3月期): 421百万円
      企業が自由に使えるお金を示すフリーキャッシュフローも421百万円とプラスであり、事業の新規投資や株主還元、借入金の返済などに充当できる十分な余力があることを示します。
  • 【利益の質】営業CF/純利益比率
    • 営業CF (2025年3月期) / 純利益 (過去12ヶ月): 700百万円 / 247百万円 = 2.83倍
      この比率は、会計上の利益(純利益)が実際にどれだけ現金として伴っているかを示します。1.0以上が健全とされており、同社の2.83倍という数値は、利益の質が極めて高いことを示しています。つまり、会計上の数字だけでなく、実際の現金も伴った優良な利益であると評価できます。
  • 【四半期進捗】通期予想に対する進捗率、直近3四半期の売上高・営業利益の推移
    • 2026年3月期 通期予想に対する第3四半期累計の進捗率:
    • 売上高: 65.7%
    • 営業利益: 4.4%
    • 経常利益: 51.5%
    • 親会社株主に帰属する四半期純利益: 100.7%
      売上高と経常利益の進捗は概ね順調ですが、営業利益の進捗率が極めて低いため、通期目標の達成には残りの四半期で大幅な改善が必要です。一方、純利益は既に通期予想を上回っていますが、これは前年同期にあった特別利益が今期はない一方で、今期に少額の特別損失があったこと(投資有価証券評価損11.4百万円)を加味しても、通期予想が保守的であった可能性も示唆されます。
    • 直近の売上高・営業利益の推移(年度別):
Breakdown 過去12か月 3/31/2025 3/31/2024 3/31/2023
Total Revenue (百万円) 6,345 6,257 6,410 5,553
Operating Income (百万円) 237 189 438 132
    売上高は2023年3月期から回復傾向にありましたが、2024年3月期をピークに微減から横ばい傾向です。営業利益は2024年3月期から減少しており、変動が大きい点が認められます。これは、事業ポートフォリオの変化や特定プロジェクトの成否が影響している可能性があります。

5. 株価分析

  • 【バリュエーション】PER/PBR
    • PER (会社予想): 96.37倍
      PERは株価が1株当たり利益の何倍かを示し、業界平均は17.6倍です。同社のPERがこれほど高い理由は、足元の1株当たり利益(EPS)の会社予想が5.51円と低水準のためです。利益が低い銘柄ではPERが高くなりやすい傾向があり、市場の期待収益率が高いか、あるいは利益の質が一時的に悪化している可能性を考慮する必要があります。この数値だけを見ると、株価は収益性に対して著しく割高と判断されます。
    • PBR (実績): 0.73倍
      PBRは株価が1株当たり純資産の何倍かを示し、業界平均は1.6倍です。同社のPBRが0.73倍であることは、株価が1株当たり純資産(解散価値)を下回っていることを意味し、純資産に対して割安であると判断できます。特にPBRが1倍を下回る企業は、市場が企業の資産価値を十分に評価していない、あるいは収益力を評価していない可能性を示唆します。
    • バリュエーション総括: PERは著しく割高である一方でPBRは割安という、評価が分かれる状況です。これは、同社が潤沢な資産を持ちながらも、足元の収益性が低いこと、特に純利益が特別損益に左右されやすい構造であることが背景にあると推測されます。投資家によっては、PBRの割安さを重視するバリュー投資家と、低いPERからは避ける成長投資家で評価が異なるでしょう。
  • 【テクニカルシグナル】
指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: 9.82 / シグナル値: 11.4 MACD値がシグナル値を下回っており、短期的な下降トレンドまたは調整局面にある可能性を示唆。
RSI 中立 53.6% RSIは中立圏(30~70%)にあり、買われすぎでも売られすぎでもない状態。
5日線乖離率 -1.67% 直近の株価が短期移動平均線をわずかに下回っており、短期的にはやや軟調なモメンタム。
25日線乖離率 +0.72% 株価が短期トレンドの基準となる25日移動平均線をわずかに上回っている。
75日線乖離率 +8.25% 中期トレンドの基準となる75日移動平均線を株価が大きく上回っており、中期的な上昇トレンドを示唆。
200日線乖離率 +19.84% 長期トレンドの基準となる200日移動平均線を株価が大きく上回っており、長期的な上昇トレンドが継続中。
  • 【テクニカル】52週高値・安値との位置、移動平均線との関係
    現在の株価531.0円は、52週高値560.0円に対して約5%低い位置にあり、52週安値380.0円からは約40%高い位置で推移しています。52週レンジ内における現在の価格の位置は83.9%であり、比較的高値圏で取引されていることを示しています。
    移動平均線を見ると、現在の株価は25日、75日、200日移動平均線を全て上回っています。特に、75日線および200日線との乖離率が高いことから、中長期的な上昇トレンドが継続していると判断できます。一方、5日移動平均線は下回っており、短期的な調整局面にある可能性がありますが、主要な長期トレンドラインを維持しているため、基調は強いと考えられます。
  • 【市場比較】日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス
    • 日経平均比:
    • 1ヶ月リターン: 株式+1.34% vs 日経平均+1.64%0.31%ポイント下回る
    • 3ヶ月リターン: 株式+18.53% vs 日経平均+12.81%5.71%ポイント上回る
    • 6ヶ月リターン: 株式+26.43% vs 日経平均+30.81%4.38%ポイント下回る
    • 1年リターン: 株式+36.15% vs 日経平均+43.44%7.28%ポイント下回る
    • TOPIX比:
    • 1ヶ月リターン: 株式+1.34% vs TOPIX+1.95%0.62%ポイント下回る
    • 3ヶ月リターン: 株式+18.53% vs TOPIX+11.34%7.18%ポイント上回る
      直近3ヶ月間では、同社の株価は日経平均およびTOPIXを上回るアウトパフォーマンスを示していますが、それ以外の期間では市場平均を下回るパフォーマンスとなっています。これは、直近の業績上方修正などが好感された可能性がありますが、中長期的な市場との比較では、まだ優位性を確立するには至っていません。

6. リスク評価

  • 【注意事項】
    • ⚠️ 信用倍率が87.0倍と非常に高い水準です。これは、将来的に信用取引の買い残が整理される際に、株価の売り圧力となる可能性があるため、注意深く推移を見守る必要があります。
    • ⚠️ PBRが1倍を下回る一方で、現状のPERが異常に高い(96.37倍)という状況は、バリュートラップ(割安に見えても本質的な価値が低い、あるいは成長期待が低い)の可能性を示唆しており、投資検討時には特に慎重な分析が求められます。
  • 【定量リスク】ベータ値、ボラティリティ、最大ドローダウン
    • ベータ値 (5Y Monthly): 0.20
      市場全体の変動(例: 日経平均)に対して、同社株価がどれだけ感応するかを示します。0.20という数値は、市場が1%変動した場合に同社株価は約0.2%しか変動しないことを意味し、市場の影響を受けにくいディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
    • 年間ボラティリティ: 21.66%
      同社株価の年間を通じた変動の大きさを示します。この数値から、仮に100万円投資した場合、年間で±21.66万円程度の変動が想定されることを意味します。
    • 最大ドローダウン: -39.29%
      過去のある期間において、株価が最も高かった時点から最も低かった時点までにどれくらい下落したか(最大下落率)を示します。同社株価の過去最悪の下落率は-39.29%であり、これは100万円投資した場合、最大で39.29万円程度の損失を被るリスクが過去にあったことを意味します。今後も同様の下落が起こりうる可能性を念頭に置く必要があります。
    • シャープレシオ: -0.71
      投資のリスクに見合うリターンが得られたかを示す指標です。-0.71という数値は、リスクを取ったにもかかわらず、リスクの少ない投資(例えば国債)よりも低いリターンしか得られていないことを示唆しており、過去のリターン効率は低い状態です。
  • 【事業リスク】
    • 出版市場の縮小圧力とデジタル事業の収益化: 主力である紙媒体の出版事業は構造的な市場縮小傾向が続いており、デジタルコンテンツやソリューション事業への転換が計画通りに進まない場合、売上高や利益の成長が鈍化する可能性があります。デジタル事業の収益貢献を加速させることが急務です。
    • 特別損益への依存と本業収益の不安定性: 過去の純利益は投資有価証券売却益などの特別利益に大きく左右される傾向があり、本業の営業利益だけでは安定した純利益を確保しきれていない点が課題です。特別損益は一時的な要素が強く、安定的な企業価値向上には本業の収益基盤強化が不可欠です。
    • 競合環境の変化と技術投資の必要性: 地図情報や旅行情報サービス分野では、Googleなどの巨大IT企業やスタートアップ企業による新たな技術を活用したサービスが次々と登場しており、競争が激化しています。同社が競争優位性を維持し、顧客ニーズに応え続けるためには、継続的な技術投資と迅速なサービス開発が求められます。

7. 市場センチメント

信用取引状況を見ると、信用買残が17,400株、信用売残が200株となっており、信用倍率は87.00倍と非常に高い水準です。これは、個人投資家を中心に将来的な株価上昇を期待した買いが先行している可能性を示唆しています。しかし、信用倍率が高すぎると、買い残が将来的な売り圧力となるリスクも高まります。主要株主は、親会社の役割を果たすエムティーアイが29.65%、(株)MSEが18.86%、代表者である黒田茂夫氏が10.29%と、特定株主による保有比率が高い構造です。ニュース動向は、2026年3月期の経常利益上方修正などが報じられ、全体的にポジティブなセンチメントが醸成されている可能性があります。

8. 株主還元

同社の配当政策は、2022年3月期までは配当実績がありませんでしたが、2024年3月期から年間5.00円の配当を再開しました。しかし、2026年3月期の通期予想では1株当たり配当がとなっており、決算短信には期末配当が未定と記載されています。過去12ヶ月の配当利回りは0.93%と、市場全体や同業他社と比較して低水準です。配当性向は過去12ヶ月で40.03%、2026年3月期予想では16.8%となっていますが、通期予想純利益が100百万円、1株当たり純利益が5.51円と低いため、安定的な配当維持には収益性改善が不可欠です。現状、自社株買いに関するデータは提供されていません。

SWOT分析

強み

  • 「マップル」ブランドに代表される高い市場認知度と信頼性、長年の事業活動で蓄積された膨大な地図情報コンテンツという独自資産。
  • 自己資本比率70.7%、流動比率2.53倍という極めて強固な財務体質。負債比率が低く、潤沢な現預金を保有しており、リスク耐性が非常に高い。

弱み

  • 伝統的な出版事業が市場縮小傾向にあり、デジタル・ソリューション事業も現時点では収益貢献が不十分で、ROE 1.89%という低い収益性。
  • 純利益が投資有価証券売却益などの特別損益に大きく左右される不安定な収益構造。本業の営業利益の成長が純利益に直結しにくい。

機会

  • 国内およびインバウンド旅行需要の回復に伴う、旅行ガイドブック、多言語情報、旅行予約サービスの需要拡大。
  • 企業や自治体におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進により、GIS(地理情報システム)やデジタル地図データの活用ニーズが拡大。

脅威

  • Google Mapsなどの巨大IT企業が提供する無料地図・情報サービスとの激しい競争、および新たなテクノロジーを利用した競合の台頭。
  • 紙媒体の出版物に対する需要の継続的な低下、特にデジタルネイティブ世代の台頭による若年層の行動様式の変化。

この銘柄が向いている投資家

  • 長期的な視点で企業の変革と成長に期待する投資家: 伝統的なビジネスモデルからデジタル・ソリューションへの転換期にあり、時間をかけてその成果が表れるのを待てる忍耐力のある投資家。企業の再編や事業構造転換のニュースをポジティブに評価できるタイプ。
  • 安定した財務基盤を最優先する投資家: 極めて高い自己資本比率と潤沢な手元資金を評価し、不況時や市場変動リスクに対して強い企業を好む投資家。企業の財務安定性を投資判断の重要な要素と考えるタイプ。
  • PBR1倍割れに着目するバリュー投資家: 純資産に対して株価が割安である現状に価値を見いだし、将来的な企業価値向上や株主還元強化(例えばPBR改善策)を期待できる投資家。資産価値に裏打ちされた投資を好むタイプ。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 低い収益性に対する具体的な改善策とその進捗: 現在の低いROEや営業利益率が、デジタルシフト戦略によってどれだけ改善されるか、具体的な施策と業績の推移を注意深く確認する必要があります。特に、本業の領域で持続的に利益を生み出す力が向上しているかを重視すべきです。
  • 信用倍率の高水準と将来的な需給悪化リスク: 高い信用倍率は、将来的に信用取引の買い残が清算される際に、一時的に株価の売り圧力となる可能性があります。短期的な株価変動リスクに注意し、自身の投資期間と照らし合わせて検討することが重要です。

今後ウォッチすべき指標

  • デジタル・ソリューション事業の売上高構成比率と営業利益率: 本業の収益源が紙媒体からデジタルへ移行し、それが利益率改善に貢献しているかを確認する。目標としては、デジタル事業の売上高比率が年率10%以上で成長し、同事業の営業利益率が全体目標である10%に到達すること。
  • ROEの持続的な改善: 株主資本を効率的に活用し、株主価値の創造が進んでいるか。特別損益に頼らない本業ベースでのROEの5%以上への改善を中期的な目標として注視すべきでしょう。

10. 企業スコア

  • 成長性: C (伸び悩み)
    直近四半期の売上高成長率が+7.90%とプラスに転じている点は評価できますが、通期予想に対する第3四半期累計の営業利益進捗率が4.4%と極めて低く、依然として収益成長のモメンタムが本業で確立されているとは言い難い状況です。また、過去の売上高の推移も安定的な高成長を示しているわけではないため、持続的な成長性の点で課題があり、C評価と判断しました。
  • 収益性: C (改善の余地)
    過去12ヶ月のROEは1.89%、営業利益率は4.98%と、いずれも優良企業の目安とされる水準(ROE 10%以上、営業利益率 10%以上)を大幅に下回っています。特にROEは2024年3月期の15.27%から大きく低下しており、これは前期の特別利益剥落の影響が大きいとはいえ、本業での収益力の低さが露呈しています。株主資本や総資産の活用効率に改善が求められるため、C評価としました。
  • 財務健全性: S (極めて優良)
    自己資本比率は70.7%と非常に高く、流動比率も2.53倍(253%)と短期的な支払能力に優れています。Piotroski F-Scoreの財務健全性に関する3項目全てで満点を獲得しており、負債依存度が極めて低い強固な財務体質を誇ります。これは、外部環境の変化や事業投資において大きな安定性をもたらすため、最高評価のSとしました。
  • 株価バリュエーション: B (適正水準(判断分かれる))
    PBRが0.73倍と業界平均(1.6倍)を大きく下回っており、純資産に対する割安感があります。これはPBR1倍割れという点で、バリュー投資家には魅力的に映る可能性があります。しかし、PERが会社予想で96.37倍と業界平均(17.6倍)を大幅に上回っており、足元の低い収益性から見ると株価は割高です。PBRの割安さとPERの割高さの両面を考慮し、バランスを取ってB評価としました。ただし、純資産は豊富でも収益性が低ければ、市場評価は上がりにくい「バリュートラップ」の可能性も考慮が必要です。

企業情報

銘柄コード 9475
企業名 昭文社ホールディングス
URL https://www.mapple.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 531円
EPS(1株利益) 5.51円
年間配当 5.00円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 23.8% 46.0倍 737円 8.2%
標準 18.3% 40.0倍 511円 0.8%
悲観 11.0% 34.0倍 315円 -8.0%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 531円

目標年率 理論株価 判定
15% 275円 △ 93%割高
10% 344円 △ 55%割高
5% 433円 △ 22%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
ゼンリン 9474 1,006 576 19.19 1.11 6.0 4.17
スターツ出版 7849 3,940 151 10.08 1.40 13.9 3.29
SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ 9478 465 75 16.84 0.66 4.9 0.86

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.31)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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