企業の一言説明
ジャノメは、家庭用ミシン事業で国内最大手の地位を確立しつつ、工業用ミシン技術を応用した卓上ロボット、サーボプレス、ダイカストなどの産業機器やIT関連事業を展開する多角化企業です。
投資判断のための3つのキーポイント
- 高い財務健全性: 自己資本比率は69.6%と極めて高く、流動比率も3.83倍と非常に安定しており、Piotroski F-Scoreは6点(A: 良好)と、強固な財務基盤を誇ります。
- 事業多角化によるリスク分散と成長機会: 家庭用ミシン事業で培った精密技術を活かし、産業機器やIT関連事業へと展開。特に産業機器事業は売上高の成長が著しく、新たな収益源としての期待が持てます。
- 利益の変動性とバリュエーションの歪み: 足元の業績は下方修正されており、通期予想純利益に基づくPERは128.04倍と極めて割高に見えますが、これは特別損失の計上や事業環境の厳しさによる一時的な利益の圧迫が原因と考えられます。一方、PBRは0.72倍と業界平均より割安で、PBR基準の目標株価とは大きな乖離があり、バリュエーションの判断が難しい状況です。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | C | やや不安 |
| 収益性 | B | 普通 |
| 財務健全性 | S | 優良 |
| バリュエーション | D | 懸念 |
※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 1,432.0円 | – |
| PER | 128.04倍 | 業界平均16.6倍 |
| PBR | 0.72倍 | 業界平均1.4倍 |
| 配当利回り | 3.84% | – |
| ROE | 5.22% | – |
1. 企業概要
ジャノメは1921年創業の老舗メーカーで、家庭用ミシン事業で国内最大手の地位を確立しています。その精密機械技術を応用し、卓上ロボット、サーボプレスなどの産業機器事業、およびソフトウェア開発・システム運用受託を行うIT関連事業へと多角化を進めています。主力製品は多様な家庭用ミシンに加え、工場自動化を支える産業用組立機器や、金属加工技術を活かしたダイカスト製品などがあり、これらの事業が収益の柱となっています。長年にわたる技術蓄積とブランド力、グローバルな販売・サービスネットワークが同社の技術的独自性と参入障壁を形成しています。
2. 業界ポジション
ジャノメは家庭用ミシン市場において国内で圧倒的なシェアを誇る最大手であり、グローバル市場でも主要なプレイヤーの一つです。競合としてはブラザー工業などが挙げられますが、ジャノメはミシン専業メーカーとしてのブランド力と技術力が強みです。一方、産業機器市場ではニッチなBtoB領域に特化し、特定の工程における高精度なソリューションを提供することで存在感を示しています。業界平均と比較すると、ジャノメのPERは128.04倍(業界平均16.6倍)と極めて高く、一見割高に見えるものの、PBRは0.72倍(業界平均1.4倍)と割安感があり、資本効率改善の余地が大きいことを示唆しています。これは、足元の利益水準が一時的に低迷していることによるバリュエーションの歪みと解釈できます。
3. 経営戦略
ジャノメは、既存事業の強化と新規事業の育成を通じて持続的な成長を目指しています。2026年3月期第2四半期の決算説明資料によると、収益環境の厳しさを背景に、通期業績予想を大幅に下方修正しましたが、資本効率と株主還元を重視する方針は維持しています。具体的には、家庭用機器事業では下期に新製品投入とデジタル販促を強化し逆転を図り、産業機器事業では卓上ロボット新シリーズ「JR4000」などを通じて装置化・付加価値化を推進しています。また、ダイカスト部門では価格改定と原価低減を強力に実行することで収益改善を目指しています。
資本効率向上のため、非事業資産の売却や15億円規模の自己株式取得(取得期間: 2025年11月17日~2026年11月16日)を実施しており、株主還元への意識の高さが伺えます。
今後の重要なイベントとしては、2026年3月30日に配当の権利落ち日(Ex-Dividend Date)が予定されています。
4. 財務分析
ジャノメの財務状況は、全体として高い健全性を維持しつつも、収益性には課題が見られます。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 6/9 | A: 良好 |
| 収益性 | 2/3 | 純利益とROAがプラス |
| 財務健全性 | 3/3 | 極めて高い流動性、負債比率も低く健全 |
| 効率性 | 1/3 | 営業利益率とROEが低く改善が必要 |
Piotroski F-Scoreの総合スコアは6点/9点であり、「良好」と評価できます。これは、企業の財務体質が比較的健全であることを示しています。特に「財務健全性」のカテゴリーでは、3点/3点を獲得しており、流動比率(3.83倍)が極めて高く、自己資本比率(69.6%)も非常に優れているため、短期・長期ともに安定した資金繰りにあることが示されています。負債も少なく、株式の希薄化も発生していないことから、倒産リスクは低いと言えるでしょう。一方、「収益性」は2点/3点、「効率性」は1点/3点と評価され、純利益とROAはプラスであるものの、営業キャッシュフローのデータが不足している点、また営業利益率(6.17%)とROE(1.96%)が低水準である点が改善点として挙げられます。特にROEが10%を下回っていることは、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す能力に課題があることを示唆しています。
【収益性】営業利益率、ROE、ROA
- 営業利益率(過去12か月): 6.17%
- ベンチマーク(一般的な目安): 5-10%以上
- 直近12ヶ月の営業利益率は6.17%で、収益力は平均的と言えます。しかし、過去の変動を見ると、2022年3月期は8.53%、2024年3月期は4.7%と変動が大きく、安定性には課題があります。2026年3月期通期予想では営業利益が大幅に下方修正されており、利益率のさらなる低下が懸念されます。
- ROE(実績): 5.22%(過去12ヶ月: 1.96%)
- ベンチマーク:10%以上
- ジャノメの実績ROEは5.22%であり、株主資本を効率良く活用して利益を生み出す能力は業界平均と比較しても低い水準にあります。過去12ヶ月のROEはさらに低く1.96%となっており、資本効率の改善が喫緊の課題であることが示唆されます。
- ROA(過去12か月): 2.33%
- ベンチマーク:5%以上
- 総資産に対する利益率であるROAも2.33%と、ベンチマークの5%を下回っており、企業全体の資産を活用して利益を生み出す効率性が低いことを示しています。
【財務健全性】自己資本比率、流動比率
- 自己資本比率(実績): 69.6%
- ベンチマーク:40-50%以上
- 自己資本比率は69.6%と非常に高く、財務体質が極めて安定しており、負債への依存度が低い強固な経営基盤を持っています。これは外部環境の変化や不測の事態にも耐えうる体力があることを示しています。
- 流動比率(直近四半期): 3.83倍
- ベンチマーク:200%(2倍)以上
- 流動比率は3.83倍(383%)と、短期的な支払い能力を示す健全性基準を大きく上回っています。これは、短期債務を充足するのに十分な流動資産を保有しており、資金繰りに余裕があることを示唆しています。
【キャッシュフロー】営業CF、FCFの状況
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | フリーCF |
|---|---|---|---|
| 2023.03 | 3,361百万円 | -523百万円 | 2,838百万円 |
| 2024.03 | 2,068百万円 | 230百万円 | 2,298百万円 |
| 2025.03 | 2,625百万円 | -373百万円 | 2,252百万円 |
過去3期にわたり、営業キャッシュフローは一貫してプラスを維持しており、本業で安定的に現金を創出できていることを示します。フリーキャッシュフローも継続してプラスであり、事業活動から得られた資金で投資活動を行ってもなお余剰資金が生み出されており、財務的な健全性が高いと言えます。これは、将来の成長のための投資や株主還元を行うための余力があることを意味します。直近の現金等残高も79億5,000万円と潤沢です。
【利益の質】営業CF/純利益比率
- 営業CF(過去12か月):29億(EBITDAベースからの推測、または損益計算書のOperating Income 1,725百万を参考に)
- 純利益(過去12か月): 6億5,600万円
- 営業CF/純利益比率: 提供されたデータから正確な営業CFの値が不明ですが、損益計算書上のOperating Incomeを参考にすると、おおよそ1.725億円 / 0.656億円 = 約2.6倍となります(正確な営業CF値が得られれば変動)。これは、純利益以上に営業活動でキャッシュを創出できている可能性が高く、「利益の質」は健全であると考えられます。ベンチマークの1.0以上を大きく上回る場合、会計上の利益操作による水増しリスクが低いことを示します。
【四半期進捗】通期予想に対する進捗率、直近3四半期の売上高・営業利益の推移
2026年3月期の第3四半期累計(12月31日時点)の進捗状況は以下の通りです。
- 売上高: 28,496百万円(通期予想35,000百万円に対する進捗率: 81.4%)
- 営業利益: 1,084百万円(通期予想1,300百万円に対する進捗率: 83.4%)
- 親会社株主に帰属する四半期純利益: 297百万円(通期予想200百万円に対する進捗率: 148.5%)
売上高と営業利益の進捗は順調に見えますが、注目すべきは純利益の進捗率がすでに通期予想を大幅に超過している点です。これは、通期予想の純利益200百万円が保守的であるか、あるいは第4四半期に大きな特別損益が発生しない限り、通期目標の上振れが期待できる可能性を示唆しています。ただし、第3四半期単体では特別損失398百万円(主に減損損失)を計上しており、これが純利益を圧迫している要因となっています。
事業別に見ると、家庭用機器事業の営業利益が前年同期比で△15.2%と減少している一方、産業機器事業は売上が+24.5%と大きく伸びているものの、営業損失が拡大しています。IT関連事業は売上+11.7%、営業利益+28.2%と好調を維持しており、事業ポートフォリオの変化が見られます。
【バリュエーション】PER/PBR(業界平均比較、割安/適正/割高の判定)
- PER(会社予想): (連)128.04倍
- PBR(実績): (連)0.72倍
- 業界平均PER: 16.6倍
- 業界平均PBR: 1.4倍
ジャノメのバリュエーションは、PERとPBRで相反する評価となっています。 PERは会社予想EPS11.20円(最新業績推移データでは11.7円)に対して現在の株価が1,432.0円であるため、128.04倍と極めて高い水準にあります。これは業界平均PERの16.6倍と比較すると著しく割高であり、事業利益の急激な回復または将来的な成長を織り込んでいると解釈できますが、現状の数字だけを見ると「割高」と判断せざるを得ません。この高PERは、直近の純利益が大幅に下方修正されたことで、一時的にEPSが極端に低くなっていることが大きな要因です。
一方、PBRは0.72倍と業界平均PBRの1.4倍を下回っており、「割安」と評価できます。これは、企業の持つ純資産(解散価値)に対して株価が低く評価されている状態です。PBRは「0.72倍」であるため、株式を全て取得して会社を解散すれば、理論上は純資産を上回る価値が株主に還元されることになります。このPERとPBRの大きな乖離は、足元の利益水準が一時的なものであり、企業の潜在的な価値(資産価値)が株価に十分に反映されていない可能性を示唆していると言えるでしょう。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | MACD値: 44.2 / シグナル値: 52.82 | 短期トレンド方向を示す |
| RSI | 中立 | 58.1% | 70以上=過熱、30以下=売られすぎ |
| 5日線乖離率 | – | +0.70% | 直近のモメンタム |
| 25日線乖離率 | – | +4.22% | 短期トレンドからの乖離 |
| 75日線乖離率 | – | +15.75% | 中期トレンドからの乖離 |
| 200日線乖離率 | – | +21.43% | 長期トレンドからの乖離 |
MACDは中立状態にあり、明確なトレンド転換シグナルは出ていませんが、MACD値がシグナル値を下回っているため、短期的な勢いはやや下降気味です。RSIは58.1%と買われすぎでも売られすぎでもない中立域にあります。しかし、株価は5日移動平均線に対して+0.70%、25日線に対して+4.22%、75日線に対して+15.75%、200日線に対して+21.43%と、全ての移動平均線を上回って推移しており、中長期的な上昇トレンドが継続していることを示しています。
【テクニカル】52週高値・安値との位置、移動平均線との関係
現在の株価1,432.0円は、52週高値1,483円と52週安値914円のレンジ内で、高値圏(レンジ内位置91.0%)にあります。全ての移動平均線(5日、25日、75日、200日)を上回って推移しており、テクニカル的には強い地合いを示しています。特に200日移動平均線を大きく上回っていることは、長期的な視点で見ても上昇基調が続いていることを示唆します。直近1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年間の株価リターンはそれぞれ+16.05%、+25.07%、+24.31%、+39.16%と堅調に推移しています。
【市場比較】日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス
ジャノメの株価パフォーマンスは、直近1ヶ月および3ヶ月では日経平均株価やTOPIXを大きくアウトパフォームしています。
- 1ヶ月: ジャノメ+16.05% vs 日経平均+0.80% (15.25%ポイント上回る)
- 3ヶ月: ジャノメ+25.07% vs 日経平均+8.79% (16.27%ポイント上回る)
一方、6ヶ月および1年といった中長期で見ると、日経平均やTOPIXの上昇率がさらに大きかったため、ジャノメはやや下回る結果となっています。
- 6ヶ月: ジャノメ+24.31% vs 日経平均+26.99% (2.68%ポイント下回る)
- 1年: ジャノメ+39.16% vs 日経平均+42.23% (3.06%ポイント下回る)
これは、年初来の市場全体の好調な地合いの中で、ジャノメも上昇トレンドに乗っているものの、市場全体を牽引するほどの勢いではないことを示唆していますが、直近では力強い動きを見せています。
【定量リスク】ベータ値、ボラティリティ、最大ドローダウン
- ベータ値(5Y Monthly): 0.32
- ベータ値0.32は、市場全体の動きに対して株価の変動が小さいことを意味します。市場が1%変動した場合、ジャノメの株価は約0.32%変動すると推測され、市場に比べて比較的安定した値動きをするディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
- 年間ボラティリティ: 29.29%
- 年間ボラティリティは29.29%と、比較的高い水準です。これは年間で平均してこの程度の価格変動があり得ることを示唆しています。
- 最大ドローダウン: -61.20%
- 過去の最大ドローダウンは-61.20%です。仮に100万円を投資した場合、年間で±29.29万円程度の変動が想定され、過去には61.2万円も資産が減少した局面があったことを意味します。この程度の価格下落は今後も起こりうる点に留意が必要です。
- シャープレシオ: -1.00
- シャープレシオは-1.00であり、リスクに見合ったリターンが得られていないことを示しています。これは、過去の低迷期を含めた計算のためで、足元のパフォーマンスが良い状況とは乖離がある可能性もありますが、歴史的に見るとリスク対比リターンが低い期間があったことを示唆します。
【事業リスク】
- 為替変動リスク: ジャノメはグローバルに事業を展開しており、特に米ドル/円などの為替レートの変動は、海外事業の収益、原材料調達コスト、販売価格に大きな影響を与えます。決算説明資料でも主要なリスク要因として言及されています。
- 原材料・物流コストの上昇: 世界的な原材料価格の高騰や物流コストの増加は、製品の原価を押し上げ、利益率を圧迫する可能性があります。ダイカスト部門の原価改善遅延も指摘されており、コストコントロールの成否が収益性を左右します。
- 市場競争と需要の変動: 家庭用ミシン事業では、少子化や趣味の多様化により国内市場の縮小傾向があります。また、欧州やアジアにおける家庭用機器の販売台数減少が課題として挙げられており、世界的な需要変動や競合他社との価格競争が収益に影響を及ぼす可能性があります。産業機器事業においても、景気変動による設備投資の抑制は需要減につながります。米国相互関税の適用とその価格転嫁の成否もリスク要因です。
信用取引状況
- 信用買残: 69,700株
- 信用売残: 31,600株
- 信用倍率: 2.21倍
信用倍率2.21倍は、信用買いが信用売りをやや上回っている状態ですが、一般的に将来の売り圧力を示す「信用倍率が4倍以上」のような水準ではないため、過度な懸念は不要と判断できます。過去週比で信用買残は減少し、信用売残は増加しており、需給バランスはやや改善傾向にあると言えます。
主要株主構成
| 株主名 | 保有割合 | 保有株式数 |
|---|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.00% | 1,991,100 |
| MM Investments(株) | 9.34% | 1,690,600 |
| 大栄不動産 | 8.49% | 1,537,411 |
上位株主は、信託銀行や金融機関、および事業に関連する企業が名を連ねています。機関投資家や安定株主が多い構造は、株価の安定性につながる可能性があります。インサイダー保有比率が26.54%、機関投資家保有比率が17.41%であることから、経営陣や主要株主が一定の株式を保有しており、経営陣と株主の利害が一致しやすい環境にあると考えられます。
配当利回り、配当性向
- 配当利回り(会社予想): 3.84%
- 現在の株価1,432.0円に対し、予想年間配当金55.00円は魅力的な利回り水準です。
- 配当性向(過去12か月): 137.74%
- 配当性向137.74%は、利益の100%を超えて配当を支払っていることを意味し、利益以上に配当を支払っている非常に高い水準です。これは、直近の純利益が低迷しているにもかかわらず、株主還元への意欲を強く示すものです。ただし、この高い配当性向は持続可能な水準ではなく、今後利益が回復しない場合は減配リスクをはらむことに留意が必要です。Yahoo Japanのデータでは予想配当性向40.5%とありますが、これは来期予想EPS98.86円(実績ではなく予想値)に対する計算であり、足元の実績であるEPS32.68円(過去12ヶ月)や会社予想EPS11.7円に対する配当55円では、依然として高水準となります。企業は安定配当を重視する方針であり、財務健全性が高いため、一時的な利益変動に左右されにくい体力があると考えられますが、将来の利益回復が重要な鍵となります。
自社株買いの状況
- 15億円を上限とする自己株式取得枠を設定しています(取得期間: 2025年11月17日~2026年11月16日)。
- 自己株式取得は、発行済み株式数を減らすことで1株あたりの価値を高め、資本効率改善や株価上昇を支援する株主還元策です。配当と合わせて、株主還元への積極的な姿勢が伺えます。
SWOT分析
強み
- 強固な財務基盤: 自己資本比率69.6%、流動比率3.83倍と極めて高く、Piotroski F-Scoreも6点(A)で高い財務健全性を誇ります。
- 技術力と多角化: 家庭用ミシンで培った精密技術を産業機器やIT関連事業へ応用し、事業ポートフォリオのリスク分散と新たな成長機会を創出しています。
弱み
- 低い収益性: ROE5.22%、ROA2.33%と資本効率が悪く、営業利益率も平均水準にとどまり、利益創出力に課題があります。
- 利益の変動性と下方修正: 足元の業績は度々下方修正されており、特に純利益は不安定で、通期予想PERが128.04倍と高水準であるため、投資判断を複雑にしています。
機会
- 産業機器事業の成長: 卓上ロボット新シリーズ投入など、成長が見込まれる工場自動化関連需要の獲得により、新たな収益柱を確立する可能性があります。
- 資本効率改善による評価向上: 非事業資産売却や自己株式取得など、PBR0.72倍の改善に向けた取り組みは、株主還元強化とともに、市場からの再評価につながる可能性があります。
脅威
- 変動する外部環境: 為替変動、原材料・物流コスト上昇、米国相互関税適用など、グローバルな外部環境の変化が業績に直接影響を及ぼすリスクがあります。
- 特定部門の収益性悪化: 家庭用機器事業の販売減少やダイカスト部門の原価改善遅延が収益を圧迫し、全体業績の足を引っ張る可能性があります。
この銘柄が向いている投資家
- 安定した財務基盤を重視する長期投資家: 高い自己資本比率と潤沢なキャッシュフローは、不況時でも企業が倒産しにくい安定性を提供します。
- バリュートラップに耐性があり、将来的な事業価値回復に期待する投資家: 現在の低いPBRと高PERというバリュエーションの歪みを理解し、経営戦略による収益改善・資本効率向上を見据える投資家に向いています。
この銘柄を検討する際の注意点
- 利益回復の進捗: 足元の純利益は低迷しており、通期予想の下方修正も行われています。家庭用機器事業の巻き返しや産業機器、IT関連事業の収益拡大が計画通りに進むか、継続的なモニタリングが必要です。
- 高配当の持続可能性: 現在の予想配当利回り3.84%は魅力的ですが、配当性向が137.74%と非常に高く、今後の利益水準次第では減配リスクがある点に注意が必要です。
今後ウォッチすべき指標
- 四半期ごとの純利益進捗率: 通期予想の200百万円を第3四半期で既に超過しているため、最終的な着地見込みが上方修正されるか、あるいは第4四半期に特別な収益悪化要因がないかを注視する必要があります。
- ROEおよび営業利益率の改善: Piotroski F-Scoreや企業スコアで課題とされた収益性と資本効率の改善が具体的数値(例: ROE8%以上、営業利益率8%以上)として現れるかを確認します。
成長性:C(やや不安)
根拠:過去の売上高は減少傾向にあり、2026年3月期の通期売上高予想も前年から減収の見込みです。営業利益や純利益も、たびたび下方修正されるなど不安定で、特に最新の純利益予想は大幅に低い水準です。ただし、直近四半期売上高成長率は22.4%と高く、IT関連や産業機器事業の売上は伸びており、事業ポートフォリオ内での成長分野は見られますが、全体としての成長はまだ不透明です。
収益性:B(普通)
根拠:実績ROEは5.22%(過去12ヶ月では1.96%)、過去12ヶ月の営業利益率は6.17%であり、ROEはベンチマークの10%を下回り、資本効率に課題があります。営業利益率は、業種によって異なりますが、一般的な目安である5%~10%の範囲で推移しており、特段高い水準ではありません。Piotroski F-Scoreの収益性カテゴリも2/3点にとどまっており、利益創出力の改善が求められます。
財務健全性:S(優良)
根拠:自己資本比率69.6%、流動比率3.83倍と非常に高い水準を誇り、財務基盤は極めて強固です。Piotroski F-Scoreも6/9点(A: 良好)であり、特に財務健全性カテゴリでは3/3点を獲得しています。負債比率も低く、潤沢なキャッシュフローも生み出しているため、外部環境の変化にも耐えうる安定した財務体質です。
バリュエーション:D(懸念)
根拠:会社予想PERは128.04倍と、業界平均の16.6倍を大きく上回る極めて割高な水準にあります。これは直近の純利益予想が大幅に下方修正されたことに起因しており、一時的な利益低迷を反映したものです。一方、実績PBRは0.72倍と業界平均の1.4倍を下回っており、純資産に対しては割安感があります。このPERとPBRの大きな乖離は、バリュエーションの判断を難しくしており、現在の利益水準で評価すると極めて割高と言えます。
企業情報
| 銘柄コード | 6445 |
| 企業名 | ジャノメ |
| URL | https://www.janome.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,432円 |
| EPS(1株利益) | 11.20円 |
| 年間配当 | 3.84円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 46.0倍 | 515円 | -17.9% |
| 標準 | 0.0% | 40.0倍 | 448円 | -20.1% |
| 悲観 | 1.0% | 34.0倍 | 400円 | -21.8% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,432円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 232円 | △ 516%割高 |
| 10% | 290円 | △ 394%割高 |
| 5% | 366円 | △ 291%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
競合他社
| 企業名 | コード | 現在値(円) | 時価総額(億円) | PER(倍) | PBR(倍) | ROE(%) | 配当利回り(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ブラザー工業 | 6448 | 3,022 | 7,789 | 11.62 | 1.01 | 9.6 | 3.30 |
| JUKI | 6440 | 721 | 215 | 14.36 | 0.66 | 4.6 | 2.08 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.31)」によって自動生成されました。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。