企業の一言説明

矢作建設工業は、日本の中部地区を拠点に建設、土木、不動産事業を展開する大手総合デベロッパー・建設会社です。民間建築に重点を置き、特に耐震工事に強みを持っています。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 好調な業績と成長戦略: 直近の四半期決算では売上・利益ともに過去最高を更新し、通期予想を上方修正。中期経営計画で売上2,000億円を目指す明確な成長戦略、特に産業用地を中心とした不動産開発に注力しています。
  • 高い財務健全性と株主還元意欲: Piotroski F-Scoreが7/9点(S)と非常に高く、自己資本比率や流動比率も良好です。DOE(株主資本配当率)5%以上、累進配当を掲げ、年間の配当利回りも4.00%と魅力的です。
  • 信用取引の過熱とキャッシュフローの注視: 信用倍率が83.17倍と極めて高く、将来的な需給悪化による株価下落リスクを抱えています。また、直近の営業キャッシュフローがマイナスとなっている点は、利益の質や資金繰りに関する注意が必要です。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 S 非常に良好
収益性 A 良好
財務健全性 S 優良
バリュエーション B 適正水準

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 2,268.0円
PER 13.84倍 業界平均14.0倍とほぼ同等
PBR 1.33倍 業界平均1.1倍よりやや高め
配当利回り 4.00%
ROE 15.32%

1. 企業概要

矢作建設工業(Yahagi Construction Co.,Ltd.)は1949年設立、名古屋市に本社を置く中部地区大手の上場企業です。建設、土木、不動産開発の3つの事業を柱に展開しており、特に民間建築を事業の中心に据え、物流施設、商業施設、ホテル、マンションなどの施工実績が豊富です。また、耐震工事やインフラ補強工事にも強みを持ち、建設生産プロセスの改革(BIM/CIM等)やR&Dを通じて技術的優位性を確立しています。収益は工事請負と不動産販売・賃貸が中心です。

2. 業界ポジション

矢作建設工業は中部地区において確固たる地位を築く大手建設会社であり、地盤の強さが特徴です。競合他社と比較して、民間建築と耐震技術への注力、そして不動産事業とのシナジーが強みとなっています。
バリュエーション指標を見ると、PER(株価収益率)は13.84倍で業界平均の14.0倍とほぼ同水準にあり、利益面から見た株価は適正と評価できます。一方、PBR(株価純資産倍率)は1.33倍で業界平均の1.1倍をやや上回っており、純資産に対して株価がやや割高に評価されている可能性があります。

3. 経営戦略

矢作建設工業は、中期経営計画(2026年3月期まで)において営業利益100億円の達成を目指しており、2031年3月期には売上高約2,000億円規模への拡大を掲げています。具体的な成長戦略としては、産業用地を中心とした不動産開発の強化、BIM/CIM(Building Information Modeling/Construction Information Modeling)などの建設生産プロセス改革による効率化、そしてRCS改良やパンウォール信頼性向上といった技術R&Dへの投資を推進しています。また、人財投資やM&A(北和建設の子会社化)を通じて供給力の拡大を図っています。
株主還元策として、DOE(株主資本配当率)5%以上、累進配当の採用を掲げており、株主への積極的な利益還元姿勢を示しています。
直近の重要イベントとしては、分譲マンション事業の譲渡(2026年4月1日効力発生)に伴う特別損失計上がありますが、2027年3月期第1四半期に約10億円の特別利益を見込んでいます。また、株式会社海昌の取得も2026年4月1日に予定されており、事業体制の再編と強化が進められています。Ex-Dividend Dateが2026年3月30日に設定されており、この日に株式を保有している株主には配当の権利が付与されます。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 7/9 S: 優良
収益性 2/3 純利益がプラスであり、ROAも良好な水準を維持しています。
財務健全性 3/3 流動比率が健全であり、D/Eレシオも低く、株式の希薄化も見られないため、非常に健全です。
効率性 2/3 ROEも良好で、四半期売上成長率もプラスですが、営業利益率が10%にわずかに届かず満点ではありません。

【収益性】

矢作建設工業の収益性は、過去12か月ベースで良好な水準にあります。

  • 営業利益率: 9.15%(過去12か月)
  • ROE(自己資本利益率): 15.32%(過去12か月)。株主資本を効率的に活用して利益を生み出す能力を示す指標で、一般的な目安である10%を大きく上回る優良な水準です。
  • ROA(総資産利益率): 7.78%(過去12か月)。総資産に対する利益率も、一般的な目安である5%を上回る良好な水準です。

【財務健全性】

財務健全性は非常に高く評価できます。

  • 自己資本比率: 47.7%(実績)。企業の財務安定性を示す重要な指標で、一般的に40%以上が良好とされます。健全な水りの財務基盤を築いています。
  • 流動比率: 2.29(229%)(直近四半期)。短期的な支払い能力を示す指標で、200%以上が理想的とされます。十分に高い水準で、短期債務の支払い能力に余裕があります。

【キャッシュフロー】

キャッシュフローは変動が大きく、特に直近の営業キャッシュフローには注意が必要です。

  • 営業キャッシュフロー(CF): 2025年3月期は-17,191百万円とマイナスを計上しています。これは事業活動による資金創出ができていない状態であり、今後の改善が期待されます。
  • フリーキャッシュフロー(FCF): 2025年3月期は-17,446百万円と、設備投資などを賄うための自由な資金もマイナスとなっています。
  • 現金等残高: 2025年3月期は15,619百万円で、前年度から減少傾向にあります。

【利益の質】

  • 営業CF/純利益比率: 2025年3月期の実績では、営業CFがマイナスであるため、比率は1.0未満となり、利益の質には懸念が残ります。会計上の利益が必ずしも現金流入を伴っているわけではないため、今後のキャッシュフローの改善が重要です。

【四半期進捗】

2026年3月期第3四半期累計決算では、通期業績予想に対して非常に好調な進捗を見せています。

  • 売上高進捗率: 約79.2%(通期予想168,000百万円に対し、実績133,103百万円)
  • 営業利益進捗率: 約104.0%(通期予想11,500百万円に対し、実績11,964百万円)
  • 純利益進捗率: 約104.5%(通期予想7,000百万円に対し、実績7,318百万円)

営業利益と純利益は既に通期予想を上回っており、特に営業利益は前年同期比で+260.5%と大幅な増加を達成しました。これは大型建築工事の最盛期や利益率改善が寄与しています。

【バリュエーション】

  • PER(株価収益率): 会社予想ベースで13.84倍。業界平均の14.0倍とほぼ同じ水準であり、割安感も割高感も強くはありません。利益水準から見て株価は適正と判断できます。
  • PBR(株価純資産倍率): 実績ベースで1.33倍。業界平均の1.1倍と比較するとやや高めであり、解散価値を上回っています。純資産と比較すると、株価は若干割高に評価されている可能性があります。

提供されたバリュエーション分析によると、業種平均PER基準での目標株価は3,389円、業種平均PBR基準での目標株価は1,869円となり、評価基準によって目標株価に乖離が見られます。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: -40.0 / シグナル値: -7.19 短期的なトレンド方向が不明瞭な状態
RSI 中立 35.4% 売られすぎ水準(30%以下)に近づいており、調整が進んでいる可能性

【テクニカル】

現在の株価は2,268.0円です。

  • 52週レンジ: 1,170円から2,534円。現在の株価は52週高値圏の80.4%の位置にあり、年間で大きく上昇した後に高値で推移していることがわかります。
  • 移動平均線との関係:
    • 5日移動平均線(2,243.00円)は上回っており、短期的な回復兆候が見られます。
    • 25日移動平均線(2,390.92円)および75日移動平均線(2,345.97円)は下回っており、短期〜中期的なトレンドは下降調整局面にあることを示唆しています。
    • 200日移動平均線(2,129.75円)は上回っており、長期的な上昇トレンドは維持されています。

【市場比較】

過去1年間の株価パフォーマンスは、日経平均株価やTOPIXを大きく上回る+88.36%と非常に良好です。しかし、直近のパフォーマンスを見ると、1ヶ月で日経平均を6.38%ポイント、TOPIXを5.91%ポイント下回り、3ヶ月、6ヶ月でも両指数を下回っています。これは、過去の急騰に対する利益確定売りや市場全体の調整局面で市場平均に押されていることを示しています。

【注意事項】

⚠️ 信用倍率が83.2倍と高水準で、将来の売り圧力に注意が必要です。

【定量リスク】

  • 年間ボラティリティ: 28.82%。仮に100万円投資した場合、年間で±28.8万円程度の変動が想定されます。
  • 最大ドローダウン: -52.89%。過去には最大で52.9万円程度の下落があったことを意味し、将来も同様の下落が起こりうるリスクを示しています。
  • シャープレシオ: -0.72。リスクに見合うリターンが得られていないことを示しており、リスクに対する収益効率は低い状態です。

【事業リスク】

  • 受注高の変動と環境の不確実性: 決算説明資料のQ&Aでは、受注高の減少が指摘されており、将来の業績に影響を与える可能性があります。受注環境の不確実性は、建設業にとって継続的なリスク要因です。
  • 不動産事業の収益変動: 不動産売上は物件供給のタイミングに大きく依存するため、安定的な収益確保が難しい場合があります。市場環境の変動もリスクとなります。
  • 財務リスク(キャッシュフローと有利子負債): 直近の営業キャッシュフローのマイナスや、決算説明資料で指摘されている売上債権の増加およびNET有利子負債(22,482百万円)は、財務の健全性に影響を与える可能性があります。
  • 資材・労務費の高騰: 建設業界全体のリスクとして、資材価格や労務費の再上昇が採算を圧迫する可能性があります。価格転嫁の継続性が不確実な場合、利益率が低下する恐れがあります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引状況: 信用買残が199,600株であるのに対し、信用売残は2,400株と極めて少なく、信用倍率は83.17倍と非常に高水準です。これは多くの投資家が信用買いをしており、将来的な株価下落時に、これらの買い玉が「しこり」となり売り圧力となる可能性を強く示唆しています。
  • 主要株主構成: 名古屋鉄道(18.57%)、日本マスタートラスト信託銀行(8.71%)、自社取引先持株会(6.89%)が上位を占めており、安定株主が多い構造です。
  • 総合センチメント: ニュース動向は、直近の好調な業績、特に第3四半期の売上・利益の過去最高更新と通期予想の上方修正に関するポジティブな報道が目立ちます。これにより、市場からの期待感は高まっていると考えられます。

8. 株主還元

矢作建設工業は株主還元に積極的な姿勢を示しています。

  • 配当利回り: 会社予想年間配当90円に基づく配当利回りは4.00%と、魅力的な水準にあります。
  • 配当性向: 決算説明資料によると、予想配当性向は58.7%です。これは利益の内、約6割を配当に回すことを意味し、株主還元の姿勢が強いと言えます。DOE(株主資本配当率)5%以上、累進配当を継続する方針も発表されており、今後も安定的な配当が期待されます。
  • 自社株買い: データは提供されていません。

SWOT分析

強み

  • 中部地区での確固たる顧客基盤と、民間建築・耐震工事における高い技術力。
  • 直近の好調な業績と中期経営計画に基づく明確な成長戦略(不動産開発、M&Aなど)。

弱み

  • 過去の営業キャッシュフローがマイナスであり、利益の質に改善の余地がある。
  • 受注高の変動や建設市況の変化が将来の業績に与える影響。

機会

  • 産業用地を中心とした不動産開発の拡大による新たな収益源の確立。
  • BIM/CIM導入やR&Dによる生産性向上と競争力強化。

脅威

  • 信用倍率の異常な高水準が示す将来の需給悪化リスク。
  • 資材・労務費の高騰や人手不足が採算を圧迫する可能性。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定配当株主還元を重視し、高配当利回りを魅力と感じる長期投資家。
  • 中部地区のインフラ・不動産市場の成長に期待し、中長期的な事業拡大を見込む投資家。
  • 高い財務健全性を評価し、不確実な市場環境下でも安定感のある企業を求める投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 信用倍率が極めて高く、短期的な株価の調整やまとまった売り圧力に警戒が必要です。需給関係を継続的に確認することが重要です。
  • 直近の営業キャッシュフローがマイナスであるため、利益の質や資金繰りの状況を今後の決算で慎重にウォッチする必要があります。

今後ウォッチすべき指標

  • 四半期ごとの営業キャッシュフローの推移: 特にマイナスとなっている営業キャッシュフローが黒字転換し、安定的に資金を創出できるようになるか。
  • 受注高の継続性と新規案件獲得状況: 建設業界は受注動向が先行指標となるため、受注環境の変化には特に注意を払う必要があります。

10. 企業スコア

  • 成長性: S
    • 2026年3月期の通期予想売上高は前年比で+19.4%と高い成長率を見込んでおり、過去12か月の四半期売上成長率も+13.30%と良好です。中期経営計画での売上2,000億円目標も具体的であり、今後も成長が期待されます。
  • 収益性: A
    • ROEは過去12か月で15.32%と極めて優良な水準であり、ROAも7.78%と良好です。営業利益率9.15%は10%基準にわずかに届かないものの、総合的に見て高い収益性を確保していると評価できます。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率47.7%、流動比率229%と非常に高く、Piotroski F-Scoreも7/9点(S)と優良です。堅固な財務基盤は企業の安定性を強く裏付けています。
  • バリュエーション: B
    • PERは業界平均とほぼ同水準の13.84倍であり、適正な評価を受けていると言えます。しかし、PBRは業界平均1.1倍に対し1.33倍とやや割高感があるため、総合的には適正水準と判断します。

以上


企業情報

銘柄コード 1870
企業名 矢作建設工業
URL http://www.yahagi.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 建設・資材 – 建設業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,268円
EPS(1株利益) 162.66円
年間配当 4.00円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 19.9% 15.9倍 6,418円 23.3%
標準 15.3% 13.8倍 4,590円 15.3%
悲観 9.2% 11.8倍 2,970円 5.7%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 2,268円

目標年率 理論株価 判定
15% 2,298円 ○ 1%割安
10% 2,870円 ○ 21%割安
5% 3,621円 ○ 37%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
東急建設 1720 1,508 1,609 13.75 1.52 11.5 2.58
鉄建建設 1815 4,640 694 15.79 0.82 6.3 3.44
不動テトラ 1813 3,540 583 16.92 1.45 10.0 2.54

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.31)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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