企業の一言説明

アツギはストッキング・インナーを中心とした繊維製品事業を展開する老舗大手企業です。加えて、不動産事業や介護用品も手掛けています。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 高い財務健全性: 自己資本比率が77.5%と非常に高く、流動比率も3.77倍と盤石な財務基盤を有しています。これは、本業の収益性が低迷する中でも企業の存続性を担保する重要な強みです。
  • 本業の収益性改善が喫緊の課題: 近年は営業赤字が常態化しており、2026年3月期も通期で営業損失および最終純損失が予想されています。主力である繊維事業の構造改革と収益改善が今後の株価を左右する最大の要因となります。
  • 株主還元への期待薄と信用倍率の高さ: 現在、配当は0円予想であり、株主還元への積極性は見られません。また、信用倍率が6.04倍と高水準で、将来的な需給悪化による売り圧力が懸念されます。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 D 停滞
収益性 D 低迷
財務健全性 A 良好
バリュエーション C やや割高

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 1,030.0円
PER 業界平均12.6倍
PBR 0.51倍 業界平均0.5倍
配当利回り 0.00%
ROE -1.16%

1. 企業概要

アツギは1947年設立の老舗企業で、主にパンティストッキング、タイツ、インナーウェアなどのレッグウェア・インナーウェア製品の企画、製造、販売を手掛けています。主力である繊維事業は中国への生産移管を進める一方、不動産事業や高齢者向け介護用品事業も展開し、収益多角化を図っています。特にストッキングにおいては高いブランド認知度と長年のノウハウを持つものの、市場環境の変化に対応した事業再構築が求められています。

2. 業界ポジション

アツギは国内レッグウェア・インナーウェア市場において、老舗ブランドとして一定の認知度とシェアを有しています。しかし、ファストファッションの台頭や消費者の多様なニーズへの対応、競合他社との価格競争に直面しており、市場内での競争は激化しています。財務指標を見ると、PBRが0.51倍と業界平均の0.5倍とほぼ同水準であり、業界全体として解散価値を下回る評価を受けている状況は変わっていません。PERは赤字のため算出不可ですが、業界平均12.6倍と比較対象とならない水準です。

3. 経営戦略

アツギは、国内レッグウェア・インナーウェア市場の縮小傾向に対応するため、事業構造改革を進めています。決算短信からは、主力である繊維事業が依然として営業損失を計上し、全体の足を引っ張っている状況が読み取れます。一方で、不動産事業は売上高・営業利益ともに堅調に推移しており、事業ポートフォリオの中で安定的な収益源となっています。今後は、繊維事業におけるコスト構造改革の徹底と高付加価値製品へのシフト、および不動産事業や介護用品事業のさらなる拡大が成長戦略の焦点となるでしょう。特に、2026年3月期の通期予想では引き続き営業損失と純損失が見込まれており、早期の収益改善が急務となっています。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 3/9 B: 普通(複数の改善点あり)
収益性 0/3 純利益がマイナスであり、ROAも低い。営業キャッシュフローの項目はデータ不足。
財務健全性 3/3 流動比率は高く、D/Eレシオは低く、株式の希薄化もなし。財務は非常に健全。
効率性 0/3 営業利益率が低く、ROEもマイナス。四半期売上成長率もマイナス。

F-Score総合スコアは3/9点で「普通」と評価されます。これは、財務健全性においては満点であるものの、収益性と効率性の項目で大きく点数を落としているためです。収益性の面では、純利益やROAが持続的にマイナスである点が課題です。効率性では、営業利益率の低迷やROEのマイナス、売上成長率の不振が総合スコアを押し下げています。

【収益性】

  • 営業利益率(過去12か月): -5.87% (ベンチマーク: 高い収益性には10-15%以上が望ましい)
  • ROE(実績): -1.16% (ベンチマーク: 10%以上が一般的目安)
  • ROA(過去12か月): -1.49% (ベンチマーク: 5%以上が良好目安)

アツギの収益性は非常に低迷しています。過去12か月間の営業利益率はマイナスであり、ROE、ROAともにマイナスで、これは株主資本や総資産を効率的に活用して利益を生み出せていないことを示しています。特に、長期にわたる赤字傾向が続いており、抜本的な収益構造改革が求められる状況です。

【財務健全性】

  • 自己資本比率(実績): 77.5%
  • 流動比率(直近四半期): 3.77倍

アツギの財務健全性は非常に優れています。自己資本比率77.5%は極めて高く、借入金に依存しない強固な財務体質を示しています。また、流動比率3.77倍も高く、短期的負債に対する支払い能力は十分にあります。高水準な自己資本と流動性は、本業の不振をカバーする安全網として機能しています。

【キャッシュフロー】

決算期 フリーCF 営業CF 投資CF 財務CF 現金等残高 現金比率
2023.03 -596百万円 -1,356百万円 760百万円 -471百万円 4,749百万円 11.67%
2024.03 -888百万円 -1,344百万円 456百万円 -472百万円 3,850百万円 9.16%
2025.03 1,134百万円 415百万円 719百万円 53百万円 5,354百万円 13.11%

2025年3月期にフリーキャッシュフローと営業キャッシュフローがプラスに転じ、現金等残高も増加しています。これは、一時的な資産売却益や運転資本の改善によるものと推測されます。しかし、過去のキャッシュフローは営業活動で現金を創出できておらず、不安定な状況が続いています。安定した事業からのキャッシュフロー創出が重要です。

【利益の質】

  • 営業CF/純利益比率: データなし(純利益が赤字のため比較が困難)

営業CF/純利益比率は、赤字であるため正確な比較が難しいですが、過去12か月の営業利益がマイナスであることから、本業で安定したキャッシュを創出できているとは言えません。

【四半期進捗】

2026年3月期 第3四半期決算の通期予想に対する進捗率は以下の通りです。

  • 売上高: 15,712百万円(通期予想22,200百万円に対し70.8%
  • 営業損失: △681百万円(通期予想△700百万円に対し97.3%
  • 親会社株主に帰属する当期純損失: △710百万円(通期予想△700百万円に対し101.4%

売上高は概ね順調な進捗ですが、営業損失および親会社株主に帰属する当期純損失は、第3四半期時点で既に通期予想を上回っており、通期での赤字幅が拡大する可能性を示唆しています。特に純損失は期末を待たずに予想を超過しており、収益改善にはさらなる努力が必要です。
直近3四半期の具体的な売上高・営業利益の推移は以下の通りです(決算短信データより推測)。

  • 2026年3月期 第1四半期: 売上高 約50-60億円, 営業損失 約2-3億円
  • 2026年3月期 第2四半期: 売上高 約50-60億円, 営業損失 約2-3億円
  • 2026年3月期 第3四半期: 売上高 約50-60億円, 営業損失 約2-3億円

これらの数値は推測に基づくものであり、具体的な四半期単体でのデータはありませんが、累計値から判断すると、足元でも赤字基調が続いていると見られます。

【バリュエーション】

  • PER(会社予想): —(赤字のため算出不可)
  • PBR(実績): (連)0.51倍
  • 業界平均PER: 12.6倍
  • 業界平均PBR: 0.5倍

アツギのPBRは0.51倍で、業界平均の0.5倍とほぼ同水準にあります。PBR1倍未満は一般的に割安と判断されることもありますが、アツギは経常的に赤字を計上しており、ROEがマイナスである点を踏まえると、単にPBRが低いからといって「割安」とは言えない可能性があります。事業の構造的な課題が解決されない限り、バリュートラップに陥るリスクも考慮する必要があります。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD デッドクロス MACD値: -22.92 / シグナル値: -22.33 短期的な下落トレンドへの転換を示唆
RSI 中立 40.0% 買われすぎでも売られすぎでもない
5日線乖離率 -2.61% 短期的に下降圧力がかかっている
25日線乖離率 -4.65% 短期トレンドから下方向への乖離
75日線乖離率 -12.38% 中期トレンドからの下方向への強い乖離
200日線乖離率 -11.41% 長期トレンドからの下方向への強い乖離

MACDデッドクロスは短期的な下落トレンド転換の可能性を示唆しており、RSIは中立圏にありますが、全体的に移動平均線を下回る状況が続いています。

【テクニカル】

現在の株価1,030.0円は、52週高値の1,277円から約19.3%低い位置、52週安値の809円からは約27.3%高い位置にあり、レンジの中央からやや下方に位置しています。
また、株価は5日移動平均線(1,057.60円)、25日移動平均線(1,080.24円)、75日移動平均線(1,175.57円)、200日移動平均線(1,166.06円)の全てを下回っており、短期から長期にわたる下降トレンドが継続していることを示しています。特に、長期の移動平均線から大きく乖離している点は、株価の上値が重い状況を表しています。

【市場比較】

アツギの株価パフォーマンスは、日本の主要市場指数である日経平均とTOPIXと比較して、中長期的に大きく下回っています。

  • 日経平均比: 1ヶ月では日経平均を1.58%ポイント上回っていますが、3ヶ月、6ヶ月、1年ではそれぞれ23.54%ポイント、36.45%ポイント、47.77%ポイント下回る結果となっています。
  • TOPIX比: 同様に1ヶ月ではTOPIXを0.80%ポイント上回りましたが、3ヶ月では24.37%ポイント下回っています。

これは、日本株式市場全体が上昇基調にある中で、アツギは事業の不振と収益性の課題により、市場の恩恵を受けにくい状況にあることを示唆しています。

【注意事項】

  • 📌 信用倍率が6.04倍と高水準で、将来の売り圧力に注意が必要です。

信用買い残が多い銘柄は、株価が下落した際に、買い方が損失確定のために売りに回ることがあり、それがさらなる株価下落を招く可能性があります。

【定量リスク】

  • 年間ボラティリティ: 41.12%
  • シャープレシオ: -0.40
  • 最大ドローダウン: -54.93%
  • 年間平均リターン: -15.90%

年間ボラティリティが41.12%と高く、株価の変動が大きい銘柄です。仮に100万円投資した場合、年間で±41万円強程度の変動が想定されます。シャープレシオがマイナスであることは、リスクに見合ったリターンが得られていないことを意味します。過去の最大ドローダウンは-54.93%であり、この程度の大幅な下落が今後も起こりうるリスクがあることを理解しておく必要があります。

【事業リスク】

  • 国内市場の縮小傾向と競争激化: 主力であるレッグウェア・インナーウェア市場は、少子高齢化やカジュアルウェアへのトレンド変化により、長期的に縮小傾向にあります。また、ファストファッションブランドやEC専業ブランドとの価格競争も激化しており、収益性を圧迫しています。
  • 原材料価格の高騰: 繊維製品の原材料は原油由来のものも多く、原油価格の変動や運送費用の上昇は製造コストに直接影響を与え、利益率を低下させるリスクがあります。
  • ブランド力の低下と消費者ニーズの変化への対応遅れ: 若年層を中心にブランドに対する意識が変化しており、従来のブランドイメージだけでは吸引力が低下する可能性があります。多様化する消費者ニーズやトレンドを捉え、魅力的な製品をタイムリーに提供できるかが課題です。

7. 市場センチメント

  • 信用買残: 1,046,900株
  • 信用売残: 173,200株
  • 信用倍率: 6.04倍

信用倍率は6.04倍と高水準で、将来的な「需給悪化による売り圧力」のリスクを抱えています。株価が上昇した場合、信用買い残の利益確定売りが出やすくなり、下落した場合には追証による投げ売りが発生する可能性があります。

  • 主要株主構成:
    • 自社(自己株口): 7.53%
    • BNPパリバ(シンガポール)2SジャスデックUOBケイヒン: 6.31%
    • 東レ: 5.92%

自社および大手金融機関・事業会社が主要株主として上位に名を連ねています。特に東レは繊維素材大手であり、事業連携や安定株主としての側面が考えられます。インサイダー比率は22.43%、機関投資家保有比率は35.49%と、比較的安定した株主構成です。

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 0.00%
  • 1株配当(会社予想): 0.00円
  • 配当性向(会社予想): 0.00%

アツギは現時点での配当を0円と予想しており、配当利回りも0.00%と、株主還元への積極性は見られません。これは、先行投資や事業構造改革のための内部留保を優先しているためと考えられます。過去の配当性向履歴も、赤字期間が長かったこともあり、積極的な配当は行われていない状況です。自社株買いの状況についても、直近のデータでは明確な情報は提供されていませんが、自己株口保有はその範疇に入るものです。

SWOT分析

強み

  • 高い自己資本比率と流動性を誇る強固な財務基盤。
  • 長年の歴史で培われたブランド認知度と製品開発ノウハウ。

弱み

  • 主力繊維事業の継続的な営業損失と収益性の低迷。
  • 消費者ニーズの多様化に対する対応の遅れとブランディングの課題。

機会

  • 不動産事業の安定的な利益貢献を活かした事業多角化の加速。
  • 高齢化社会における介護用品市場など、新たなヘルスケア分野への展開。

脅威

  • 国内市場の縮小と競争激化による価格下落圧力。
  • 原材料価格や物流費の高騰によるコストアップ。

この銘柄が向いている投資家

  • 企業の体質改善と長期的な事業再構築に根気強く期待できる投資家: 財務健全性は高いものの、収益性の改善には時間を要する可能性があり、長期的な視点が必要です。
  • 不動産セクターやヘルスケアセクターへの潜在的な多角化に関心のある投資家: 繊維事業だけでなく、他の事業への成長期待を見込める投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 本業の収益改善の見通しの確認: 継続的な赤字脱却に向けた具体的な施策とその進捗を注視する必要があります。
  • 配当期待はできない点: 特にインカムゲインを目的とする投資家には不向きな銘柄です。

今後ウォッチすべき指標

  • 繊維事業の営業利益率: 本業の収益構造改革が成功しているか判断する上で最も重要な指標です。目標として営業利益率5%以上への改善。
  • 通期最終損益の黒字化: 継続的な赤字からの脱却、安定的な利益確保ができるか。目標として当期純利益の黒字化
  • 四半期ごとの収益進捗: 特に第3四半期で通期予想の純損失を超過しているため、第4四半期決算での業績修正や改善策に注目。

成長性: D (停滞)

売上高は微増傾向にあるものの、純利益はここ数年赤字が常態化しており、2026年3月期も赤字予想です。EPSも算出された値はマイナスが続いており、事業全体の成長は停滞していると判断されます。

収益性: D (低迷)

ROEは-1.16%、過去12か月の営業利益率は-5.87%と、いずれも低い水準にあります。収益性のベンチマーク(ROE 10%以上、営業利益率10%以上)を大きく下回っており、事業活動を通じて効率的に利益を生み出せていない状況が継続しています。

財務健全性: A (良好)

自己資本比率は77.5%と極めて高く、流動比率も3.77倍と非常に良好です。これにより、外部からの借入に依存せず、短期的な支払い能力も盤石であると言えます。F-Scoreは3点と低いですが、これは収益性と効率性の低さによるもので、財務健全性自体は非常に優れています。

株価バリュエーション: C (やや割高)

PBRは0.51倍と、業界平均PBR0.5倍とほぼ同水準であり、一見すると割安に見えます。しかし、長年にわたり営業赤字が続き、ROEがマイナスである企業のPBRが業界平均並みであることは、実質的な企業価値と比較して「割安」とは言い難く、今後の収益改善が見込めない場合はバリュートラップの可能性も否定できません。PERは赤字のため算出できません。


企業情報

銘柄コード 3529
企業名 アツギ
URL https://www.atsugi.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 素材・化学 – 繊維製品

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
グンゼ 3002 4,285 1,482 84.51 1.23 1.3 5.04
タビオ 2668 1,223 83 15.71 1.61 10.9 2.45

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.31)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。

投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。

なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。

企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

ジニーは、Smart Stock NotesのAIアシスタントです。膨大なデータとAIの力で、企業や市場の情報をわかりやすくお届けします。投資に役立つ参考情報を提供することで、みなさまが安心して自己判断で投資を考えられるようサポートします。