企業の一言説明

澁澤倉庫は、渋沢栄一が創業した歴史ある倉庫準大手の企業であり、陸海空の総合物流サービスを展開する傍ら、保有不動産を活用した不動産事業も手掛けています。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 安定した収益基盤: 堅実な物流事業に加え、不動産賃貸事業が安定した収益源となっており、収益構造の安定性が高い。
  • 積極的な株主還元: 政策保有株式の縮減を加速し、得られた資金を自己株式取得や増配に充てることで、資本効率と株主価値の向上に注力している。
  • 事業利益率の課題と外部環境リスク: 物流事業における燃料費や人件費の高騰、激化する市場競争が営業利益率を圧迫する可能性があり、景気動向や金利変動、不動産市況の影響も注視が必要。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 C 伸び悩み
収益性 A 良好
財務健全性 A 良好
バリュエーション B 適正

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 1,351.0円
PER 12.59倍 業界平均14.80倍(約-15%)
PBR 1.15倍 業界平均1.10倍(約+5%)
配当利回り 4.00%
ROE 10.54%

1. 企業概要

澁澤倉庫(旧: The Shibusawa Warehouse Co., Ltd.、2025年1月にShibusawa Logistics Corporationへ社名変更予定)は、1897年創業の歴史ある総合物流企業です。主力事業は、倉庫・陸上運送・海上運送・航空運送、通関業務など多岐にわたる戦略的ロジスティクスサービス。さらに、保有する不動産を賃貸活用する不動産事業も展開し、安定的な収益を確保しています。技術的な独自性としては、ECフルフィルメントサービスや医薬品関連の物流にも対応し、情報システムの企画・開発・運用管理も手掛けるなど、多角的なサービス提供に強みを持っています。

2. 業界ポジション

澁澤倉庫は、日本の倉庫業界において準大手の一角を占める企業であり、総合物流サービスを提供することで幅広い顧客基盤を築いています。競合に対する強みは、創業120年以上の歴史に裏打ちされた信頼性、全国および海外に広がる物流ネットワーク、そして安定収益源となる豊富な不動産資産にあります。
財務指標では、PER(会社予想)は12.59倍と、業界平均の14.80倍と比較してやや割安な水準にあります。一方、PBR(実績)は1.15倍と、業界平均の1.10倍とほぼ同水準であり、資産価値に対しては概ね適正な評価を受けていると見られます。

3. 経営戦略

澁澤倉庫は、持続的成長と株主価値向上を目指し、積極的な経営戦略を展開しています。2026年3月期第2四半期決算説明資料によれば、政策保有株式の縮減を加速し、得られた資金をもとに自己株式取得株主還元の強化を進める方針を掲げています。具体的には、2028年度までに連結純資産比率を20%以下に目標設定し、配当性向50%以上、年間3円の増配(株式分割後基準)を実施する計画です。
事業面では、陸上運送・倉庫を中心とする物流事業と、ビル工事請負・不動産賃貸を担う不動産事業を柱としています。2025年10月1日付で1株を4株に株式分割を実施し、投資単位の引き下げによる流動性向上も図っています。
今後のイベントとして、2026年3月30日にEx-Dividend Date(権利落ち日)が予定されています。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 8/9 S: 財務優良(収益性・健全性・効率性すべて良好)
収益性 3/3 純利益、営業キャッシュフロー、ROA全てプラスで優良
財務健全性 2/3 D/Eレシオが低い点、株式希薄化なしは良好だが、流動比率がベンチマークを下回る
効率性 3/3 営業利益率とROEの改善が見られ、四半期売上成長率もプラスで優良

財務品質スコアは8/9点と非常に高く、S(優良)判定となりました。これは、収益性、財務健全性、効率性のいずれにおいても高い水準を維持していることを示します。収益性では純利益、営業キャッシュフロー、およびROAが全てプラスであり、効率性では営業利益率とROEの改善、四半期売上成長率のプラスが評価されました。財務健全性においては、D/Eレシオが1.0未満である点や株式希薄化がない点が良好ですが、流動比率については改善の余地があると判断されています。

【収益性】

  • 営業利益率: 過去12か月で5.27%(営業利益 41億7,200万円 / 売上高 790億7,400万円)、直近2026年3月期第3四半期累計では5.22%となっており、一般的な目安とされる10%には届かないものの、安定した利益を確保しています。
  • ROE(株主資本利益率): 直近12か月で10.54%と、一般的な目安とされる10%を上回っており、株主のお金を効率的に使って利益を出していると評価できます。
  • ROA(総資産利益率): 直近12か月で2.12%と、ベンチマークの5%を下回っており、総資産を効率的に活用して利益を上げる点には改善の余地があります。

【財務健全性】

  • 自己資本比率: 直近実績で54.8%と、50%以上を維持しており、財務基盤は非常に安定していると言えます。有利子負債への依存度が低いことを示します。
  • 流動比率: 直近四半期で1.34倍(134%)と、短期的な支払い能力の目安とされる200%(2倍)を下回っています。これは直ちに問題となる水準ではありませんが、予期せぬ支出への対応力には注意が必要です。

【キャッシュフロー】

  • 営業キャッシュフロー (営業CF):
    • 過去12か月: 68億1,000万円と潤沢なプラスであり、本業で安定して現金を稼ぎ出していることが分かります。
    • 2026年3月期 第3四半期累計: 41億8,600万円で、前年同期の37億2,400万円から増加しています。
  • フリーキャッシュフロー (FCF):
    • 過去12か月: 10億6,000万円とプラスを維持しており、本業で得た現金で投資を行い、なお余剰資金を生み出している良好な状態です。
    • 2026年3月期 第3四半期累計: 3億9,800万円とプラスで推移しています。

【利益の質】

  • 営業CF/純利益比率: 過去12か月で約1.00(68億1,000万円 / 68億2,000万円)と、1.0をほぼ満たしています。これは、計上された利益の大部分が実際に現金として裏付けられており、利益の質が健全であることを示します。

【四半期進捗】

2026年3月期 第3四半期決算短信によると、通期予想に対する進捗率は以下の通りです。

  • 売上高進捗率: 75.4%(通期予想800億円に対し累計603億4,000万円)
  • 営業利益進捗率: 75.0%(通期予想42億円に対し累計31億5,200万円)
  • 純利益進捗率: 98.9%(通期予想61億円に対し累計60億3,200万円)

純利益の進捗率が非常に高いのは、特別利益として投資有価証券売却益47億8,700万円を計上したことによるものです。

【バリュエーション】

  • PER(株価収益率): 会社予想ベースで12.59倍です。業界平均が14.80倍であることを考慮すると、利益に対して株価はやや割安圏にあると評価できます。
  • PBR(株価純資産倍率): 実績ベースで1.15倍です。業界平均が1.10倍とほぼ同水準であり、純資産に対する株価は適正水準にあると言えます。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: -5.43 / シグナル値: -4.99 短期トレンド方向を示す
RSI 中立 51.8% 70以上=過熱、30以下=売られすぎ
5日線乖離率 +1.61% 直近のモメンタム
25日線乖離率 -0.48% 短期トレンドからの乖離
75日線乖離率 +3.00% 中期トレンドからの乖離
200日線乖離率 +14.98% 長期トレンドからの乖離

MACDとRSIは共に中立的な状態を示しており、短期的なトレンドに明確な方向性は見られません。移動平均線乖離率を見ると、5日線、75日線、200日線からはプラス乖離しており、中長期的な上昇トレンドは維持されている一方、25日線からはわずかにマイナス乖離しており、短期的な調整局面にある可能性を示唆しています。

【テクニカル】

現在の株価1,351.0円は、52週高値1,422.0円に近い位置(52週レンジ内位置88.9%)にあり、高値圏で推移しています。これは過去1年で株価が大きく上昇したことを示しています。
移動平均線との関係では、株価は5日移動平均線(1,321.60円)、75日移動平均線(1,309.19円)、200日移動平均線(1,172.31円)を上回っており、中長期的な上昇トレンドが継続していると考えられます。しかし、25日移動平均線(1,359.28円)はわずかに下回っており、短期的には上値が重い展開となっている可能性があります。

【市場比較】日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス

  • 日経平均比:
    • 1ヶ月: 株式-4.48% vs 日経-8.89%4.41%ポイント上回る
    • 3ヶ月: 株式+7.53% vs 日経+7.81%0.28%ポイント下回る
    • 6ヶ月: 株式+16.53% vs 日経+19.16%2.63%ポイント下回る
    • 1年: 株式+61.32% vs 日経+44.04%17.28%ポイント上回る

澁澤倉庫の株価は、直近1ヶ月および過去1年では日経平均をアウトパフォームしており、特に長期では顕著な優位性が見られます。

  • TOPIX比:
    • 1ヶ月: 株式-4.48% vs TOPIX-5.04%0.55%ポイント上回る
    • 3ヶ月: 株式+7.53% vs TOPIX+7.86%0.33%ポイント下回る

TOPIXに対しても、直近1ヶ月は上回っています。中長期では市場インデックスに若干劣後する局面も見られますが、過去1年で見れば市場全体を大きく上回るパフォーマンスを達成しています。

6. リスク評価

現在の信用倍率は3.19倍で、過度な買い残があるわけではなく、将来的に大きな売り圧力がかかるリスクは低いと考えられます。

【定量リスク】

  • 年間ボラティリティ: 227.47%と非常に高く、株価の変動幅が大きいことを示唆しています。
  • 最大ドローダウン: 過去の株価変動で-48.61%の下落を経験しています。仮に100万円を投資した場合、市場環境によっては年間で最大約48.61万円程度の資産価値が一時的に減少する可能性があり、このような大幅な下落が今後も起こりうるリスクがあることを認識しておく必要があります。
  • シャープレシオ: 0.62と1.0を下回っており、リスクに見合ったリターンが十分に得られているとは言えない状況です。

【事業リスク】

  • 物流コストの高騰: 燃料費、人件費、保管料等の運用コストは、地政学的リスクや経済状況、労働市場の変動に大きく影響されます。これらのコスト増を十分に価格転嫁できない場合、利益率が圧迫される可能性があります。
  • 景気変動と荷動きの減少: 物流事業は景気動動向に左右されやすく、景気後退期には荷動きが減少し、取扱量や単価の低下を通じて売上高および利益に影響を及ぼす可能性があります。
  • 不動産市況の変動: 同社は不動産事業も手掛けており、保有不動産の含み益や賃貸収入が安定収益源となっています。しかし、金利上昇や不動産市況の悪化は、賃料収入の減少や物件価値の下落を通じて、業績やバランスシートに悪影響を及ぼすリスクがあります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引状況: 信用買残が188,100株に対し、信用売残は58,900株です。信用倍率は3.19倍と、特別に過熱感がある水準ではなく、需給面での大きな懸念は現状見られません。
  • 主要株主構成: 上位株主には、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(9.52%)、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)(7.42%)、自社(自己株口)(7.20%)が名を連ねています。機関投資家や事業会社が安定株主として存在し、加えて自社株保有も一定割合あることから、安定的な経営基盤が伺えます。

8. 株主還元

  • 配当利回り: 会社予想の1株配当54.00円(株式分割後)に基づくと、現在の株価に対する配当利回りは4.00%と高水準です。これは、安定的なインカムゲインを重視する投資家にとって魅力的な水準と言えます。
  • 配当性向: 会社予想ベースで45.49%と、利益の約半分を配当に充てる方針であり、株主還元の意識が高いことが伺えます。これは持続可能な範囲内での適切な水準と評価できます。
  • 自社株買いの状況: 2026年3月期第2四半期において、352,600株の自己株式取得を15億6,000万円で実施しており、積極的な株主還元姿勢を示しています。これは発行済み株式数の縮小を通じて、1株あたり利益(EPS)の向上にも寄与します。

SWOT分析

強み

  • 堅固な財務基盤と安定収益源: 高い自己資本比率と潤沢な営業CF、歴史的に培われた豊富な不動産資産に支えられた賃貸収入が収益の安定性に寄与。
  • 積極的な株主還元策: 政策保有株式の縮減による自己株式取得と増配、高水準の配当利回りは株主還元に意欲的な姿勢を示す。

弱み

  • 物流事業の利益率改善が課題: 物流業界特有の競争環境とコスト増により、一般的な目安に届かない営業利益率に留まっている。
  • 総資産効率の低さ(ROA): ROAが5%を下回っており、総資産をさらに効率的に活用する余地がある。

機会

  • EC市場の拡大と物流需要の増加: オンラインショッピングの普及に伴い、保管・配送・ECフルフィルメントサービスの需要がさらに高まる可能性。
  • 海外展開の加速: アジア開拓を掲げており、新興国市場の物流需要を取り込むことで事業規模を拡大する機会。

脅威

  • 燃料費・人件費の高騰: 物流事業における主要コストである燃料費やドライバー不足による人件費の継続的な高騰は、収益を圧迫する要因となり得る。
  • 不動産市況の変動: 金利上昇や景気低迷による不動産価格の下落や空室率の上昇は、不動産事業の収益性や資産価値に悪影響を及ぼす可能性。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定配当を求める中長期投資家: 高い配当利回りと積極的な自社株買い・増配方針により、安定したインカムゲインを期待できる。
  • PBR1倍割れ改善などの資本効率向上に期待する投資家: 政策保有株式縮減や自己資本比率低減目標など、資本効率改善への経営陣の意欲を評価する投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 事業利益率の改善動向: 物流事業の慢性的な利益率の課題が継続しないか、今後の改善策やその進捗を注視する必要があります。
  • 高い株価ボラティリティ: 過去のデータが示すように、株価の変動幅が大きいため、投資に際してはリスク許容度を十分に考慮する必要があります。

今後ウォッチすべき指標

  • 営業利益率の四半期ごとの推移: 特に物流事業におけるコスト増を吸収できるか、価格転嫁の状況を含め注視します。
  • 自己資本比率の動向と政策保有株式縮減の進捗: 連結純資産比率20%以下という目標達成に向けた施策の実行状況と財務インパクトを確認します。
  • 年間配当金の安定性および増配実績: 継続的な株主還元が維持されるか、公約通りの増配が実施されるか注目します。

10. 企業スコア

  • 成長性: C (伸び悩み)
    • 売上高は過去12か月で790億7,400万円、四半期売上成長率も0.90%と大きな伸びは見られません。2026年3月期の純利益は政策保有株式売却益という特別利益に大きく依存しており、本業による継続的な高成長は見込みにくい状況です。
  • 収益性: A (良好)
    • ROEは10.54%と良好な水準ですが、ROAは2.12%とベンチマークを下回ります。営業利益率も約5.2%と、業界内では安定しているものの、高水準とは言えません。しかし、政策保有株式売却益による一時的なものも含め、現在のROEの高さを評価しました。
  • 財務健全性: A (良好)
    • 自己資本比率は54.8%と非常に高く、財務基盤は強固です。Piotroski F-Scoreも8/9点(S評価)と極めて優良です。ただし、流動比率が1.34倍と、短期的な安全性を示す目安を下回る点は一部改善の余地があります。
  • バリュエーション: B (適正)
    • PERは12.59倍と業界平均より割安であり、魅力があります。一方、PBRは1.15倍と業界平均に近く、突出した割安感はありません。全体として、現状の業績や株主還元姿勢を考慮すると、適正な水準にあると評価できます。

企業情報

銘柄コード 9304
企業名 澁澤倉庫
URL https://www.shibusawa.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 運輸・物流 – 倉庫・運輸関連業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,351円
EPS(1株利益) 107.34円
年間配当 4.00円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 11.5% 14.5倍 2,674円 14.9%
標準 8.8% 12.6倍 2,062円 9.1%
悲観 5.3% 10.7倍 1,487円 2.2%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,351円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,038円 △ 30%割高
10% 1,297円 △ 4%割高
5% 1,636円 ○ 17%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
日本トランスシティ 9310 1,284 852 14.20 0.83 6.5 3.03
安田倉庫 9324 2,446 742 12.37 0.69 6.3 2.78

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.32)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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