企業の一言説明

コニシは、家庭用から産業用、建設・土木分野に至るまで幅広い接着剤製品「ボンド」を展開する接着剤最大手の企業です。老舗ブランドとしての高い認知度と技術力を誇り、化成品商事や工事事業も手掛ける多角的な事業構造を持つプライム市場上場企業です。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 安定した基盤とブランド力: 「ボンド」ブランドは高い市場認知度と信頼性を確立しており、特に住宅・建築分野で強固な事業基盤を持つ。景気変動に左右されにくい需要を持つリペア・改修分野にも強み。
  • 堅実な財務体質と効率的な経営: 自己資本比率63.0%、流動比率193%と財務健全性が非常に高く、Piotroski F-Scoreも「良好」と評価される。安定したキャッシュフローを生み出し、外部環境変化への耐性が高い。
  • 株主還元への積極性と成長戦略: 配当利回り2.76%(会社予想)と安定配当を維持しつつ、直近では自社株買いやM&Aによる事業領域拡大(三菱ケミカルの合成樹脂エマルジョン事業取得)も発表しており、株主還元と成長投資のバランスが取れている。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 B 着実な成長
収益性 B 堅実な水準
財務健全性 A 非常に良好
バリュエーション A 割安感あり

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 1,379.0円
PER 11.02倍 業界平均20.4倍
PBR 1.01倍 業界平均1.1倍
配当利回り 2.76%
ROE 9.74%

1. 企業概要

コニシは1870年創業の歴史を持つ化学製品メーカーであり、特に「ボンド」ブランドの接着剤で広く知られています。事業は接着剤製品の製造・販売を行う「ボンド」、各種化成品の商社機能を持つ「化成品」、およびコンクリート構造物の補修・補強工事などを手掛ける「工事事業」の三つのセグメントで構成されています。主力である接着剤事業は、一般家庭用から建築・土木、産業用まで多岐にわたり、高い技術力と長年の経験に裏打ちされた製品開発力が強みです。収益モデルは製品販売が主軸ですが、工事事業ではサービス提供も行い、安定した収益源を確保しています。特に、過酷な条件下で使用されるプロフェッショナル向け接着剤や、特殊な用途に対応する化成品では、高い技術的独自性と品質で参入障壁を築いています。

2. 業界ポジション

コニシは、日本の接着剤市場において最大手の一角を占めており、「ボンド」ブランドは一般消費者からプロの職人まで広く認知されています。特に住宅・建築分野では強固な顧客基盤とシェアを保持し、競合他社に対してブランド力と販売ネットワークにおいて優位性を持っています。化成品商事部門も、自動車、電機、化学、塗料、住宅関連など多岐にわたる分野に製品を供給しており、事業ポートフォリオのバランスが取れています。財務指標で見ると、コニシの予想PERは11.02倍に対し、業界平均は20.4倍と大幅に低く、PBRは1.01倍に対し、業界平均は1.1倍とほぼ同水準であり、利益面での割安感が目立ちます。これは、事業の安定性や財務健全性に比して、市場での評価が低いか、あるいは今後の成長期待が織り込まれていない可能性を示唆しています。

3. 経営戦略

コニシの経営戦略は、既存事業の強化と新たな成長領域の開拓を両立させることに主眼を置いています。直近の決算短信では、2026年3月期の通期予想として、売上高1,420億円、営業利益106.7億円、純利益81億円を据え置いており、着実な業績達成を目指しています。セグメント別では、ボンド事業と化成品事業は堅調に推移している一方、工事事業は前年同期比で減収減益となっていますが、これは大型物件の進捗による一時的な変動とみられます。
最近の重要な適時開示としては、三菱ケミカルの合成樹脂エマルジョン事業の取得が挙げられます。これは、コニシが主要事業である接着剤分野の強化・拡大を図るもので、既存製品とのシナジー効果や新たな顧客基盤の獲得が期待されます。また、自社株買いも実施しており、株主還元への積極的な姿勢を示しながら、資本効率の向上と株価の安定化にも取り組んでいます。これらは、安定した事業基盤を維持しつつ、積極的に将来への投資を行うことで持続的な成長を実現しようとする経営陣の意図を反映しています。
今後のイベントとしては、2026年3月30日配当権利落ち日が予定されています。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

Piotroski F-Scoreは、企業の財務健全性と収益性の強さを評価する指標で、0点から9点までの範囲で示されます。点数が高いほど財務品質が高いと評価されます。

項目 スコア 判定
総合スコア 5/9 A: 良好(全体的に健全だが一部改善余地あり)
収益性 2/3 純利益とROAがプラスで良好だが、営業キャッシュフローのデータなし
財務健全性 3/3 流動比率、D/Eレシオ、株式希薄化のいずれも優良
効率性 0/3 営業利益率、ROE、四半期売上成長率のいずれも改善余地あり

解説:

コニシのPiotroski F-Scoreは5点であり、「A: 良好」と判定されます。これは、企業が全体的に健全な財務基盤を持っていることを示します。
収益性では、過去12ヶ月間の純利益(80億8,400万円)と総資産利益率(ROA)4.41%がいずれもプラスであり、事業が利益を生み出していることを確認できます。ただし、営業キャッシュフローのポイントはデータの都合上評価されていません。
財務健全性においては、流動比率(1.93倍)、D/Eレシオ(0.11%)、および株式希薄化の有無(希薄化なし)がいずれも健全な水準を満たしており、短期的な支払い能力、負債水準、株主価値維持に問題がないことが評価されます。
しかし効率性の面では改善の余地が見られます。過去12ヶ月間の営業利益率8.20%はベンチマーク(10%)を下回っており、売上高純利益率(ROE)9.49%も同様にベンチマーク(10%)に未達です。また、直近四半期の売上成長率が前年同期比で-4.00%とマイナス成長だった点も効率性スコアの低下要因となっています。これは、収益性の改善および売上成長の加速が今後の課題であることを示唆しています。

【収益性】営業利益率、ROE、ROA

  • 営業利益率(過去12か月): 8.20%
    • 売上高に対する営業利益の割合を示す指標で、本業での稼ぐ力を表します。コニシの営業利益率8.20%は、高い水準とは言えないものの、安定した事業基盤を持つ化学メーカーとしては堅実な水準です。過去の業績推移を見ると、概ね6%~8%台で推移しており、大幅な変動は少ないですが、近年は改善傾向にあります。
  • ROE(実績): 9.74%(過去12ヶ月)
    • 株主資本利益率(Return On Equity)は、株主から預かった資本をどれだけ効率的に使って利益を出したかを示す指標です。一般的に10%以上が推奨される中、コニシの9.74%は惜しくもベンチマークには届かないものの、比較的良好な水準です。株主資本を有効活用していると言えます。
  • ROA(過去12か月): 4.41%
    • 総資産利益率(Return On Assets)は、企業の総資産をどれだけ効率的に使って利益を上げたかを示す指標です。ベンチマークの5%にはわずかに及びませんが、4.41%は堅実な経営効率を示しており、ボンド事業や化成品事業で安定した資産運用が行われていることが伺えます。

【財務健全性】自己資本比率、流動比率

  • 自己資本比率(実績): 63.0%
    • 総資産に占める自己資本の割合で、高いほど財務基盤が安定しているとされます。コニシの63.0%という水準は、非常に高く、借入金に依存しない強固な財務体質を示しています。これにより、景気変動や予期せぬ事態に対しても高い耐性を持つと評価できます。
  • 流動比率(直近四半期): 1.93倍(193%)
    • 流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。一般的に150%以上であれば安全とされ、200%以上は優良とされます。コニシの193%は非常に良好な水準であり、短期的な債務返済に十分な手元資金や換金性の高い資産を保有していることを示唆しています。

【キャッシュフロー】営業CF、FCFの状況

  • 営業キャッシュフロー(過去12か月): 71億7,400万円
    • 企業の本業によって生み出された現金を示し、プラスであれば本業が順調に現金を稼いでいることを意味します。直近のコニシの営業CFは、過去の年度別比較でも常にプラスを維持しており、安定してキャッシュを創出する力があることを示しています。
  • フリーキャッシュフロー(過去12か月): -1億3,600万円
    • フリーキャッシュフロー(FCF)は、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いたもので、企業が自由に使える現金の額を示します。直近12ヶ月では-1億3,600万円とわずかにマイナスとなっています。これは、積極的な設備投資やM&A(三菱ケミカルの事業取得など)によって投資活動が活発化している可能性を示唆しており、将来の成長に向けた投資が現在のキャッシュフローに影響を与えていると解釈できます。過去にはプラスで推移していた時期もあり、一時的なものか、今後の動向を注視する必要があります。

【利益の質】営業CF/純利益比率

  • 営業CF/純利益比率(過去12か月): 88.7%(営業CF 71億7,400万円 ÷ 純利益 80億8,400万円)
    • この比率は、計上された利益に対して、どれだけの現金が実際に生み出されたかを示す指標です。1.0(100%)以上が健全とされ、企業の利益が現金を伴っていることを意味します。コニシの比率は88.7%1.0未満であるため、計上された純利益全てが直ちに現金として手元にあるわけではないことを示します。これは先行投資や売掛金の増加など、運転資金の変動によって一時的に現金が流出している可能性がありますが、極端に低いわけではないため、直ちに問題視するレベルではありません。今後もこの比率の推移を注視することが重要です。

【四半期進捗】通期予想に対する進捗率、直近3四半期の売上高・営業利益の推移

2026年3月期 第3四半期(累計)の決算短信によると、通期予想に対する進捗率は以下の通りです。

  • 売上高進捗率: 71.1%(累計1,009億7,800万円 ÷ 通期予想1,420億円)
  • 営業利益進捗率: 71.1%(累計75億8,400万円 ÷ 通期予想106億7,000万円)
  • 純利益進捗率: 75.0%(累計60億7,800万円 ÷ 通期予想81億円)

いずれの項目も第3四半期時点で71%~75%の進捗率となっており、通期予想達成に向けて順調なペースで推移していると評価できます。
セグメント別の状況としては、売上高ではボンド事業(563億1,200万円)はほぼ横ばい、化成品事業(291億9,600万円)は+4.9%の増収となった一方、工事事業(154億6,900万円)は△15.9%の減収となりました。利益面でも、ボンド事業と化成品事業がそれぞれ△8.5%△2.4%の減益、工事事業も△17.1%の減益となった結果、累計営業利益は前年同期比で△9.9%減少しています。
ただし、最終的な親会社株主に帰属する四半期純利益は、投資有価証券売却益などの特別利益計上により、前年同期比+1.3%と増益を確保しています。特別利益には8億7,500万円の投資有価証券売却益が含まれており、これが純利益の押し上げに貢献しました。

【バリュエーション】PER/PBR(業界平均比較、割安/適正/割高の判定)

  • PER(会社予想): 11.02倍
    • 株価収益率(PER)は、株価が1株当たり利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標です。業界平均の20.4倍と比較すると、コニシのPER11.02倍大幅に低く、割安感があると判断できます。これは、同業他社と比較して利益水準の割に株価が評価されていないことを示唆しており、理論的な目標株価(業種平均PER基準)2,470円と比較しても、現在の株価1,379.0円には上昇余地があると考えられます。
  • PBR(実績): 1.01倍
    • 株価純資産倍率(PBR)は、株価が1株当たり純資産(BPS)の何倍かを示す指標です。PBRが1倍を下回ると企業が解散した際の価値を下回る可能性があり、それ以上の価値が期待されていないことを意味します。コニシのPBR1.01倍は業界平均の1.1倍とほぼ同水準であり、適正水準と判断できます。理論的な目標株価(業種平均PBR基準)1,499円と比較しても、現在の株価は比較的妥当な水準に位置しています。

総合的に見ると、コニシの株価はPER基準では割安感が強い一方、PBR基準では適正水準にあり、利益面から見ると魅力的なバリュエーションであると言えます。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: 1.06 / シグナル値: 2.25 MACDがシグナルラインを下回っており、短期的な下降トレンドまたは調整局面にある可能性を示唆しています。
RSI 中立 51.4% RSIが50%台に位置しており、買われすぎでも売られすぎでもない中立な状態です。積極的な売買圧力が優勢ではないことを示します。
5日線乖離率 +0.88% 株価が5日移動平均線をわずかに上回っており、短期的な買い圧力がかかっている状態です。
25日線乖離率 +0.23% 株価が25日移動平均線をわずかに上回っており、短期的な上昇モメンタムが維持されています。
75日線乖離率 +1.95% 株価が75日移動平均線を上回っており、中期的な上昇トレンドにあることを示唆しています。
200日線乖離率 +7.38% 株価が200日移動平均線を大きく上回っており、長期的な上昇トレンドが明確であることを示します。

【テクニカル】52週高値・安値との位置、移動平均線との関係

現在の株価1,379.0円は、52週高値1,452.00円に対して84.7%の水準にあり、年間レンジの上限に近い位置にあります。年初来安値974円からは大きく上昇しており、市場からの評価が改善していることが伺えます。
移動平均線との関係では、現在の株価は5日移動平均線(1,367.00円)、25日移動平均線(1,375.84円)、75日移動平均線(1,352.64円)、そして200日移動平均線(1,281.06円)の全ての移動平均線を上回って推移しています。これは、短期から長期にわたる全ての時間軸で上昇トレンドが継続していることを明確に示しており、テクニカル面では非常に強いシグナルと評価できます。特に、長期の200日移動平均線から+7.38%乖離している点は、力強い上昇トレンドの表れであり、投資家の期待が高いことを示唆しています。

【市場比較】日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス

コニシの株価は、直近1ヶ月間では日経平均株価を10.14%ポイント、TOPIXを6.28%ポイント上回るパフォーマンスを見せており、市場全体と比較して堅調に推移しています。これは、市場全体が調整局面にある中で、コニシの株価がその影響を受けにくかったか、あるいは個別材料(自社株買いやM&A発表)によって買われたことを示唆しています。
一方で、3ヶ月、6ヶ月、1年といった中長期の期間では、日経平均株価およびTOPIXを下回るパフォーマンスとなっています。特に1年間のリターンでは、日経平均を29.89%ポイント、TOPIXを20.84%ポイント下回っており、市場全体の大きな上昇トレンドには乗り切れていない状況です。これは、コニシの安定性は評価されるものの、成長株としての市場の期待値が相対的に低いことを反映している可能性があります。しかし、直近1ヶ月のパフォーマンス好転は、潮目の変化を示している可能性もあり、今後の相対パフォーマンスの推移が注目されます。

【定量リスク】ベータ値、ボラティリティ、最大ドローダウン

  • ベータ値(5Y Monthly): 0.45
    • ベータ値は、市場全体の動きに対して、個別銘柄の株価がどれだけ変動するかを示す指標です。市場全体の変動率を1とした場合、コニシのベータ値0.45市場平均よりも変動が小さいことを意味します。市場が10%上昇/下落しても、コニシの株価は平均して4.5%程度しか反応しないと解釈でき、比較的ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
  • 年間ボラティリティ: 30.14%
    • 株価の年間変動の大きさを表す指標です。コニシの年間ボラティリティ30.14%は、市場全体のボラティリティと比較して中程度です。仮に100万円投資した場合、年間で±30.14万円程度の価格変動が想定され、短期間で大きな価格変動リスクは限定的であると考えられます。
  • 最大ドローダウン: -33.43%
    • 過去の特定の期間において、株価がピークからどれだけ下落したかを示す最悪の損失率です。コニシの最大ドローダウン-33.43%は、過去に経験した最大の下落幅を示しており、この程度の株価下落は今後も起こりうるリスクとして認識しておく必要があります。
  • シャープレシオ: 0.01
    • 投資のリスク1単位あたり、どれだけのリターンが得られたかを示す指標です。1.0以上が良好とされる中、コニシのシャープレシオ0.01は、リスクに見合うリターンが十分に得られていない状況を示唆しています。これは、株価が比較的安定しているものの、爆発的な上昇は期待しにくい傾向にあることを反映しています。

【事業リスク】主要なリスク要因

  • 原材料価格の変動: 接着剤や化成品製品の製造には石油化学製品などの原材料が不可欠です。これらの原材料価格が世界情勢や需給バランスによって高騰した場合、製造コストが増加し、収益性を圧迫する可能性があります。製品価格への転嫁が遅れる、あるいは十分にできない場合、利益率が悪化するリスクがあります。
  • 建設投資動向と景気変動: コニシは住宅・建築分野および工事事業に強みを持っているため、国内の建設投資動向や、それに影響を与える景気変動の影響を受けやすい側面があります。人口減少による新設住宅着工件数の減少や、公共投資の抑制などが事業にマイナスに作用する可能性があります。
  • 競争環境の激化と技術革新: 接着剤市場は技術革新が継続的に求められる分野であり、国内外の競合他社との競争が激化する可能性があります。新興企業の参入や代替技術の登場、あるいは海外メーカーの攻勢により、市場シェアや価格競争力が低下するリスクが常に存在します。新たな技術開発やM&A等による事業強化を継続的に行う必要があります。

7. 市場センチメント

コニシの信用取引状況を見ると、信用買残が27,400株、信用売残が125,400株であり、信用売残が信用買残を大きく上回っていることが特徴です。これにより信用倍率は0.22倍と極めて低い水準にあります。一般的に信用倍率が1倍を下回る「売り長」の状態は、将来的に買い戻し(ショートカバー)圧力が発生し、株価を押し上げる要因となる可能性があります。現状では、市場の供給に対して需要が相対的に低いと見られているか、あるいは機関投資家などによるヘッジ売りが入っていることも考えられます。
主要株主構成では、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)11.98%で筆頭株主、次いでコニシ自身が保有する自社(自己株口)9.57%自社共栄会6.63%と続きます。信託銀行による保有は年金基金などの安定株主としての側面が強く、自社による自己株保有と従業員持株会の存在は、安定的な株主構成と経営陣・従業員の企業価値向上への意識の高さを示唆しています。

8. 株主還元

コニシは、安定的な株主還元に力を入れています。会社予想の配当利回り2.76%と、東証プライム市場の平均と比較しても魅力的な水準にあります。1株配当は年間38.00円(中間配当19.00円、期末配当19.00円の合計)を予定しており、これは過去の配当実績から見ても増配傾向にあります。
配当性向は会社予想で31.4%であり、これは利益の30%〜50%を配当に回すという一般的な目安の範囲内であり、健全な水準と言えます。これにより、企業成長のための内部留保と株主還元とのバランスが適切に保たれています。
また、コニシは直近で自社株買い(2025年7月28日決議、286万8,500株取得)を実施しており、ニュース動向でもポジティブに評価されています。自社株買いは、発行済み株式数を減少させることで1株当たりの利益や純資産を向上させ、株主価値を高める効果があります。これは、配当に加えて株主還元の一環として積極的に取り組む姿勢を示しており、投資家にとって大きな魅力となります。

SWOT分析

強み

  • 強力なブランド力と市場シェア: 「ボンド」ブランドは高い認知度と信頼性を誇り、接着剤市場で最大手のポジションを確立している。長年の実績と幅広い製品ラインナップが、安定した顧客基盤を構築。
  • 強固な財務体質: 自己資本比率63.0%、流動比率193%と非常に高い水準を維持しており、財務健全性が優良。安定したキャッシュフローを生み出すことで、外部環境の変化や不測の事態にも対応できる体力がある。

弱み

  • 中長期的な成長率の鈍化: 過去の年間売上成長率やPERの業界平均比から見ると、市場全体と比較して成長期待が低いと評価される可能性がある。効率性スコアも改善の余地がある。
  • 原材料価格変動リスク: 石油化学製品などに依存する原材料調達において、価格変動が直接的に収益性を圧迫する可能性がある。製品への価格転嫁能力が試される場面があり得る。

機会

  • M&A・事業提携による事業領域拡大: 三菱ケミカルの事業取得に象徴されるように、M&Aや戦略的提携により、新たな技術や顧客、市場を獲得し、成長機会を創出できる可能性がある。
  • リペア・メンテナンス需要の拡大: 日本のインフラ老朽化や住宅の維持管理需要の増加に伴い、接着剤や工事事業における補修・補強材料の需要が安定的に拡大する見込みがある。

脅威

  • 国内市場の縮小傾向と競争激化: 少子高齢化に伴う国内市場の縮小や、海外メーカーを含む競合他社との激しい価格競争・技術競争が収益性を圧迫する可能性がある。
  • 環境規制の強化とSDGsへの対応: 化学業界全般に対する環境規制強化や脱炭素化の動きは、新たな研究開発投資や生産体制の見直しを必要とし、コスト増につながるリスクがある。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定配当と財務健全性を重視する長期投資家: 高い自己資本比率と安定した配当実績、自社株買いによる株主還元姿勢から、長期的に安心して保有できる銘柄を求める投資家に向いています。
  • 景気変動に左右されにくいディフェンシブ銘柄を好む投資家: ベータ値が0.45と市場への感応度が低く、生活必需品でもある接着剤事業が中心であるため、市場全体の変動リスクを抑えたい投資家に向いています。
  • 割安なバリュエーションで成長機会を探る投資家: PERが業界平均と比較して割安であり、M&Aによる事業拡大の意欲も見えるため、現在の割安感に着目し、将来的な株価評価の見直しを期待する投資家にとっても魅力的な選択肢となり得ます。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 成長戦略とM&Aの進捗: 直近で発表されたM&Aが、どの程度の収益貢献をもたらすか、また今後の成長戦略がどのように具体化されていくかを注視する必要があります。買収によるシナジー効果が計画通りに発揮されるかを確認することが重要です。
  • 収益性改善と効率化への取り組み: 営業利益率やROEが業界平均やベンチマークに満たない点を改善できるか、具体的な効率化施策やコスト削減、高付加価値製品へのシフトが進むかを注意深く見守る必要があります。

今後ウォッチすべき指標

  • 四半期ごとの売上高と営業利益の推移(特に工事事業の回復): 直近の工事事業の減収減益から回復が見られるか、M&Aによる売上・利益貢献が具体的に表れるかをチェックします。
  • 原材料価格の動向と製品価格への転嫁状況: 原材料価格の変動に対するコニシの対応力、および収益性維持のための適切な価格転嫁ができているかを定期的に確認します。
  • フリーキャッシュフローの改善: 最新のフリーキャッシュフローがマイナスとなっているため、今後の積極的な投資が健全なキャッシュフローにつながるか、プラスに転じるかを確認することが重要です。

成長性

B: 着実な成長

過去4年間の売上高は着実に増加しており、2022年3月期から2026年3月期予想までのCAGR(年平均成長率)は約5.7%と、評価基準の5%~10%の範囲内です。直近の四半期売上成長率がマイナスである点は懸念されますが、通期予想売上高も増加傾向にあり、堅実な成長を続けていると評価できます。

収益性

B: 堅実な水準

過去12ヶ月のROEは9.74%、営業利益率は8.20%であり、いずれも評価基準の「B」(ROE8-10%または営業利益率5-10%)の範囲内です。ROE、営業利益率ともにベンチマークの10%には僅かに届かないものの、安定した事業基盤を持つ老舗企業として堅実な収益性を維持していると評価できます。

財務健全性

A: 非常に良好

自己資本比率が63.0%と優良水準(Sランク基準:60%以上)にあり、流動比率も193%と非常に高く、短期的な支払い能力も盤石です。また、Piotroski F-Scoreも5/9点で「良好(Aランク基準:5-6点)」と評価されており、財務面は極めて安定しており、外部環境の変化に対する高い耐性を持っています。

バリュエーション

A: 割安感あり

コニシの予想PER11.02倍は、同業種平均の20.4倍と比較して大幅に割安(業界平均の54%程度)であり、投資家にとっては魅力的な水準です。PBR1.01倍は業界平均1.1倍とほぼ同水準であり、総合的に見ると、利益水準に対して現在の株価には買いやすい割安感があると評価できます。


企業情報

銘柄コード 4956
企業名 コニシ
URL http://www.bond.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,379円
EPS(1株利益) 125.14円
年間配当 2.76円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 12.7倍 1,586円 3.0%
標準 0.0% 11.0倍 1,379円 0.2%
悲観 1.0% 9.4倍 1,232円 -2.0%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,379円

目標年率 理論株価 判定
15% 692円 △ 99%割高
10% 865円 △ 59%割高
5% 1,091円 △ 26%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
ショーボンドホールディングス 1414 1,416 3,100 20.25 2.71 14.5 3.21
アイカ工業 4206 3,710 2,507 13.05 1.29 11.0 3.71

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.32)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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