企業の一言説明

共和電業は様々な産業用途に向けて歪みゲージや計測機器を展開する、業界内で確固たる地位を築く企業です。

総合判定

堅実な財務体質を持つ成熟企業

投資判断のための3つのキーポイント

  • 極めて強固な財務基盤: 自己資本比率が非常に高く、Piotroski F-Scoreも優良判定で、財務的な安定性は際立っています。
  • 安定した事業と成長戦略: 歪みゲージ大手としての技術的優位性を背景に、自動車向け強化や米中展開による緩やかながら着実な事業拡大を目指しています。
  • 資本効率の改善が課題: ROEが低水準であり、業界平均と比較して割高なバリュエーションの中で、株主資本をいかに効率良く活用し、企業価値向上に繋げていくかが今後の注目点です。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 B 緩やかな成長
収益性 B 資本効率改善余地あり
財務健全性 S 極めて優良
バリュエーション C やや割高

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 734.0円
PER 15.58倍 業界平均12.9倍
PBR 1.03倍 業界平均0.8倍
配当利回り 2.86%
ROE 5.68%

1. 企業概要

共和電業は、歪みゲージを主力とする応力計測機器の大手メーカーです。ロードセル、変換器、様々な計測機器やシステムを提供し、政府機関、大学、建設、自動車、航空機など広範な産業の実験研究分野に貢献しています。長年培った技術力に基づく高性能な製品ラインアップと、製品導入後のコンサルティングサービスが収益モデルの核となっています。

2. 業界ポジション

計測機器市場において、共和電業は歪みゲージ分野で大手の一角を占めており、長年の実績と技術力により強固なポジションを確立しています。自動車向け計測機器の強化、そして日本だけでなくアジア、ヨーロッパ、米国といった主要市場への展開は、同社のグローバルな競争力を支える強みとなっています。

3. 経営戦略

共和電業は、歪みゲージや各種計測機器の技術的優位性を活かし、自動車分野を含む需要の高まりが期待される領域での事業強化を図っています。また、米国や中国をはじめとする海外市場での展開を積極的に推進しており、グローバルな事業機会の獲得を目指しています。直近の2025年12月期決算では増収増益を達成し、2026年通期も増収増益を見込むなど、堅実な成長戦略を継続しています。なお、2026年6月29日に配当の権利落ち日(Ex-Dividend Date)が予定されています。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

企業財務の健全性を示すPiotroski F-Scoreは、スコアが高いほど財務状況が優良であることを示します。共和電業のF-Scoreは以下の通りです。

項目 スコア 判定
総合スコア 8/9 S: 財務優良(収益性・健全性・効率性すべて良好)
収益性 3/3 純利益、営業キャッシュフロー、ROAが全てプラスであり、事業の採算性が非常に良好です。
財務健全性 3/3 流動比率が高く、有利子負債が極めて少ない上、株式希薄化もないため、磐石な財務基盤を築いています。
効率性 2/3 営業利益率は10%を超え良好ですが、株主資本収益率(ROE)が10%を下回っており、資本効率には改善の余地があります。

【収益性】

過去12か月の営業利益率は10.54%と良好な水準を維持していますが、2025年12月期決算短信では8.5%と報告されており、安定した収益力があることを示しています。しかし、株主資本利益率(ROE)は5.68%、総資産利益率(ROA)は3.62%であり、一般的な目安とされるROE10%やROA5%を下回っており、資本効率の改善が今後の課題と言えるでしょう。

【財務健全性】

自己資本比率は76.7%と非常に高く、流動比率も4.08倍と極めて高水準であり、短期的な支払い能力、長期的な安定性ともに優れています。負債が非常に少ないため、財務基盤は盤石であり、外部環境の変化にも強い耐性を持つことが期待されます。

【キャッシュフロー】

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円) フリーCF(百万円)
2023.12 -256 -370 -982 -626
2024.12 1,617 -314 -1,226 1,303
2025.12 563 -384 -1,950 179

営業活動によるキャッシュフローは2025年12月期に563百万円のプラスを確保しており、本業で安定して現金を稼ぐ力があることを示します。投資活動によるキャッシュフローは-384百万円と、設備投資などを積極的に行っている状況です。財務活動によるキャッシュフローは-1,950百万円とマイナスですが、これは主に配当支払いや借入金返済によるものであり、健全な財務活動と解釈できます。フリーキャッシュフローは179百万円のプラスとなっており、企業が自由に使える資金を生み出している状況です。ただし、企業財務指標に記載のLevered Free Cash Flowは-160百万円となっており、レバレッジのかかり方によって評価は異なる可能性があります。

【利益の質】

営業キャッシュフローを純利益で割った比率は0.55であり、純利益の半分程度しかキャッシュフローとして手元に残っていないことを示します。この比率が1.0未満であることから、利益の質は「C (やや懸念)」と評価され、利益計上と現金創出のバランスに注意が必要です。例えば、売掛金の増加や棚卸資産の滞留などが原因である可能性も考慮すべきでしょう。

【バリュエーション】

共和電業のPERは15.58倍、PBRは1.03倍であり、それぞれ業界平均のPER12.9倍、PBR0.8倍と比較すると、割高な水準にあります。堅実な財務体質や安定した事業基盤は評価されているものの、現状の利益水準から見ると、株式市場は将来の成長をある程度織り込んでいるか、あるいは市場全体の評価水準が高い状況にあると考えられます。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: -16.91 / シグナルライン: -15.42 短期的なトレンド転換シグナルは出ていません。
RSI 中立 46.9% 買われすぎでも売られすぎでもない、中立的な状態です。
5日線乖離率 +2.71% 短期的に株価が5日移動平均線を上回っており、直近はやや強気モメンタムです。
25日線乖離率 -3.29% 短期トレンドと比較して株価はやや下方に乖離しています。
75日線乖離率 -3.01% 中期トレンドと比較して株価はやや下方に乖離しています。
200日線乖離率 +7.83% 長期トレンドと比較して株価は上方に乖離しており、長期的な基調は安定しています。

MACDやRSIといった主要なテクニカルシグナルは現在、強い買いまたは売りのシグナルを示していません。移動平均線を見ると、現在の株価734.0円は5日移動平均線は上回っていますが、25日移動平均線と75日移動平均線は下回っており、短中期的な調整局面にあることが示唆されます。一方で、200日移動平均線は大きく上回っており、長期的な上昇トレンドは維持されていると考えられます。

【テクニカル】

現在の株価734.0円は、52週高値855.00円と52週安値410.00円のレンジにおいて、およそ72.8%の位置にあります。これは年初来安値から大きく上昇した水準である一方、高値からも一定の調整が入っていることを示しています。株価は25日および75日移動平均線を下回って推移しており、短中期的な下落圧力を受けている可能性がありますが、長期的な視点では200日移動平均線を上回っており、依然として堅調な基調にあると言えるでしょう。

【市場比較】

日経平均との相対パフォーマンスは以下の通りです。

期間 当銘柄 日経平均
1ヶ月 -4.55% -2.07% -2.48%pt
3ヶ月 -3.42% +4.68% -8.10%pt
6ヶ月 +3.82% +16.10% -12.29%pt
1年 +63.47% +41.25% +22.22%pt

足元の1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月では日経平均比でアンダーパフォームしていますが、過去1年間では日経平均を22.22%pt大きく上回るパフォーマンスを見せています。これは、長期的な視点では市場全体よりも高い評価を得ている一方で、短期的な調整局面にあることを示唆しています。

【定量リスク】

共和電業のベータ値は0.63であり、市場全体の動きに対して比較的変動が小さい傾向があることを示唆しています。これは、市場全体のリスクが高まった際にも、株価が比較的安定しやすいディフェンシブな特性を持つことを意味します。年間のボラティリティは31.64%と中程度であり、仮に100万円投資した場合、年間で±31.64万円程度の変動が想定されます。過去の最大ドローダウンは-61.40%と大きく、過去には投資元本が60万円以上減少するリスクがあったことを示唆しており、今後も同様の下落リスクは考慮する必要があります。シャープレシオは-0.64とマイナスであり、リスクに見合うリターンが十分に得られていない状況を示しています。

【事業リスク】

  • テクノロジーの急速な進化と競合激化: 計測機器業界は技術革新が常に求められ、国内外の競合他社との技術開発競争や価格競争が激化する可能性があります。
  • 特定産業への依存と景気変動: 自動車産業など特定の主要顧客産業における景気変動や設備投資動向が、売上や利益に直接的な影響を及ぼす可能性があります。
  • グローバル展開に伴うリスク: 米中を含む海外市場での事業展開は成長機会をもたらす一方で、為替変動リスク、地政学的リスク、各国の規制変更リスクなどが増大します。

7. 市場センチメント

信用取引状況は、信用買残59,400株に対し信用売残46,100株と、信用倍率は1.29倍となっています。信用倍率が比較的低い水準で拮抗しており、将来的な需給の偏りによる大きな売り圧力や買い圧力が発生する可能性は低いと見られます。現在のところ、特定の方向への強いセンチメントは市場には見られません。
主要株主構成を見ると、アジア電子工業、光通信KK投資事業有限責任組合、自社従業員持株会が上位を占めています。従業員持株会が上位に名を連ねていることは、従業員の会社への帰属意識と長期的な成長への関与が高いことを示唆します。

  • アジア電子工業: 7.29%
  • 光通信KK投資事業有限責任組合: 6.80%
  • 自社従業員持株会: 6.26%

8. 株主還元

共和電業の配当利回りは会社予想で2.86%であり、安定したインカムゲインを期待できます。直近の配当性向は53.4%と、利益の半分強を配当に回す方針であり、利益水準と比較して妥当な範囲内にあると言えます。配当性向が健全な水準(30-50%が一般的とされる)よりもやや高いものの、過度にリスクが高いとは言えず、現時点では警句を呼びかける状況ではありません。企業側は2026年12月期も年間21.00円の配当を予想しており、安定的な株主還元姿勢を継続する意向が見られます。現状で自社株買いの発表はありません。

SWOT分析

強み

  • Piotroski F-Score 8/9に裏打ちされた極めて強固な財務体質と安定した経営基盤を持っています。
  • 長年の経験と技術力に基づく高性能な計測機器は、幅広い産業分野で高い信頼と競争力を確立しています。

弱み

  • ROEが5.68%と低水準に留まっており、株主資本の効率的な活用と収益性向上が課題です。
  • 利益の質を示す営業CF/純利益比率が0.55と低く、キャッシュフロー創出能力に改善の余地があります。

機会

  • 自動車のCASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)やインフラ老朽化対策における計測・センシング技術の需要拡大は、新たな事業機会をもたらします。
  • 米国や中国を含む海外市場での事業展開や技術提携を通じて、新たな顧客基盤と成長機会を掴む可能性があります。

脅威

  • 半導体供給不足や原材料価格の高騰、為替変動といった外部要因が製造コストや収益に悪影響を及ぼし、業績に下振れ圧力となる可能性があります。
  • 競合他社による新技術開発や低価格攻勢により、市場シェアや利益率が低下するリスクがあります。

この銘柄が向いている投資家

  • 堅実な財務体質と安定配当を重視する長期投資家: 高い自己資本比率と安定した配当実績から、中長期的な安定収益を求める投資家にとって魅力的な選択肢となります。
  • 市場変動リスクを抑えたいディフェンシブ投資家: ベータ値が1未満であり、市場全体の下落局面でも比較的株価が安定する傾向があるため、リスクを抑えたい投資家に向いています。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 利益の成長性が突出しているわけではないため、短期間での急激な株価上昇は期待しにくい傾向があります。
  • ROEが低く、資本効率の改善が今後の企業価値向上において重要な課題となるため、経営陣による具体的な対策やその進捗を注視する必要があります。

今後ウォッチすべき指標

  • 営業利益率: 8.5%から10%以上への継続的改善。これは本業の収益性がどの程度高まっているかを示す重要な指標です。
  • ROE: 5.7%から8%以上への回復。株主資本をいかに効率的に活用し、利益に繋げているかを示す指標として重要です。
  • フリーキャッシュフロー: 安定的に黒字を維持し、さらに拡大できるか。事業活動から生み出される資金が投資に必要な資金を賄えているか、あるいは余剰資金が生まれているかを判断します。
  • 受注残高: 5,051百万円の維持または増加。今後の売上を予測する先行指標として、受注状況の改善は重要です。

成長性: B

2025年12月期の売上高は前年比+6.0%、営業利益は+2.2%と堅実な伸びを見せており、2026年通期予想も増収増益を計画していることから、緩やかな成長が期待されます。

収益性: B

過去12か月の営業利益率は10.54%と良好な水準ですが、ROEが5.68%と株主資本の効率的な活用には課題が見られ、資本効率の改善が企業価値向上のカギとなります。

財務健全性: S

自己資本比率が76.7%、流動比率が4.08倍と極めて高く、F-Scoreも8点を獲得していることから、財務基盤は非常に強固であり、安定性に優れています。

バリュエーション: C

PER15.58倍は業界平均の12.9倍を、PBR1.03倍は業界平均の0.8倍をそれぞれ上回っており、現在の株価は業界平均と比較してやや割高な水準と判断されます。


企業情報

銘柄コード 6853
企業名 共和電業
URL https://www.kyowa-ei.com/
市場区分 スタンダード市場
業種 電機・精密 – 電気機器

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 734円
EPS(1株利益) 47.10円
年間配当 2.86円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 14.0% 17.5倍 1,585円 17.0%
標準 10.8% 15.2倍 1,193円 10.6%
悲観 6.5% 12.9倍 832円 3.0%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 734円

目標年率 理論株価 判定
15% 603円 △ 22%割高
10% 753円 ○ 3%割安
5% 950円 ○ 23%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
堀場製作所 6856 18,585 7,849 18.46 2.24 12.2 2.63
日置電機 6866 7,420 1,040 17.34 2.28 13.6 2.69
小野測器 6858 776 94 11.82 0.49 4.9 3.86

関連情報

証券会社


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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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