企業の一言説明

奥村組は建設および関連事業を日本で展開する関西地盤のゼネコン中堅企業です。免震技術やトンネル工事に強みを持ち、バイオマス発電事業も手掛けています。

総合判定

業績回復期待と高い配当利回りを持つ構造転換期銘柄

投資判断のための3つのキーポイント

  • 直近の業績上方修正と配当増額により、2026年3月期は大幅な利益回復と高水準の株主還元が期待されます。
  • 免震技術やトンネル工事という特色ある強みに加え、再生可能エネルギー事業への展開は中長期的な成長機会を提供します。
  • 2025年3月期は大幅な減益により配当性向が極めて高かったため、利益の持続的な回復と配当政策の安定性が今後の重要な注目点となります。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 A 利益回復期待
収益性 D 現状は低水準
財務健全性 A 良好
バリュエーション C やや割高

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 6,370円
PER 16.80倍 業界平均14.0倍
PBR 1.19倍 業界平均1.1倍
配当利回り 4.14%
ROE 2.93%

1. 企業概要

奥村組は1907年創業の建設会社で、土木・建築工事を主軸に、建設機械の設計・製造・販売、不動産・土地管理サービスも手掛けています。特に免震技術やトンネル工事に強みを持ち、近年はバイオマス発電事業を含む再生可能エネルギー分野にも事業を拡大しており、多角的な収益モデルを構築しています。

2. 業界ポジション

関西地方を主要地盤とする中堅ゼネコンとして、特定の工種における技術力を強みに競争力を維持しています。免震技術やシールドトンネル技術は高度な専門性を要し、高い参入障壁を持つニッチな市場で優位性を確立しています。競合他社が多い建設業界において、これらの独自技術は受注競争における強みとなっています。

3. 経営戦略

奥村組は、中長期的な成長戦略として、高度な技術力を要する土木・建築分野での強みを維持しつつ、再生可能エネルギー分野など新たな収益源の育成を重視しています。直近の適時開示では、2026年3月期の連結業績予想と配当予想を上方修正しており、売上高3025億円、営業利益152億円、年間配当264円を見込んでいます。特に建築事業の受注が大幅に増加しており、業績の牽引役となっています。2026年5月15日には通期決算発表が予定されており、今後の具体的な戦略や事業進捗に注目が集まります。決算短信では石狩バイオエナジーに関する為替評価益計上やノンリコース借入の財務制限条項抵触とそれに伴う追加融資の実施といった重要な変動も報告されており、財務健全性と新規事業の遂行状況は注視すべき点です。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 6/9 A: 良好
収益性 2/3 (純利益、ROAはプラスだが、営業キャッシュフローのデータなし)
財務健全性 3/3 (流動比率良好、D/Eレシオ低く、株式希薄化なし)
効率性 1/3 (四半期売上成長率はプラスだが、営業利益率、ROEが基準未満)

F-Score解説:
奥村組のPiotroski F-Scoreは6点/9点で「A: 良好」と評価されます。これは、同社の財務状況が全体的に健全であることを示唆しています。
収益性では、純利益とROAがプラスであることが評価され2点を獲得しています。営業キャッシュフローの項目は提供データにないため評価外です。
財務健全性では、流動比率が基準(1.5以上)を満たし、自己資本に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)が基準(1.0未満)を下回り、さらに株式の希薄化もなかったため、満点の3点を獲得しています。
効率性では、四半期売上成長率がプラスではあるものの、営業利益率とROEが改善の余地があるため、1点に留まっています。特にROEの低さは、株主資本の有効活用という点で課題を示しています。

【収益性】

  • 営業利益率(過去12か月): 5.23%。建設業界としては一般的な水準ですが、高収益企業と比較すると改善の余地があります。
  • ROE(過去12か月): 2.93%。一般的な目安とされる10%を大きく下回っており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す力が低い状態です。
  • ROA(過去12か月): 2.73%。総資産に対する利益率も一般的な目安とされる5%を下回っており、経営資源全体を効率的に活用できているとは言えません。

【財務健全性】

  • 自己資本比率(実績): 45.1%。建設業としては比較的良好な水準で、企業の倒産リスクが低いことを示します。
  • 流動比率(直近四半期): 1.51倍。短期的な支払い能力を示す指標で、1.0倍を超えており、財務的に安全圏にあると言えます。

【キャッシュフロー】

決算期 営業CF (百万円) 投資CF (百万円) 財務CF (百万円) フリーCF (百万円)
連2023.03 17,900 772 -1,571 18,672
連2024.03 -17,139 1,458 -4,304 -15,681
連2025.03 -11,828 -1,492 12,070 -13,320

キャッシュフロー解説:
2024年3月期、2025年3月期と2期連続で営業キャッシュフローがマイナスに転じており、本業における資金創出能力に課題が見られます。これによりフリーキャッシュフローも大幅なマイナスとなっており、事業に必要な投資や株主還元を内部資金で賄うのが困難な状況であることを示唆しています。2025年3月期の財務キャッシュフローが大きくプラスとなっているのは、借入による資金調達が行われた可能性があり、決算短信のノンリコース借入に関する言及と整合的です。

【利益の質】

営業CF/純利益比率: 直近12ヶ月の営業キャッシュフローの具体的なデータが提供されていないため、この比率の算出は困難です。しかし、年次データでは直近2期連続で営業キャッシュフローがマイナスとなっており、営業利益に対するキャッシュフローの質は低いと評価できます。

【四半期進捗】

2026年3月期第3四半期決算は非常に好調でした。売上高は230,972百万円(前年同期比+5.9%)、営業利益は13,820百万円(前年同期比+143.9%)と大幅な増益を達成しています。通期予想に対する進捗率は、売上高が76.4%、営業利益が91.0%、純利益は既に111.4%と既に通期予想を上回っています。これは、通期予想が保守的であったか、第4四半期に大幅な特別損失が発生しない限り、さらなる上方修正の可能性があることを示唆しています。特に土木事業と建築事業が利益を大きく牽引しており、投資開発事業では損失を計上しています。

【バリュエーション】

  • PER(会社予想): 16.80倍。業界平均14.0倍と比較するとやや割高な水準です。これは、今後の業績回復への期待が既に株価に織り込まれている可能性を示唆しています。
  • PBR(実績): 1.19倍。業界平均1.1倍と比較するとほぼ同水準、またはやや割高と言えます。PBR1倍超は企業の解散価値を上回る評価を受けていることを示し、投資家が企業価値を認めていると解釈できます。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 -100.96 / -91.8 短期トレンド方向を示す
RSI 中立 43.1% 70以上=過熱、30以下=売られすぎ
5日線乖離率 -1.03% 直近のモメンタムはやや弱い
25日線乖離率 -3.13% 短期トレンドからの乖離はやや下向き
75日線乖離率 -3.53% 中期トレンドからの乖離はやや下向き
200日線乖離率 +15.46% 長期トレンドに対し株価は比較的上昇

MACDRSIは「中立」を示しており、明確な買いまたは売りのシグナルは出ていません。RSIが43.1%であることから、買われすぎとも売られすぎとも言えない状態です。

【テクニカル】

現在の株価6,370円は、52週高値7,490円から約15%低い水準にあります。直近の5日、25日、75日移動平均線に対しては下回っており、短期から中期にかけて下落トレンドにあることを示唆しています。しかし、200日移動平均線5,503.77円を大きく上回っており、長期的な上昇トレンドは維持されていると見ることができます。現在の株価は、短期的な調整局面にあると考えられます。

【市場比較】

期間 当銘柄 日経平均
1ヶ月 -7.81% -3.94% -3.88%pt
3ヶ月 +3.24% +6.14% -2.90%pt
6ヶ月 +31.48% +18.62% +12.86%pt
1年 +41.71% +40.50% +1.21%pt

奥村組の株価は、過去1年間では日経平均をわずかに上回るパフォーマンスを見せていますが、直近1ヶ月と3ヶ月では日経平均を下回っています。これは短期的なモメンタムの弱さを示していますが、中長期(6ヶ月、1年)では市場平均をアウトパフォームしており、投資家の評価は相対的に高いと言えます。

6. リスク評価

注意事項:
⚠️ 信用倍率3.10倍とやや高水準であり、将来的に信用買い残の解消に伴う売り圧力が発生する可能性に注意が必要です。

【定量リスク】

  • ベータ値(5Y Monthly): 0.10。市場全体の動きに対する株価の感応度が非常に低いことを示しており、ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
  • 年間ボラティリティ: 25.41%
  • 最大ドローダウン: -49.05%
  • 年間平均リターン: -13.20%

これに基づくと、仮に100万円投資した場合、年間で±25万円程度の変動が想定され、過去には最大で約49万円の下落も経験しています。

【事業リスク】

  • 建設投資の変動リスク: 国内建設需要は景気動向や公共投資政策に大きく左右されます。人手不足、資材価格の高騰も収益性を圧迫する可能性があります。
  • 新規事業の不確実性: バイオマス発電などの再生可能エネルギー事業は、初期投資が大きく、事業立ち上げには時間がかかります。安定した収益貢献までには不確実性が伴い、特に「石狩バイオエナジー」における為替評価益計上や借入条件などの動向は注視が必要です。
  • 財務変動リスク: 直近2期の営業キャッシュフローのマイナスや、ノンリコース借入の財務制限条項抵触と追加融資の実施は、今後の財務状況に影響を与える可能性があります。

7. 市場センチメント

信用取引状況: 信用倍率は3.10倍です。信用買残が多い状態であり、将来的な売り圧力が懸念されるものの、その水準は極端に高いとは言えません。
主要株主構成:

  • 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 13.71%
  • 自社(自己株口) 6.53%
  • 自社従業員持株会 5.29%

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 4.14%。高水準の配当利回りであり、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的な水準です。
  • 配当性向(2025年3月期実績): 292.1%。2025年3月期は大幅な減益により、利益を大きく上回る配当を実施したため、配当性向が極めて不健全な水準となっています。

【配当持続可能性】:
⚠️ 2025年3月期の配当性向が292.1%と非常に高く、利益を大幅に超える配当を実施しているため、現水準の維持は困難な可能性があります。しかし、2026年3月期は業績が回復し、予想EPS379.14円に対し年間配当264.00円を予定しているため、現時点での予想配当性向は約69.6%に改善が見込まれます。この水準であれば、特別不健全とは言えないものの、配当性向80%超が減配リスクの目安となるため、利益の安定的な回復が配当方針上重要です。

SWOT分析

強み

  • 免震技術やトンネル工事など、建設業界における高い専門技術力を保有しています。
  • 業績上方修正と配当増により、投資家への還元意欲と事業回復力が示されています。

弱み

  • 直近のROEおよびROAが低水準であり、資本効率の改善が急務となっています。
  • 過去2期の営業キャッシュフローがマイナスであり、本業による資金創出能力に課題が見られます。

機会

  • 老朽化したインフラの更新需要や、災害対策としての免震・耐震技術への需要増が期待されます。
  • 再生可能エネルギー導入推進の流れの中で、バイオマス発電事業が新たな収益柱に育つ可能性があります。

脅威

  • 建設資材価格の高騰や人件費の上昇が、今後の工事採算性を圧迫する可能性があります。
  • 深刻な人手不足が指摘される建設業界において、労働力確保が事業運営上のリスクとなり得ます。

この銘柄が向いている投資家

  • 高配当を魅力と感じ、長期的な視点で建設業界の安定性とに期待する投資家: 予想配当利回りが魅力的な水準であり、今後の業績回復による配当維持・増配に期待できるため。
  • 特定技術による優位性や新規事業への成長を評価する中長期投資家: 免震・トンネル技術、バイオマス発電事業といった独自性に着目し、その成長シナリオに投資したいと考える投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 2025年3月期の一時的な減益によって配当性向が異常に高かった点を理解し、2026年3月期の業績が予想通りに回復し、配当持続性が確保されるかを確認する必要があります。
  • 営業キャッシュフローの継続的な改善と、有利子負債の管理状況、特に新規事業投資における資金面でのリスクを注視することが重要です。

今後ウォッチすべき指標

  • 営業利益率の安定的な向上(目標値: 5.5%以上): 収益力改善の重要な指標。
  • ROEの着実な改善(目標値: 8%以上への回復): 株主資本効率の向上を確認するための指標。
  • 営業キャッシュフローのプラス転換と定着: 本業による資金創出能力の改善を示す指標。
  • 信用倍率の推移(目標値: 2.0倍以下への改善): 将来の売り圧力の軽減を示す指標。

成長性

スコア: A (利益回復期待)

理由: 直近12ヶ月の売上高成長率は1.0%と低いものの、2026年3月期第3四半期決算では営業利益が前年同期比143.9%増と大幅に回復しており、通期予想も上方修正されています。通期純利益予想進捗率は既に111.4%であることから、利益面での力強い回復が期待されるため、A評価としました。

収益性

スコア: D (現状は低水準)

理由: 直近12ヶ月のROEは2.93%と、一般的な目安である10%を大きく下回っています。また、営業利益率も5.23%にとどまっているため、現状の収益性は低いと評価しD評価としました。ただし、2026年3月期の業績予想は大幅に改善しているため、今後ROEおよび営業利益率が改善に向かう可能性はあります。

財務健全性

スコア: A (良好)

理由: 自己資本比率は45.1%で良好な水準を維持しており(基準A: 40-60%)、流動比率も1.51倍と短期的な支払い能力に問題はありません(基準A: 150%以上)。また、Piotroski F-Scoreも6/9点と「良好」な評価を得ているため、総合的にA評価としました。

バリュエーション

スコア: C (やや割高)

理由: PERは会社予想で16.80倍であり、業界平均14.0倍と比較すると約120%に位置するため、評価基準ではC評価に該当します。PBRも1.19倍と業界平均1.1倍をやや上回っており、株価は業界平均と比較してやや割高と評価しました。


企業情報

銘柄コード 1833
企業名 奥村組
URL http://www.okumuragumi.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 建設・資材 – 建設業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 6,370円
EPS(1株利益) 379.09円
年間配当 4.14円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 6.1% 18.8倍 9,620円 8.6%
標準 4.7% 16.4倍 7,821円 4.3%
悲観 2.8% 13.9倍 6,070円 -0.9%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 6,370円

目標年率 理論株価 判定
15% 3,900円 △ 63%割高
10% 4,871円 △ 31%割高
5% 6,147円 △ 4%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
インフロニア・ホールディングス 5076 2,211 6,078 10.13 1.17 11.5 4.16
戸田建設 1860 1,446 4,599 15.86 1.15 8.4 3.11
西松建設 1820 5,775 2,413 11.07 1.24 12.6 3.80

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.35)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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