企業の一言説明

ミヨシ油脂(4404)は業務用マーガリンをはじめとする食用油製品で国内高シェアを持つ食品事業に加え、界面活性剤などの油化事業を展開する独立系の老舗企業です。

総合判定

高ROEだが割安に放置された財務優良企業:特別利益の持続性と本業の収益改善が鍵

投資判断のための3つのキーポイント

  • 極めて堅実な財務体質と低PBR評価: Piotroski F-Scoreが8/9点と財務が極めて優良であり、自己資本比率も高い水準を維持。一方でPBRは業界平均を大幅に下回る0.53倍であり、市場から割安に評価されています。
  • 特別利益に依存した高ROES: 足元のROEは極めて高い値を示していますが、これは直近で計上された約120億円に上る有形固定資産売却益などによる特別利益に大きく依存しており、本業の収益性には改善余地があります。
  • 本業の収益性改善と市場相対パフォーマンスの課題: 2025年12月期の営業利益は前期比で減少しており、本業の収益改善が継続的な企業価値向上の必須条件です。また、過去1年間の株価は日経平均やTOPIXを大幅に下回るパフォーマンスとなっており、市場からの評価向上が課題です。

企業スコア早見表

観点 スコア 判定
成長性 C やや鈍化
収益性 C 改善余地あり
財務健全性 S 極めて優良
バリュエーション S 大幅に割安

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 2,216.0円
PER 15.17倍 業界平均16.8倍
PBR 0.53倍 業界平均1.2倍
配当利回り 3.16%
ROE 26.11%

1. 企業概要

ミヨシ油脂は1921年創業の老舗油脂素材メーカーで、業務用マーガリン、ショートニングなどの食用加工油脂において国内で高いシェアを誇ります。食品事業が主力ですが、脂肪酸、グリセリン、界面活性剤などを製造する油化事業も展開し、多角的な収益モデルを構築しています。特定の用途向けにカスタマイズされた高機能油脂製品や、重金属汚染土壌対策など環境技術も手掛けており、技術的な独自性が強みです。

2. 業界ポジション

ミヨシ油脂は、業務用マーガリンなど食用加工油脂市場において安定した供給力を持ち、高シェアを確保しています。国内の食品メーカーや外食産業が主要顧客であり、ブランド力と品質、供給網で競合との差別化を図っています。油化事業では、界面活性剤など特殊用途の製品を展開し、化学メーカーなど幅広い競合と対峙していますが、特定のニッチ市場で強みを発揮しています。

3. 経営戦略

ミヨシ油脂は、2026年12月期において、売上高622億円(前期比4.6%増)、営業利益25.4億円(前期比29.6%増)と増収増益を見込んでおり、本業の収益力回復を目指しています。直近の決算では特別利益が純利益を大きく押し上げましたが、今後は食品事業および油化事業双方での生産性向上やコスト構造改革を通じた本業の収益性改善が重要な戦略となります。
今後のイベントとしては、2026年12月29日配当落ち日が予定されています。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

与えられたデータから算術されたPiotroski F-Scoreは以下の通りです。

項目 スコア 判定
総合スコア 8/9 S: 財務優良(収益性・健全性・効率性すべて良好)
収益性 3/3 純利益、営業キャッシュフロー、ROA全てプラスで優良な収益活動を示しています。
財務健全性 3/3 流動比率が高く、負債比率が低く、株式の希薄化もないため健全性が高いと評価されます。
効率性 2/3 ROEも良好で、四半期売上成長率もプラスですが、営業利益率が10%未満であることが減点要因となっています。

Piotroski F-Scoreの総合スコア8/9は、ミヨシ油脂の財務体質が極めて優良であることを示しています。特に収益性と財務健全性において満点であり、持続可能な事業運営の基礎が確立されていると評価できます。効率性においては営業利益率が10%未満であるものの、その他の指標は良好です。

【収益性】

営業利益率は過去12か月で5.16%と、一般的な目安である10%には及ばず、改善の余地があります。ROA(総資産利益率)は過去12か月で1.56%であり、総資産を効率的に活用して利益を生み出す力は業界ベンチマークの5%を下回っており改善が求められます。一方、ROE(自己資本利益率)は過去12か月で26.10%と極めて高い水準を記録しており、株主資本の利用効率は良好に見えますが、これは後述の特別利益の影響が大きいことに注意が必要です。

【財務健全性】

自己資本比率は(実績)50.6%と、企業の財務基盤が強固であることを示しており、負債への依存度が低い健全な状態です。流動比率は(直近四半期)1.57(157%)と、短期的な支払い能力も十分にある良好な水準です。これらの指標からも、財務的な安定性が確認できます。

【キャッシュフロー】

過去12か月間のキャッシュフロー状況は以下のとおりです。

項目
営業CF 23.5億円
投資CF 53.1億円
財務CF -52.2億円
フリーCF -12.5億円
現金等残高 96.7億円

営業キャッシュフローは23.5億円とプラスで本業において着実に資金を獲得していますが、投資キャッシュフローは53.1億円の流出となっており、設備投資や事業拡大への積極的な投資が行われていることが窺えます。結果として、フリーキャッシュフローは-12.5億円とマイナスであり、本業で得た資金融通だけでは投資活動を賄いきれていない状況にあります。現金同等物残高は前期末から増加し96.7億円となっています。

【利益の質】

営業CF/純利益比率は0.24倍と、1.0倍を大幅に下回っており、利益の質には懸念があります。これは、2025年12月期に計上された123億円を超える有形固定資産売却益などの特別利益が純利益を大きく押し上げた一方で、営業キャッシュフローは特別利益を含まない本業の活動に基づくため、乖離が大きくなっているためです。会計上の利益と実際の資金流入の間にギャップがあることを示唆しています。

【四半期進捗】

決算短信によると四半期決算ではないため、通期予想に対する進捗率および直近3四半期の売上高・営業利益の推移のデータは記載がありません。

【バリュエーション】

ミヨシ油脂のPER(会社予想)は15.17倍であり、食品業界平均の16.8倍と比較するとやや割安な水準にあります。PBR(実績)は0.53倍と、業界平均の1.2倍を大幅に下回っており、企業の純資産価値と比較して株価が著しく低い、いわゆる「割安」な状態にあると判断できます。特にPBRの低さは、市場が企業の潜在価値を十分に評価していない可能性を示唆しています。

【テクニカルシグナル】

テクニカル指標の状況は以下の通りです。

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: -14.98 / シグナルライン: -19.59 短期トレンド方向を示す
RSI 中立 44.1% 70以上=過熱、30以下=売られすぎ
5日線乖離率 -1.24% 直近のモメンタムが弱い
25日線乖離率 -0.86% 短期トレンドからの乖離はわずか
75日線乖離率 -6.25% 中期トレンドから下方に乖離
200日線乖離率 -0.01% 長期トレンドライン付近で推移

MACDは中立状態であり、RSIも44.1%と買われすぎでも売られすぎでもない中立圏で推移しています。移動平均線乖離率を見ると、株価は5日移動平均線、25日移動平均線、75日移動平均線を下回っており、特に中期的な下降トレンドが示唆されていますが、200日移動平均線付近にとどまっています。

【テクニカル】

現在の株価2,216.0円は、52週高値2,670.00円から約17%低い水準にあります。200日移動平均線(2,225.83円)に非常に接近しており、長期的なトレンドの分岐点となる可能性があります。しかし、5日、25日、75日移動平均線は株価を上回っており、短期から中期にかけては上値抵抗として機能している状態です。52週レンジ内では63.6%の位置にあり、年間を通じての中間よりやや高値寄りですが、直近では下落傾向にあります。

【市場比較】

ミヨシ油脂の株価は、市場全体と比べて直近で低調なパフォーマンスを示しています。

期間 当銘柄 日経平均
1ヶ月 -2.85% +5.86% -8.71%pt
3ヶ月 -11.61% +8.07% -19.68%pt
6ヶ月 +0.73% +20.37% -19.64%pt
1年 +39.37% +87.80% -48.43%pt

当銘柄の株価は、特に過去1年間で日経平均株価を48.43%ポイント、TOPIXを1ヶ月で4.02%ポイント、3ヶ月で14.11%ポイントそれぞれ下回っており、市場全体と比べて劣後するパフォーマンスが続いています。

【注意事項】

⚠️ 信用倍率が13.51倍と高水準です。これは将来の売り圧力につながる可能性があり、株価への警戒が必要です。

基本リスク指標

指標 判定 ひとことメモ
ベータ値 0.15 ◎良好 市場平均よりも値動きが小さく安定している
年間ボラティリティ 32.50% △やや注意 1年間で価格が大きくブレる可能性。中程度の変動幅
最大ドローダウン -73.25% ▲注意 過去最悪の下落率。この程度の急落は今後も起こりうる
シャープレシオ -0.68 ▲注意 リスクを取った分だけリターンが得られていない

リスク効率指標

指標 判定 ひとことメモ
ソルティノレシオ 0.15 ▲注意 下落リスクだけで見たリターン効率は低い
カルマーレシオ 0.05 ▲注意 最大下落からの回復力が弱い

市場連動性

指標 判定 ひとことメモ
市場相関 0.43 ◎良好 日経平均と緩やかに連動する傾向
0.19 値動きのうち市場要因で説明できる割合は約19%

【ポイント解説】

ミヨシ油脂の株価特性は、ベータ値が0.15と低く、市場全体の変動に比較的左右されにくい非連動型の動きを示す傾向にあります。しかし、年間ボラティリティは32.50%とやや高く、価格変動のリスクが存在します。現在のボラティリティ水準は過去1年で上位82%に位置しており、比較的変動が激しい時期に入っていると言えます。過去の最大ドローダウンは-73.25%と非常に大きく、その回復には1465日間を要し、現在もなお完全には回復していません。シャープ・ソルティノ・カルマー各レシオが「▲注意」と評価されていることから、この銘柄はリスクに見合った十分なリターンを提供できていない可能性があります。
> 仮に100万円投資した場合: 年間で±32万円程度の変動が想定されます。
> 分散投資の目安: ポートフォリオの3%程度が目安です。
> ※これらは過去データに基づく参考値であり、将来の成果を保証するものではありません。投資助言ではありません。

【事業リスク】

  • 原材料価格の変動: 大豆油やパーム油などの油脂原材料は国際商品市場に連動し、価格変動が激しいため、原価上昇が収益を圧迫する可能性があります。
  • 為替変動リスク: 原材料の多くを輸入に頼っているため、円安が進行すると輸入コストが増大し、営業利益に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 市場競争: 食品業界、特にBtoB市場では価格競争が激しく、競合他社との競争激化が収益性を低下させるリスクがあります。

7. 市場センチメント

信用倍率は13.51倍と高水準であり、信用買い残が増加傾向にあることから、将来的な売り圧力や株価の調整リスクに注意が必要です。市場全体のセンチメントとしては、中立的なニュースが多く、株価に与える影響は限定的です。
主要株主構成は以下の通りです。

  • 山崎製パン
  • 日清オイリオグループ
  • 自社協力会

8. 株主還元

配当利回りは(会社予想)3.16%と、比較的魅力的な水準にあります。2025年12月期の1株配当は特別配当を含む100円でしたが、2026年12月期は普通配当のみの70円を予定しており、減配となる点には留意が必要です。2025年12月期の配当性向は10.6%と非常に低いですが、これは特別利益により純利益が一時的に大きく押し上げられた影響です。2026年12月期の予想EPS146.1円に基づくと、配当性向は約47.9%となり、健全な水準に収まります。自社株買いの状況に関するデータはありません。

SWOT分析

強み

  • Piotroski F-Scoreが8/9と財務が極めて優良であり、自己資本比率も堅実。
  • 業務用油脂製品で高い市場シェアと安定した顧客基盤を持つ。

弱み

  • 本業の営業利益率が低く、収益性に課題を残している。
  • フリーキャッシュフローがマイナスであり、投資回収の課題が示唆される。

機会

  • PBRが低く、株主価値向上に向けた市場からの期待や改善余地が大きい。
  • 環境対応技術(重金属汚染土壌対策など)の需要拡大。

脅威

  • 原材料価格や為替変動が収益変動要因となるリスク。
  • 特別利益の剥落により、今後の純利益が大幅に減少する可能性。

この銘柄が向いている投資家

  • 長期的な財務安定性と割安性を重視するバリュー投資家: 健全な財務と低いPBRに魅力を感じる投資家。
  • 配当利回りを重視するが、特別利益と減配リスクを理解できる投資家: 安定配当を期待するが、純利益の変動要因と配当政策の変更を考慮できる投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 特別利益の持続性と本業の収益改善: 直近の高ROEや配当は特別利益に大きく依存しており、本業での収益改善が実現できるかを見極める必要があります。
  • 信用倍率の高止まりと流動性: 信用倍率が13.51倍と高水準であり、将来的な売り圧力や株価の急変動リスクに注意が必要です。

今後ウォッチすべき指標

  • 営業利益率: 本業の収益力改善を示す目安として、5.5%以上への回復を目指せるか。
  • フリーキャッシュフロー: 事業活動で稼いだ資金で投資を賄い、残余を成長や株主還元に充てられるか、プラスへの転換が条件。
  • 信用倍率: 売り圧力の緩和を示す指標として、8倍以下への改善。

10. 企業スコア

観点 スコア 判定理由
成長性 C 売上高成長率は前期比4.3%と緩やかな伸びに留まる。
収益性 C 高ROEは特別利益に依存し、営業利益率は低水準。
財務健全性 S 自己資本比率、流動比率、F-Scoreが揃って高評価。
バリュエーション S PERと特にPBRが業界平均を大幅に下回り割安。

企業情報

銘柄コード 4404
企業名 ミヨシ油脂
URL http://www.miyoshi-yushi.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 食品 – 食料品

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,216円
EPS(1株利益) 146.06円
年間配当 3.16円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 20.2% 17.7倍 6,490円 24.1%
標準 15.5% 15.4倍 4,632円 16.0%
悲観 9.3% 13.1倍 2,987円 6.3%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 2,216円

目標年率 理論株価 判定
15% 2,315円 ○ 4%割安
10% 2,891円 ○ 23%割安
5% 3,649円 ○ 39%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
日油 4403 3,121 7,381 18.73 2.52 14.1 1.95
ADEKA 4401 3,969 4,118 16.15 1.26 8.5 2.62
カネカ 4118 4,964 3,127 10.08 0.62 6.5 3.22

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.39)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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