企業の一言説明

東邦アセチレンは工業用ガスを主力とし、器具機材、LPガスや生活設備、環境エネルギーまで手掛ける東北地盤のアセチレン中堅企業です。

総合判定

堅実なニッチ市場プレイヤーだが、収益性と成長性に課題を抱える成熟企業

投資判断のための3つのキーポイント

  • 東北地盤で工業用ガス市場における一定のポジションを確立しており、財務は安定しています。
  • 多様な事業展開で収益の多角化を図るものの、全体的な成長性は鈍化傾向にあります。
  • 過去の株価変動が大きく、特に最大ドローダウンが-80%を超えるなど、下落リスクには注意が必要です。

企業スコア

観点 スコア 判定理由
成長性 C 売上高成長率は低く、横ばい傾向が続くため
収益性 C ROE、営業利益率ともに業界平均を下回る水準
財務健全性 A 自己資本比率が高く、流動性も比較的良好
バリュエーション B PERは割安圏だがPBRは業界平均並みで割安感は限定的

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 446.0円
PER 12.9倍 業界平均15.9倍
PBR 0.83倍 業界平均0.7倍
配当利回り 3.14%
ROE 6.70%

1. 企業概要

東邦アセチレンは1948年設立の化学品メーカーで、工業用ガス(アセチレン、酸素、窒素など)を主軸に、高圧ガス関連機器、LPガス、生活設備、環境エネルギー事業を多角的に展開しています。東北地方を地盤とし、多様な産業顧客への安定供給を通じて地域社会を支える「ガスと設備の総合ソリューション企業」としての地位を築いています。東ソー・日本酸素ホールディングスと連携し、技術的優位性を確保している点も特徴です。

2. 業界ポジション

同社は東北地方を地盤とする工業用ガスの中堅企業であり、特定地域において強固な顧客基盤を有しています。高圧ガス供給に加え、関連機器の販売、LPガス、生活インフラ、さらには自動車機器や製氷機関連事業まで幅広く手掛けることで、単なるガス供給にとどまらないソリューション提供力を強みとしています。ただし、全国規模の大手ガスメーカーと比較すると規模は小さく、競争環境は依然として厳しい状況です。

3. 経営戦略

東邦アセチレンは、既存の工業用ガス事業の安定化を図るとともに、新たな成長分野として自動車機器関連事業や製氷機関連事業の強化を推進しています。直近の決算短信では、自動車機器関連事業や製氷機関連事業が大幅な増益を達成しており、多角化戦略の一端が成果を上げつつあります。2026年3月期の通期連結業績予想では、売上高は横ばいながらも利益確保を目指す堅実な計画となっています。今後のイベントとして、2026年3月30日の期末配当落ち日が予定されています。

4. 財務分析

東邦アセチレンの財務状況は、Piotroski F-Scoreに基づいて「良好」と評価されます。収益性には改善の余地があるものの、財務健全性は非常に高く、経営効率性においても一部強みが見られます。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 6/9 A: 良好
収益性 2/3 純利益、ROAは良好だが営業CFデータなし
財務健全性 3/3 流動比率、負債比率、株式希薄化状況すべて良好
効率性 1/3 四半期売上成長率はプラスだが、利益率とROEが課題

収益性スコア(2/3): 過去12ヶ月の純利益はプラスで、総資産利益率(ROA)も0%を上回っており、基本的な収益性は確保されています。しかし、営業キャッシュフローのデータが直接提供されていないため、キャッシュ創出力の評価は保留となります。
財務健全性スコア(3/3): 流動比率は1.76と基準の1.5を上回っており、短期的な支払い能力は良好です。負債純資産倍率(D/Eレシオ)も15.83%(0.1583)と非常に低く、財務レバレッジが低い健全な状態です。また、株式の希薄化も発生しておらず、株主価値が保たれています。
効率性スコア(1/3): 直近四半期の売上高成長率は前年同期比で1.40%とプラスを維持しており、事業は拡大基調にあります。しかし、過去12ヶ月の営業利益率(6.09%)と自己資本当期純利益率(ROE)(6.70%)がともに10%の基準を下回っており、資本効率と収益効率の改善が今後の課題として挙げられます。

【収益性】

過去12ヶ月の営業利益率6.09%ROE6.70%ROA3.41%です。ROEは一般的な目安とされる10%を下回り、ROAも5%のベンチマークに届いていません。営業利益率も一桁にとどまっており、全体として収益性の改善が重要なテーマとなっています。

【財務健全性】

直近四半期の自己資本比率54.41%と非常に高く、負債依存度が低い安定した財務体質です。また、流動比率1.76(176%)であり、短期的な支払い能力にも不安はありません。堅実な財務基盤は、不確実性の高い経済状況下での事業継続性を支える強みと言えます。

【キャッシュフロー】

決算期 フリーCF(百万円) 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円) 現金等残高(百万円)
2023.03 662 1105 -443 -454 8537
2024.03 943 2406 -1463 -492 8987
2025.03 1238 2231 -993 -730 9495

営業キャッシュフローは堅調に推移しており、事業活動を通じて安定的に現金を創出できています。フリーキャッシュフローもプラスで推移していることから、自社の資金で投資や債務返済を行える余力があり、財務的な自律性が高いと言えます。現金等残高も年々増加傾向にあり、潤沢な手元資金を保有しています。

【利益の質】

営業CF/純利益比率は、2025年3月期実績値(営業CF 2,231百万円 / 純利益 1,287百万円)で約1.73倍となり、純利益を大きく上回る営業キャッシュフローを創出しており、利益の質は非常に健全であると評価できます。

【四半期進捗】

2026年3月期第3四半期累計の売上高進捗率は通期予想に対して71.6%、営業利益進捗率は64.8%、経常利益進捗率は70.1%、純利益進捗率は69.2%です。一般的に第3四半期で75%程度の進捗が目安とされる中で、売上高は堅調ながら、利益項目はやや下回る進捗となっています。セグメント別では、自動車機器関連事業と製氷機関連事業が好調に推移している一方で、ガス関連事業と器具器材関連事業は減収減益となっており、事業間のばらつきが見られます。通期予想達成には、第4四半期での巻き返しが求められる状況です。

【バリュエーション】

東邦アセチレンのPERは12.9倍であり、業界平均PER15.9倍と比較するとやや割安な水準にあります。一方、PBRは0.83倍と業界平均PBR0.7倍を上回っており、一概に割安とは言えない状況です。PERとPBRのバランスから判断すると、現在の株価は適正水準に近いと言えるでしょう。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値/シグナル値 短期トレンド方向を示す
RSI 中立 0-100 70以上=過熱、30以下=売られすぎ
5日線乖離率 -0.04% 直近のモメンタム
25日線乖離率 -1.61% 短期トレンドからの乖離
75日線乖離率 +7.90% 中期トレンドからの乖離
200日線乖離率 +18.56% 長期トレンドからの乖離

MACDとRSIは共に中立を示しており、明確なトレンドシグナルは発生していません。移動平均線乖離率を見ると、5日線と25日線はわずかに下回っているものの、75日線および200日線からは大きく上方に乖離しており、中期から長期では上昇トレンドが継続していることを示唆しています。

【テクニカル】

現在の株価446.0円は、52週高値505.00円から約11.6%低い位置にあり、52週安値325.00円からは約37.2%高い位置にあたります。50日移動平均線(434.96円)よりやや高く、200日移動平均線(375.82円)を大きく上回って推移しており、長期的な上昇基調は維持されています。しかし、直近では5日移動平均線(446.20円)と25日移動平均線(453.56円)を下回っており、短期的な調整局面にあると考えられます。

【市場比較】

期間 当銘柄 日経平均
1ヶ月 -8.61% +10.22% -18.82%pt
3ヶ月 +20.54% +9.06% +11.48%pt
6ヶ月 +25.99% +22.33% +3.66%pt
1年 +29.28% +78.19% -48.91%pt

足元の1ヶ月では日経平均を大きく下回るパフォーマンスですが、3ヶ月、6ヶ月といった中期スパンでは日経平均を上回る相対的な強さを見せています。ただし、1年間の長期スパンでは日経平均の急伸に追随できず、大きく劣後する結果となっています。これは、市場全体の大型株主導のトレンドに対し、中小型で事業成長の鈍化が見られる同社が追いつけなかった側面を示唆しています。

基本リスク指標

指標 判定 ひとことメモ
年間ボラティリティ 28.63% ○普通 1年間でどれくらい価格がブレるか
最大ドローダウン -80.07% ▲注意 過去最悪の下落率。この程度は今後も起こりうる
シャープレシオ -0.14 ▲注意 リスクを取った分だけリターンが得られているか

リスク効率指標

指標 判定 ひとことメモ
ソルティノレシオ 0.49 △やや注意 下落リスクだけで見たリターン効率
カルマーレシオ 0.17 ▲注意 最大下落からの回復力

市場連動性

指標 判定 ひとことメモ
市場相関 0.47 ◎良好 日経平均とどれだけ連動するか
0.22 値動きのうち市場要因で説明できる割合

【ポイント解説】

同銘柄は年間ボラティリティが28.63%と「普通」水準ですが、過去には最大ドローダウン-80.07%を経験しており、大幅な下落リスクを認識しておく必要があります。この大きな下落からの回復に2017日間を要したことから、下落からの回復力(カルマーレシオ0.17)は「注意」レベルと評価されます。シャープレシオもマイナスであり、リスクに見合うリターンが十分に得られていない状況です。市場との相関は0.47と比較的低く、株価変動の約22%が市場全体ではなく個別要因で説明されるため、独自の要素が株価に影響しやすい特性があります。現在のボラティリティは過去1年間で「高」水準(上位78%)にあり、売買には慎重な判断が求められます。
> 仮に100万円投資した場合: 年間で±40万円程度の変動が想定されます。
> 分散投資の目安: ポートフォリオの3%程度が目安です。
> ※これらは過去データに基づく参考値であり、将来の成果を保証するものではありません。投資助言ではありません。

【事業リスク】

主要な事業リスクとしては、景気変動による工業用ガスの需要減少、原材料(原油・天然ガス等)価格の変動、大手競合企業との価格競争激化が挙げられます。また、環境規制の強化が生産コスト増加に繋がる可能性や、東北地方という特定地域への依存度が高い点もリスク要因となります。

7. 市場センチメント

信用倍率0.00倍(信用買残176,900株に対し信用売残が0株)であり、現在の信用取引市場では新規の売り圧力がほとんどない状態です。これは株価上昇時に買い戻しによる相場の上昇圧力が期待できない一方で、売り仕掛けによる急落リスクも限定的であることを意味します。

主要株主構成

  • 東ソー:24.47%
  • 日本酸素ホールディングス:9.85%
  • UHPartners2投資事業有限責任組合:7.46%

主要株主として東ソーや日本酸素ホールディングスといった大手企業が上位に名を連ねており、安定株主が一定数存在します。これにより、経営の安定性が保たれていますが、流動性はやや低い傾向にあります。

8. 株主還元

東邦アセチレンの配当利回り3.14%(年間配当14.0円/株予測)であり、配当性向は過去12ヶ月実績で37.8%です。これは利益に対して無理のない範囲で配当を実施している健全な水準と言えます。同社は継続的な配当を志向しており、株主還元への意識は高いと評価できます。直近では自社株買いの情報は開示されていません。

SWOT分析

分類 項目 投資への示唆
💪 強み 東北地盤の強固な顧客基盤と多角的な事業展開
高圧ガス技術や設備提供の総合力
安定した収益基盤で経営の堅実性に期待できる
⚠️ 弱み 低い収益性(ROE、営業利益率)
一部事業の成長鈍化と進捗の遅れ
今後の収益構造改革や効率改善に注視が必要
🌱 機会 自動車機器や製氷機関連事業の成長
環境分野への積極的な展開
新規事業が全社成長の牽引役となる可能性
⛔ 脅威 原材料価格やエネルギーコストの変動リスク
地域経済の動向と少子高齢化の影響
コスト管理と市場ニーズ変化への対応が重要

この銘柄が向いている投資家

投資家タイプ 相性が良い理由
財務安定性を重視する長期投資家 自己資本比率が高く、安定した配当を継続しているため
ニッチ市場での堅実経営に注目する投資家 東北地盤の地位と多角化戦略に成長余地を見るため

この銘柄を検討する際の注意点

  • 収益性の低さ: ROE、営業利益率ともに業界平均を下回るため、事業の効率改善や収益構造改革の進捗を注視すべきです。
  • 過去の大きな下落: 最大ドローダウン-80.07%という大きな下落経験があるため、市場全体の変動リスクや個別要因による大幅な価格変動に備える必要があります。
  • 市場流動性の低さ: 信用売残がゼロであり、東ソーが大株主であることから、市場での取引量が少なく、望むタイミングで売買できない可能性があります。

今後ウォッチすべき指標

指標 現状 トリガー条件 注目理由
営業利益率 6.09% 10%以上への回復 利益率改善で収益力向上を示す
ROE 6.70% 10%以上への回復 資本効率の改善度を測る指標
自動車機器事業売上高成長率 +28.5% +10%以上の維持 新規事業の成長性継続を評価

企業情報

銘柄コード 4093
企業名 東邦アセチレン
URL http://www.toho-ace.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 素材・化学 – 化学

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 446円
EPS(1株利益) 32.74円
年間配当 14.00円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 4.4% 14.8倍 601円 8.8%
標準 3.3% 12.9倍 498円 5.2%
悲観 2.0% 11.0倍 397円 1.1%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 446円

目標年率 理論株価 判定
15% 286円 △ 56%割高
10% 357円 △ 25%割高
5% 451円 ○ 1%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
日本酸素ホールディングス 4091 5,772 24,998 20.23 2.13 12.5 1.00
エア・ウォーター 4088 2,257 5,185 1.16 -2.0 3.32
高圧ガス工業 4097 1,098 610 14.18 0.74 5.4 3.64

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.43)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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