企業の一言説明
エーアンドエーマテリアルは建築・建材および工業製品・エンジニアリングを展開する太平洋セメント系の建材大手企業です。
総合判定
高配当だが利益安定性に課題を抱える割安銘柄
投資判断のための3つのキーポイント
- 高水準の配当利回り: 会社予想ベースで4.46%と高い配当利回りを維持しており、PBR0.53倍、PER5.44倍と割安なバリュエーションも魅力です。
- 事業構造改革と成長戦略: デコール株式会社の新規連結などM&Aによる事業規模拡大を進め、建設・建材事業が好調に推移しています。
- 利益と配当の持続可能性: 過去12ヶ月の実績では依然として低い収益性を示しており、配当性向も高く、今後の利益改善と配当維持には注視が必要です。
企業スコア
| 観点 | スコア | 判定理由 |
|---|---|---|
| 成長性 | B | 売上は伸びるも、利益は変動しやすい |
| 収益性 | D | ROEがマイナスで利益率も低水準 |
| 財務健全性 | A | 自己資本比率は良好で負債も健全な水準 |
| バリュエーション | S | PER/PBR共に業界平均を大きく下回る |
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 1345.0円 | – |
| PER | 5.44倍 | 業界平均7.3倍 |
| PBR | 0.53倍 | 業界平均0.7倍 |
| 配当利回り | 4.46% | – |
| ROE | -0.64% | – |
※PER, PBRは各種指標の値を記載。ソースにより値が異なるため、本文で詳細を記載。
1. 企業概要
エーアンドエーマテリアルは、1924年設立の老舗企業で、太平洋セメントグループの建材大手です。不燃建材、高機能な工業材料、自動車部品などを製造・販売しており、特に防火・断熱・防音技術に強みを持っています。最近ではM&Aを通じて環境分野への進出も図り、事業領域の拡大を図っています。
2. 業界ポジション
同社は国内建材市場において、太平洋セメントを主要株主とする強固な基盤を持ち、大手建材メーカーとしての地位を確立しています。建材事業に加え、工業用摩擦・シール材、断熱材など多岐にわたる高機能材料を提供し、幅広い産業ニーズに対応することで、特定の競合にパフォーマンスは左右されにくく、安定した事業ポートフォリオを構築しています。
3. 経営戦略
2026年3月期通期予想では、売上高493億円、営業利益25億円、純利益19億円と、前期の減益・赤字から大幅な回復を見込んでいます。特に、DICデコール(現デコール株式会社)の取得による新規連結は、建設・建材事業の売上を大きく押し上げており、これが当期の成長ドライバーとなっています。同社はM&Aを成長戦略の一つとして位置づけ、事業ポートフォリオの強化と環境分野への進出を加速させています。
4. 財務分析
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 5/9 | A: 良好 |
| 収益性 | 2/3 | 純利益とROAがプラスでも、営業CF不詳 |
| 財務健全性 | 2/3 | 負債比率健全も、流動比率に改善余地 |
| 効率性 | 1/3 | 売上増は評価されるも、利益率やROEに課題 |
Piotroski F-Score解説:
総合スコアは5/9で「A: 良好」と判定されており、財務全体としては健全な基盤を持つ企業と評価できます。
収益性スコアは2/3です。過去12ヶ月の純利益とROAはプラスを維持しているものの、データに営業キャッシュフローの情報がないため、その点での評価は保留されています。
財務健全性スコアは2/3です。負債比率が健全な水準にあり、株式の希薄化も発生していない点で評価されます。ただし、流動比率がベンチマークの1.5倍を下回っているため、短期的な支払い能力にはやや注意が必要な状況です。
効率性スコアは1/3です。四半期売上高成長率はプラスを示しており事業規模の拡大は進んでいますが、営業利益率やROEが現状では低い水準に留まっており、資本効率の改善が今後の課題と言えるでしょう。
【収益性】
営業利益率は過去12ヶ月で3.02%と、一般的な目安である10%を大きく下回っています。ROEは過去12ヶ月で-0.64%とマイナスであり、ROAも2.41%とベンチマークの5%を下回っており、資本を効率的に活用して利益を生み出す力が弱い状態にあります。
【財務健全性】
自己資本比率は45.7%と、企業の財務安定性を示す上で良好な水準を維持しています。流動比率は1.43倍で、短期的な支払い能力は確保されていますが、より盤石な体制を目指すには1.5倍以上が望ましいとされます。
【キャッシュフロー】
| 決算期 | フリーCF | 営業CF | 投資CF | 財務CF | 現金等残高 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.03 | -1,011百万円 | -694百万円 | -317百万円 | 730百万円 | 2,046百万円 |
| 2024.03 | 3,580百万円 | 3,065百万円 | 515百万円 | -3,061百万円 | 2,570百万円 |
| 2025.03 | -1,394百万円 | 1,230百万円 | -2,624百万円 | -513百万円 | 665百万円 |
過去3年間のキャッシュフローを見ると、2024年3月期には営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローが大きく改善しましたが、2025年3月期は投資活動による支出が大きかったため、フリーキャッシュフローは-1,394百万円とマイナスに転じています。また、連結キャッシュフロー計算書が作成されていないため、詳細なキャッシュフローの状況を把握するには限界があります。
【利益の質】
連結キャッシュフロー計算書が作成されておらず、営業CF/純利益比率の算出に必要なデータが不足しているため、利益の質についての評価は困難です。
【四半期進捗】
2026年3月期第3四半期累計期間において、通期予想に対する売上高進捗率は68.5%と概ね順調ですが、営業利益進捗率は40.4%、純利益進捗率は49.7%と、利益面での進捗が遅れており、第4四半期での巻き返しが期待されます。
5. 株価分析
【バリュエーション】
同社のバリュエーションは、各種指標ではPER5.44倍、PBR0.53倍であり、一方でバリュエーション分析のデータではPER3.9倍、PBR0.39倍と、ソースにより若干の乖離が見られますが、いずれの数値を用いても業界平均のPER7.3倍、PBR0.7倍と比較して大幅に割安な水準にあります。これは、企業が持つ資産や将来の収益力に対し、現在の株価が過小評価されている可能性を示唆しています。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | MACD値:-9.73 / シグナル値:-2.96 | 短期トレンド方向を示す |
| RSI | 中立 | 40.2% | 70以上=過熱、30以下=売られすぎ |
| 5日線乖離率 | – | -1.42% | 直近のモメンタム |
| 25日線乖離率 | – | -3.96% | 短期トレンドからの乖離 |
| 75日線乖離率 | – | -4.69% | 中期トレンドからの乖離 |
| 200日線乖離率 | – | +2.39% | 長期トレンドからの乖離 |
テクニカルシグナルでは、MACDとRSIともに「中立」を示しており、明確なトレンドは確認できません。移動平均線では、株価が5日、25日、75日移動平均線を下回っており短期・中期的な下落圧力が示唆されますが、200日移動平均線は上回っており、長期的な目線では支持線となっています。
【テクニカル】
現在の株価1,345.0円は、52週高値1,665.0円から比較的離れており、52週レンジ内では44.0%の位置にあります。短期的には下落傾向が見られますが、長期の200日移動平均線は上回っており、長期的な底堅さも感じられます。
【市場比較】日経平均との相対パフォーマンス
| 期間 | 当銘柄 | 日経平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | -5.35% | +10.74% | -16.09%pt |
| 3ヶ月 | -6.14% | +11.53% | -17.68%pt |
| 6ヶ月 | +5.82% | +22.35% | -16.53%pt |
| 1年 | +20.74% | +71.36% | -50.62%pt |
過去1年間において、当銘柄は日経平均およびTOPIXといった市場指数を下回るパフォーマンスを示しており、市場全体の強い上昇トレンドに乗れていない状況です。
6. リスク評価
【注意事項】
⚠️ 信用倍率が170.64倍と高水準。将来の売り圧力に注意。
【リスク指標テーブル】
基本リスク指標
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| ベータ値 | 0.28 | ◎良好 | 市場平均より値動きが大きいか小さいか |
| 年間ボラティリティ | 29.07% | ○普通 | 1年間でどれくらい価格がブレるか |
| 最大ドローダウン | -30.67% | △やや注意 | 過去最悪の下落率。この程度は今後も起こりうる |
| シャープレシオ | -0.09 | ▲注意 | リスクを取った分だけリターンが得られているか |
リスク効率指標
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| ソルティノレシオ | 0.39 | △やや注意 | 下落リスクだけで見たリターン効率 |
| カルマーレシオ | 0.33 | △やや注意 | 最大下落からの回復力 |
市場連動性
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| 市場相関 | 0.49 | ◎良好 | 日経平均とどれだけ連動するか |
| R² | 0.24 | – | 値動きのうち市場要因で説明できる割合 |
【ポイント解説】
この銘柄のベータ値は0.28と非常に低く、「◎良好」と判定されており、市場全体が変動しても比較的値動きが穏やかであることが特徴です。年間ボラティリティは29.07%で「○普通」ですが、シャープレシオが-0.09であり、リスクに見合うリターンが得られていない点には注意が必要です。現在のボラティリティ水準は過去1年で「通常」の範囲にあります。過去の最大ドローダウンは-30.67%と「△やや注意」水準であり、この程度の下落は今後も起こりうる可能性があるため、リスク管理が重要です。
【投資シミュレーション】
> 仮に100万円投資した場合: 年間で±28万円程度の変動が想定されます。
> 分散投資の目安: ポートフォリオの4%程度が目安です。
> ※これらは過去データに基づく参考値であり、将来の成果を保証するものではありません。投資助言ではありません。
【事業リスク】
主な事業リスクとしては、建設工事の工程遅延が業績に影響を与える可能性や、原材料価格や物流コストの変動が収益を圧迫するリスクが挙げられます。また、新規取得子会社(デコール株式会社)の統合効果が計画通りに進まないリスクや、過去の石綿訴訟に関連する損失引当金繰入額など、訴訟リスクへの対応も継続的な課題となります。
7. 市場センチメント
信用買残が238,900株に対し、信用売残は1,400株と少なく、信用倍率は170.64倍と極めて高水準です。これは、将来的に信用買い残の決済売りが株価に下落圧力をかける可能性があるため、注意が必要です。
主要株主構成は以下の通りです。
- 太平洋セメント(42.31%)
- 明治安田生命保険(2.97%)
- インタラクティブ・ブローカーズ(2.02%)
8. 株主還元
配当利回りは会社予想ベースで4.46%と魅力的な水準にあります。2025年3月期の純利益がマイナスであったため、実績ベースの配当性向は443.46%と極めて高くなっています。一方で、2026年3月期の会社予想では、1株当たり利益247.46円に対し、年間配当60.00円が予定されており、この場合の配当性向は約24.2%と健全な水準に戻る見込みです。現時点では自社株買いに関する明確な情報は提供されていません。
【配当持続可能性】
⚠️ 利益を超える配当を実施中。現水準の維持は困難な可能性。(※過去12ヶ月実績ベース)
ただし、2026年3月期の会社予想では、利益改善により配当性向は健全な水準に戻る見込みです。
SWOT分析
| 分類 | 項目 | 投資への示唆 |
|---|---|---|
| 💪 強み | 安定した事業基盤と技術力 親会社との強固な連携 |
安定した収益源としてポートフォリオに貢献 |
| ⚠️ 弱み | 収益性の低さと利益の不安定さ 過度な配当性向(実績ベース) |
株価上昇の阻害要因となる可能性に注意 |
| 🌱 機会 | M&Aによる事業拡大 環境分野への進出による成長余地 |
新規事業の進捗が業績成長を加速する |
| ⛔ 脅威 | 原材料・物流コストの高騰 建設需要の変動と訴訟リスク |
外部環境の変化が業績を下振れさせる |
この銘柄が向いている投資家
| 投資家タイプ | 相性が良い理由 |
|---|---|
| 高配当を求める長期投資家 | 安定した事業基盤と高い配当利回りが魅力 |
| 割安株を探すバリュー投資家 | PBR1倍割れの割安感に注目できる |
この銘柄を検討する際の注意点
- 配当の持続可能性: 過去の配当性向は高いが、今後の利益回復と配当水準の確認が重要です。
- 信用買い残高水準: 将来的な信用決済売りが株価に圧力をかける可能性があるため、動向を監視すべきです。
- 利益改善の確実性: 2026年3月期予想での利益回復が確実に進むか、四半期ごとの進捗を注視すべきです。
今後ウォッチすべき指標
| 指標 | 現状 | トリガー条件 | 注目理由 |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 3.02% | 5%以上への回復 | 企業の本業での稼ぐ力を示す |
| 配当性向 | 443.46% | 50%以下への改善 | 配当の持続可能性を判断する |
| 建設・建材事業売上高成長率 | +26.9%(直近四半期) | 10%以上の維持 | 主力事業の成長が全体を牽引 |
企業情報
| 銘柄コード | 5391 |
| 企業名 | エーアンドエーマテリアル |
| URL | http://www.aa-material.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 建設・資材 – ガラス・土石製品 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,345円 |
| EPS(1株利益) | 247.46円 |
| 年間配当 | 4.46円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 6.3倍 | 1,548円 | 3.1% |
| 標準 | 0.0% | 5.4倍 | 1,346円 | 0.3% |
| 悲観 | 1.0% | 4.6倍 | 1,203円 | -1.8% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,345円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 680円 | △ 98%割高 |
| 10% | 850円 | △ 58%割高 |
| 5% | 1,072円 | △ 25%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
競合他社
| 企業名 | コード | 現在値(円) | 時価総額(億円) | PER(倍) | PBR(倍) | ROE(%) | 配当利回り(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 東リ | 7971 | 640 | 384 | 9.62 | 0.74 | 8.3 | 5.00 |
| ロンシール工業 | 4224 | 1,948 | 90 | 10.35 | 0.46 | 4.5 | 3.59 |
関連情報
証券会社
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本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
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なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
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