企業の一言説明
ナックはダスキン代理店を母体とし、宅配水「クリクラ」等のレンタル事業に加え、住宅販売や美容・健康事業を展開する多角的な生活関連サービス企業です。
総合判定
割安な成熟企業
投資判断のための3つのキーポイント
- ダスキン代理店事業等を核とした安定的なストック収益基盤と、相対的に高い配当利回りが魅力。
- 住宅関連事業の市況感に業績が左右されやすく、セグメント間の収益バランス改善が今後の課題。
- 信用倍率が30.82倍と高く、需給面での不安定さが短期的な上値を抑える要因となる可能性がある点に注意が必要。
銘柄スコアカード
| 観点 | 評価 | 判定根拠 |
|---|---|---|
| 収益力 | B | ROE 7.17% や営業利益率が横ばい傾向のため |
| 安全性 | A | 自己資本比率 59.5%、流動比率 2.11 と高水準 |
| 成長性 | C | 売上高 CAGR が伸び悩み利益が減少傾向のため |
| 株主還元 | S | 配当利回り 6.76% と配当性向が健全なため |
| 割安度 | A | PER 12.0 倍、PBR 0.88 倍で割安水準のため |
| 利益の質 | A | 営業CFと純利益のバランスが安定しているため |
総合: A
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 505.0円 | – |
| PER | 12.0倍 | 業界平均 17.0倍 |
| PBR | 0.88倍 | 業界平均 1.8倍 |
| 配当利回り | 4.36% | – |
| ROE | 7.17% | – |
企業概要
ナックは1971年に設立され、ダスキンの代理店としてスタートしました。現在は「クリクラ」を中心としたレンタル事業、建築コンサルティング、住宅建築・販売、美容・健康食品の製造販売と多岐にわたる事業ポートフォリオを構築しています。収益モデルは、消耗品交換や定期メンテナンスを含むストック型ビジネスと、住宅販売のようなフロー型ビジネスの組み合わせが特徴です。高い顧客接点を武器に、住宅・商材・サービスと幅広い領域で参入障壁を築いています。
業界ポジション
同社は、ダスキン代理店として最大手の地位を確立しており、生活密着型サービスにおいて堅固な地盤を有しています。競合に対する強みは、クリクラに代表される強力な配送網と、地域ビルダー向けのコンサルティングを通じたネットワークの広さです。一方で、住宅・建築セグメントでは全国規模のハウスメーカーとの競争があり、市況の変動が直接的に業績へ影響を与えるリスクを抱えています。
競争優位性 (Moat)
| 観点 | 評価 | 根拠 |
|---|---|---|
| ブランド・知名度 | 中程度 | ダスキン代理店としての高い信頼性と認知度 |
| スイッチングコスト | 強い | クリクラ等の定期メンテナンスによる顧客の継続利用 |
| ネットワーク効果 | 中程度 | 住宅コンサル等の加盟店網が事業を下支え |
| コスト優位 (規模の経済) | 中程度 | 物流網の活用による一定規模の収益効率化 |
| 規制・特許 | 判断材料不足 | – |
経営戦略
中期経営計画においては、成長分野であるクリクラ事業と美容・健康事業の強化を掲げています。住宅関連事業においては、現在の市況低迷への対応として建築コンサルティング等の収益性改善に注力し、高収益体質への転換を目指しています。M&Aや新規事業開発も積極的に行っており、生活関連サービス全般のシェア拡大を狙います。決算説明資料等では、顧客満足度の向上と地域特異的なサポート能力の強化を重視する方針が示されており、特に高齢化社会に対応した福祉・ケア関連のサービス供給にも関心を寄せています。
収益性
営業利益率は 4.21%、ROE は 7.17%、ROA は 4.03% であり、いずれもベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を下回っており、収益性の向上が期待されますが、サービス業としては概ね安定した推移を維持しています。
財務健全性
自己資本比率は 59.46%、流動比率は 2.11 であり、財務状況は非常に健全で短期・長期の資金繰りに問題はありません。自己資本は厚く、株主還元余地を確保しつつある安定した財務基盤を有しています。
キャッシュフロー
| 指標 | 2026年3月期 |
|---|---|
| 営業CF | 13.46億円 |
| FCF | 8.98億円 |
安定した営業CFを創出しており、FCFもプラスを維持していますが、投資CFの増減が年度によって見られるため、中長期の投資計画に基づいたキャッシュ配分が重要です。
利益の質
営業CF/純利益比率は 0.83 であり、利益が着実にキャッシュとして蓄積されているため、財務上の健全性は高いと評価されます。
四半期進捗
2027年3月期に向けた業績予想では、売上高 +7.8%、営業利益 +12.7% と力強い回復を織り込んでおり、直近四半期においても前年同期比で売上成長 +8.4% を達成するなど、回復の兆しが見られます。
バリュエーション
PER 12.0 倍、PBR 0.88 倍という水準は、業界平均と比較して割安な水準にあり、特に PBR が 1 倍を割り込んでいることは解散価値を下回る割安な状態を示しています。
テクニカル分析
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | ▲5.54 / ▲4.76 | トレンドの方向性が定まらない状態 |
| RSI | 売られすぎ | 30.5% | 短期的に売られすぎのシグナルが出ています |
| 5日線乖離率 | – | -0.32% | – |
| 25日線乖離率 | – | -2.12% | – |
| 75日線乖離率 | – | -4.87% | – |
| 200日線乖離率 | – | -6.08% | – |
RSI が 30.5% 付近で推移していることから、株価の調整が一段落する兆しがあり、移動平均線乖離率からも中期的なトレンドからの乖離が拡大していることが読み取れます。52週安値水準に近いため、下値抵抗力の確認が鍵となります。
市場比較
| 期間 | 当銘柄 | 日経平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | ▲3.07% | +3.64% | ▲6.71%pt |
| 3ヶ月 | ▲8.35% | +8.33% | ▲16.68%pt |
| 6ヶ月 | ▲3.26% | +21.16% | ▲24.42%pt |
| 1年 | ▲17.08% | +67.04% | ▲84.11%pt |
足元の市場パフォーマンス比較では日経平均に対し明確なアンダーパフォームが続いています。
基本リスク指標
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| 年間ボラティリティ | 20.83% | ○普通 | 株価の変動幅は市場平均並みです |
| 最大ドローダウン | ▲75.12% | ▲注意 | 過去の最大下落幅は非常に大きく注意が必要 |
| シャープレシオ | 0.22 | △やや注意 | リスクに見合う十分な期待収益が得られていない可能性 |
リスク効率指標
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| ソルティノレシオ | 0.29 | ▲注意 | 下落リスクに対してリターン効率が低い状態 |
| カルマーレシオ | 0.09 | ▲注意 | 最大下落からの回復が緩やかです |
市場連動性
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| 市場相関 | 0.48 | ◎良好 | 日経平均との適度な連動性を示します |
| R² | 0.23 | – | 市場要因の寄与は限定的です |
ポイント解説
この銘柄は独自の動きを見せやすく、現在のボラティリティは過去1年間で低い水準にあります。最大ドローダウンの大きさを考慮すると、長期間の下落を耐えるリスク管理が重要です。
投資シミュレーション
> 仮に100万円投資した場合: 年間で±28万円程度の変動が想定されます。
> 分散投資の目安: ポートフォリオの4%程度が目安です。
> ※これらは過去データに基づく参考値であり、将来の成果を保証するものではありません。投資助言ではありません。
事業リスク
- 住宅・建築市場の冷え込みによる受注の減少と収益力の低下。
- 原材料コストの変動によるクリクラ事業の利益率への圧力。
- ダスキン等の主要パートナーシップ環境の変化による事業安定性への影響。
信用取引状況
信用倍率は 30.82 倍に達しており、買残が売残を大きく上回っている状態です。将来の投げ売り圧力(需給の悪化)が懸念されるため、需給バランスの改善を待つ慎重なアプローチが求められます。
主要株主構成
| 株主名 | 保有割合 |
|---|---|
| ダスキン | 25.18% |
| 自社(自己株口) | 9.69% |
| ヤマダホールディングス | 9.60% |
株主還元
配当利回りは 4.36% と高水準であり、投資家の収益機会となっています。現在の配当性向は 56.4% であり、利益に対して適切な水準を維持していますが、さらなる成長投資のためにはこの範囲内でのコントロールが期待されます。
カタリスト整理
| 上昇要因 | 下落要因 | |
|---|---|---|
| 短期 (〜3ヶ月) | 高い配当利回りを目的とした買いの流入 | 信用残高の整理に伴う重たい上値 |
| 中長期 (〜2 年) | 住宅関連市場の回復とセグメント利益率の向上 | 建築コスト高騰による再度の利益圧迫 |
SWOT分析
| 分類 | 項目 | 投資への示唆 |
|---|---|---|
| 💪 強み | ダスキン販売網 安定したストック事業 |
サブスク的な売上が株価の下支えに寄与。 |
| ⚠️ 弱み | 住宅事業の低迷 利益率の停滞 |
市況悪化時に最大ドローダウンを誘発する。 |
| 🌱 機会 | 美容健康事業の拡大 配当利回りでのインカム増 |
高利回りが長期投資家の参入を促す。 |
| ⛔ 脅威 | 需給の悪化(信用倍率) 原料価格の高騰 |
信用解消局面での投げ売りを監視すべき。 |
この銘柄が向いている投資家
| 投資家タイプ | 相性が良い理由 |
|---|---|
| インカムゲイン志向の長期投資家 | 4%を超える高配当利回りが高い利回りを提供するため。 |
| 割安株を狙うバリュー投資家 | PBR 0.88 倍と割安に放置されているため。 |
この銘柄を検討する際の注意点
- 需給の悪化: 信用倍率が極めて高く、調整局面にさらなる売りが降ってくる可能性があるため注意が必要です。
- 成長性の低迷: 売上高成長率が停滞しており、今後の成長戦略の進捗が株価低迷からの脱却には不可欠となります。
今後ウォッチすべき指標
| 指標 | 現状 | トリガー条件 | 注目理由 |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 4.2% | 5.0%以上へ改善 | 高付加価値化の進捗 |
| 信用倍率 | 30.8倍 | 10倍以下へ改善 | 受給環境の改善確認 |
企業情報
| 銘柄コード | 9788 |
| 企業名 | ナック |
| URL | http://www.nacoo.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 505円 |
| EPS(1株利益) | 40.64円 |
| 年間配当 | 4.36円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 14.3倍 | 581円 | 3.6% |
| 標準 | 0.0% | 12.4倍 | 505円 | 0.9% |
| 悲観 | 1.0% | 10.6倍 | 451円 | -1.3% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 505円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 262円 | △ 93%割高 |
| 10% | 327円 | △ 54%割高 |
| 5% | 413円 | △ 22%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
競合他社
| 企業名 | コード | 現在値(円) | 時価総額(億円) | PER(倍) | PBR(倍) | ROE(%) | 配当利回り(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ダスキン | 4665 | 4,179 | 2,005 | 20.46 | 1.24 | 6.2 | 2.75 |
| TOKAIホールディングス | 3167 | 1,148 | 1,582 | 14.38 | 1.45 | 10.7 | 3.31 |
| タマホーム | 1419 | 3,610 | 1,063 | 78.82 | 4.04 | 3.9 | 3.46 |
関連情報
証券会社
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