企業の一言説明
ニチバンは「セロテープ」で高いシェアを誇る粘着テープ製造大手で、絆創膏などの医療用製品も展開する日本を代表する化学メーカーです。
総合判定
高い財務健全性を持つ割安な成熟企業、中長期的な収益性改善に注目
投資判断のための3つのキーポイント
- 高いブランド力と多角的な事業展開: 「セロテープ」に代表される高いブランド認知度と、産業用から医療用まで幅広い製品ポートフォリオによる安定した収益基盤を有しています。
- 極めて良好な財務健全性: 自己資本比率63.9%と高く、手元資金も潤沢で、Piotroski F-Scoreも良好評価を示すなど、強固な財務体質が特徴です。
- 収益性と成長性の改善が課題: 比較対象となる業界平均PERを上回る現状と、過去12ヶ月のROEが4.62%と低水準で、短期的な売上成長率もマイナスとなっており、収益性の向上が今後の重要課題です。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | C | 成長鈍化 |
| 収益性 | C | 改善の余地 |
| 財務健全性 | S | 優良 |
| バリュエーション | A | 良好 |
※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 1,887.0円 | – |
| PER | 27.44倍 | 業界平均20.4倍 |
| PBR | 0.88倍 | 業界平均1.1倍 |
| 配当利回り | 2.12% | – |
| ROE | 4.62% | – |
※PERおよびPBRはソースにより値が異なる場合があります(PER: 各種指標27.44倍/バリュエーション27.2倍、PBR: 各種指標0.88倍/バリュエーション0.87倍)。本レポートでは、各種指標の値を採用し、比較の際はバリュエーション分析の目標株価算出も踏まえて総合的に判断します。
1. 企業概要
ニチバンは1918年創業の粘着テープ大手で、家庭用「セロテープ」から産業用、医療用製品まで幅広く展開しています。特に医療用では絆創膏や手術用テープなどに強みを持ち、多様なニーズに応える粘着技術を基盤とした製品開発が収益モデルの中核です。高いブランド力と技術的独自性が主要な参入障壁となっています。
2. 業界ポジション
化学業界の粘着製品分野において、ニチバンは「セロテープ」という日本を代表するブランドを保有し、国内で非常に高い市場認知度とシェアを確立しています。医療用製品においても、独自の研究開発によりニッチながら競争優位性の高い製品群を提供しており、汎用品から高付加価値品まで多角的な製品戦略で競合に対する強みを発揮しています。
3. 経営戦略
ニチバンは、粘着技術を核としたメディカル事業とテープ事業の収益力強化を中期的な成長戦略としています。直近では、呼吸運動を可視化する貼付型ウェアラブルデバイスの医療機関向け限定販売を開始し、新たな医療ソリューション市場への参入を図っています。また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)とのパートナーシップ契約を締結し、ブランド価値向上とシナジー創出を模索しています。2026年3月期は本社移転費用など特別損失も計上する見込みです。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 5/9 | A: 良好 |
| 収益性 | 2/3 | 純利益とROAがプラスを維持している |
| 財務健全性 | 3/3 | 流動比率が健全であり、有利子負債も低く、株式希薄化もない |
| 効率性 | 0/3 | 営業利益率とROEが低水準であり、四半期ベースで売上成長率がマイナスとなっている |
Piotroski F-Scoreは5/9点と「良好」な評価です。収益性は純利益とROAがプラスである点で評価されますが、営業キャッシュフローの項目はデータなしのため判定外です。財務健全性は、健全な流動比率、低い有利子負債、株式希薄化の抑制により満点評価です。しかし、効率性では営業利益率、ROEが基準を下回り、直近の四半期売上成長率もマイナスであるため、改善の余地が大きいことが示唆されます。
【収益性】
- 営業利益率(過去12か月)は5.40%と、一般的な優良企業が目安とする10%には届いておらず、収益性の改善が課題です。
- ROE(実績)は4.62%であり、株主資本を効率的に活用して利益を上げているとは言えず、ベンチマークの10%を下回っています。
- ROA(過去12か月)は1.82%と、総資産に対する利益貢献度も低く、ベンチマークの5%に達していません。
【財務健全性】
- 自己資本比率(実績)は63.9%と非常に高く、企業としての財務基盤は極めて強固であり、外部環境の変化に耐えうる安定性があります。
- 流動比率(直近四半期)は2.17倍と、短期的な支払い能力も十分であり、財務健全性は良好な水準です。
【キャッシュフロー】
| 決算期 | フリーCF (百万円) | 営業CF (百万円) | 投資CF (百万円) | 財務CF (百万円) | 現金等残高 (百万円)
|——–|——————|—————–|—————–|—————–|——————–|
| 2023.03 | 1,764 | 2,917 | -1,153 | -867 | 14,752 |
| 2024.03 | -505 | 3,187 | -3,692 | -1,225 | 13,049 |
| 2025.03 | 1,995 | 3,690 | -1,695 | -763 | 14,307 |
過去3年間で営業キャッシュフローは堅調に推移しており、本業で安定して現金を創出できています。2024年3月期に投資キャッシュフローが大きくマイナスとなりフリーキャッシュフローもマイナスとなりましたが、2025年3月期には再びプラスに転じており、投資活動とのバランスを保ちつつ、総じて健全なキャッシュフローを維持しています。
【利益の質】
- 営業CF/純利益比率は、過去12ヶ月の営業CF(不明だが、直近3期の実績は良好)と純利益(1,806百万円)から判断すると、営業キャッシュフローが本業からの利益創出能力を示唆する十分な高水準であると考えられ、利益の質は健全と言えます。
【四半期進捗】
- 2026年3月期第3四半期累計の売上高進捗率は通期予想に対して75.5%、営業利益進捗率は80.0%、純利益進捗率は90.4%です。純利益は予想を上回るペースで進捗していますが、営業利益はやや慎重な見通しであり、通期での達成状況に注目が必要です。直近四半期の四半期売上成長率が前年比-0.20%、四半期経常利益成長率が前年比-29.20%と減少している点は懸念材料です。
【バリュエーション】
- PER(会社予想)は27.44倍で、業界平均の20.4倍と比較すると割高な水準にあります。これは、市場がニチバンの将来的な成長力にある程度の期待を織り込んでいるか、あるいは足元の利益水準に対して株価が比較的高く評価されていることを示唆します。
- PBR(実績)は0.88倍と、業界平均の1.1倍を下回っており、純資産に対して株価が割安な水準にあると判断できます。特に1倍を下回っていることは、企業の解散価値よりも株価が低い状態を示しており、バリュエーション的には魅力的な水準と言えるでしょう。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | MACD値: -9.95 / シグナルライン: -12.69 | 短期トレンド方向を示す |
| RSI | 中立 | 45.1% | 70以上=過熱、30以下=売られすぎ |
| 5日線乖離率 | – | -0.69% | 直近のモメンタム |
| 25日線乖離率 | – | -0.80% | 短期トレンドからの乖離 |
| 75日線乖離率 | – | -3.11% | 中期トレンドからの乖離 |
| 200日線乖離率 | – | -3.52% | 長期トレンドからの乖離 |
MACDとRSIはいずれも中立を示しており、明確なトレンドシグナルは出ていません。移動平均線乖離率は全てマイナスであり、現在株価が短期・中期・長期の移動平均線を下回っている状態です。
【テクニカル】
- 現在株価1,887.0円は、52週高値2,110.00円から比較的離れており、52週安値1,821.00円に近い位置(レンジ内で22.8%地点)で推移しています。これは、株価が直近1年間で低い水準にあることを示しています。
- 短期・中期・長期の全ての移動平均線(5日、25日、75日、200日MA)を下回っており、短期的な下降トレンドにある可能性が示唆されます。特に200日移動平均線を大きく下回っている点は、長期的なトレンド転換の兆候と見ることもできます。
【市場比較】
| 期間 | 当銘柄 | 日経平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | -1.82% | +3.45% | -5.27%pt |
| 3ヶ月 | -4.89% | +9.55% | -14.44%pt |
| 6ヶ月 | -3.13% | +26.68% | -29.81%pt |
| 1年 | -6.03% | +59.82% | -65.85%pt |
ニチバンは全ての期間において日経平均株価を大幅に下回るパフォーマンスとなっており、市場全体の強い上昇トレンドから取り残されている状況です。これは、同社株が市場全体と比較して魅力に欠けていると判断されているか、あるいは特定のネガティブ要因が作用している可能性を示唆しています。TOPIX比でも同様に全ての期間で市場を下回っています。
【注意事項】
⚠️ 信用倍率が0.10倍と極めて低く、将来の買い戻し圧力につながる可能性と、信用売り残が積み上がっている事による短期的な株価上昇要因への注意が必要です。
【定量リスク】
- 年間ボラティリティは18.28%、最大ドローダウンは-22.04%です。これは、仮に100万円を投資した場合、年間で±18.28万円程度の価格変動が想定され、過去には最大で22.04万円程度価値が減少する可能性があったことを示します。シャープレシオは-0.16とマイナスであり、リスクに見合うリターンが得られていない状況です。
【事業リスク】
- 原材料価格高騰: 石油化学製品を主原料とする粘着剤のコスト上昇は、原価を圧迫し収益性を低下させる可能性があります。
- 市場競争激化: テープ市場および医療用製品市場における競合他社との競争激化は、価格競争やシェア低下のリスクを伴います。
- 為替変動リスク: 海外売上高が存在するため、為替レートの変動は海外事業の収益に影響を与える可能性があります。
7. 市場センチメント
- 信用取引状況: 信用買残10,500株に対し、信用売残は110,400株と大幅に多く、信用倍率は0.10倍と極めて低い水準です。これは投資家の間で売り圧力が強いと見られていますが、一方で将来の買い戻し圧力による株価上昇の可能性も秘めています。
- 主要株主構成:
- 大鵬薬品工業 (32.59%)
- 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) (7.11%)
- 自社取引先持株会 (5.95%)
8. 株主還元
- 配当利回りは会社予想で2.12%です。
- 配当性向(2025年3月期予想)は36.4%であり、利益を適切に配当に回している健全な水準と言えます。
- 自社株買いの状況: 最近のニュースでは、立会外買い付けで上限4.5億円の自社株買い(発行済み株式総数に対する割合は0.98%)を実施しており、株主還元への積極的な姿勢が見られます。
【配当持続可能性】
- 配当性向が36.4%(2025年3月期予想)と健全な範囲内にあるため、現時点では減配リスクは低いと判断されます。
SWOT分析
強み
- 「セロテープ」をはじめとする高いブランド認知度と多様な事業ポートフォリオ。
- 自己資本比率63.9%に代表される極めて強固な財務体質。
弱み
- 既存事業における成長性の鈍化と、ROA1.82%、ROE4.62%という低い収益性。
- 直近の市場平均に対する株価パフォーマンスが大幅に劣後している点。
機会
- 医療用デバイス市場など、高付加価値分野への展開による事業領域の拡大。
- ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとのパートナーシップ契約など、新たなチャネルとブランド戦略の活用。
脅威
- 原材料価格の高騰や為替変動が収益性を圧迫する可能性。
- 国内市場の成熟化と、国内外における競合他社との競争激化。
この銘柄が向いている投資家
- 安定した財務基盤を重視し、中长期的な視点でPBR1倍割れの割安感を評価する投資家。
- 配当性向が健全で継続的な株主還元を期待するインカムゲイン志向の投資家。
- 既存事業の収益性改善や新規事業の成長期待に賭けることができる投資家。
この銘柄を検討する際の注意点
- 低い収益性: ROEや営業利益率が業界平均やベンチマークを下回るため、今後の経営戦略による収益改善を継続的に確認すべきです。
- 市場からの評価: 足元のPERが業界平均を上回る一方で、直近の株価パフォーマンスが市場全体に劣後している理由を深く分析し、成長期待とのバランスを評価する必要があります。
今後ウォッチすべき指標
- 営業利益率: 現在の5.40%から8%以上への回復、または中期経営計画における目標達成度。
- 新規事業(医療用デバイスなど)の売上貢献度: 具体的な売上や利益への寄与。
- 海外売上比率: 現在の海外売上比率のデータはないが、これを20%以上に拡大できるか。
- 信用倍率: 現在の0.10倍から適正水準への推移、信用売り残の動向。
10. 企業スコア
- 成長性: C (成長鈍化)
- 過去12ヶ月の四半期売上成長率が-0.20%とマイナスであり、短期的な成長は停滞しています。
- 収益性: C (改善の余地)
- ROE4.62%と営業利益率5.40%がベンチマーク(ROE10%以上、営業利益率10%以上)を下回っており、収益性には課題があります。
- 財務健全性: S (優良)
- 自己資本比率63.9%、流動比率2.17倍であり、Piotroski F-Scoreも5点で良好と評価され、非常に強固な財務基盤です。
- 株価バリュエーション: A (良好)
- PBR0.88倍は業界平均1.1倍を下回る割安水準ですが、PER27.44倍は業界平均20.4倍を上回ります。PBRの割安感を重視し、総合的に判断します。
企業情報
| 銘柄コード | 4218 |
| 企業名 | ニチバン |
| URL | http://www.nichiban.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,887円 |
| EPS(1株利益) | 68.77円 |
| 年間配当 | 2.12円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 30.3倍 | 2,087円 | 2.1% |
| 標準 | 0.0% | 26.4倍 | 1,814円 | -0.7% |
| 悲観 | 1.0% | 22.4倍 | 1,621円 | -2.9% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,887円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 907円 | △ 108%割高 |
| 10% | 1,133円 | △ 67%割高 |
| 5% | 1,430円 | △ 32%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
競合他社
| 企業名 | コード | 現在値(円) | 時価総額(億円) | PER(倍) | PBR(倍) | ROE(%) | 配当利回り(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日東電工 | 6988 | 3,211 | 21,791 | 16.02 | 1.96 | 13.0 | 1.86 |
| リンテック | 7966 | 4,970 | 3,602 | 19.47 | 1.33 | 7.5 | 2.33 |
| コニシ | 4956 | 1,375 | 968 | 12.52 | 1.00 | 8.9 | 2.76 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.35)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
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なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。