1. 企業情報
日本農薬株式会社は、農薬を中心とした化学製品を製造・販売している企業です。主に、殺菌剤、殺虫剤、除草剤などの農薬を提供し、家庭園芸や緑化、シロアリ対策用の化学製品も扱っています。また、医薬品や動物用医薬品の製造・販売も行っており、農薬残留分析や化学物質の安全性試験などのサービスも提供しています。1926年に設立され、東京に本社を置いています。
2. 業界のポジションと市場シェア
日本農薬は農薬専業の大手企業であり、自社開発品の比率が高いことが特徴です。新興国市場（特にブラジルやインド）においても事業を拡大しており、競争優位性を持っています。しかし、天候不順や原材料価格の変動といった外部要因が業績に影響を与える可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は「Growing Global for Sustainability (GGS)」という中期経営計画を掲げており、持続可能な成長を目指しています。主な施策としては、自社開発品の普及拡販や新興国市場への進出が挙げられます。また、農薬以外の化学品事業の強化も進めています。
4. 事業モデルの持続可能性
日本農薬の収益モデルは、農薬事業が主軸ですが、医薬品や動物用医薬品の販売も行っており、多角的な収益源を持っています。市場ニーズの変化に対しても、技術開発や新製品の投入を通じて適応力を高めています。
5. 技術革新と主力製品
技術開発においては、自社開発の農薬製品が主力であり、特にブラジル市場向けの製品展開が進んでいます。また、病害虫や雑草診断アプリの事業化も進めており、デジタル技術を活用したサービス提供にも注力しています。
6. 株価の評価
現在の株価は767.0円で、PERは12.53倍、PBRは0.76倍です。業界平均PER（20.4倍）やPBR（1.1倍）と比較すると、割安感があります。EPSは61.20円で、配当利回りは2.61%と安定した配当政策を維持しています。
7. テクニカル分析
最近の株価推移を見ると、年初来高値834円、年初来安値576円の範囲で推移しています。現在の株価は高値圏からの調整局面にあり、テクニカル的には安値圏に近い状況です。
8. 財務諸表分析
過去12か月の売上高は1,030億円、営業利益は74.38億円、純利益は47.77億円です。ROEは6.41%、自己資本比率は49.4%で、財務の健全性が保たれています。売上高は前年同期比で微増しており、安定した収益基盤を持っています。
9. 株主還元と配当方針
配当利回りは2.61%で、配当性向は31.7%と安定した配当政策を維持しています。2025年3月期の年間配当予想は20.00円で、株主還元策として自社株買いも行っています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は770円台で推移しており、過去10日間の株価は安定しています。信用倍率は1.22倍で、買い残が減少していることから、投資家の関心はやや薄れている可能性があります。
11. 総評
日本農薬は、農薬市場において競争優位性を持つ企業であり、持続可能な成長を目指す中期経営計画を実行中です。財務指標も健全で、配当政策も安定しています。市場環境の変化に対しても適応力を持っているため、今後の成長が期待されます。ただし、外部要因によるリスクも考慮する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 4997 |
| 企業名 | 日本農薬 |
| URL | http://www.nichino.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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