1. 企業情報

アース製薬は、殺虫剤を主力とする家庭用品メーカーです。虫ケア用品で国内トップシェアを誇り、歯磨き粉などの日用品も手掛けています。大塚製薬グループの一員であり、バスクリンや白元も傘下に持つ安定した企業です。

2. 業界のポジションと市場シェア

アース製薬は、殺虫剤市場において圧倒的なシェアを誇っています。また、口腔衛生用品などの日用品分野でも一定の地位を確立しています。

競争優位性:

  • 高いブランド力と信頼性
  • 長年の実績に基づく技術力とノウハウ
  • 大塚製薬グループとしての安定した経営基盤

課題:

  • 原材料価格の高騰
  • 競合他社との競争激化
  • 国内市場の成熟化

3. 経営戦略と重点分野

アース製薬は、中期経営計画「Act For SMILE COMPASS 2026」を策定し、収益構造改革、ブランド強化、海外展開の加速を重点分野としています。具体的には、
* 家庭用品事業: 収益性の高い製品の開発、ブランドイメージの向上、ASEAN・中国市場への積極的な展開
* 総合環境衛生事業: 専門性の強化、デジタル技術を活用したサービスの提供

4. 事業モデルの持続可能性

アース製薬の事業モデルは、安定した需要が見込める家庭用品と、専門性の高い環境衛生サービスを組み合わせたものです。

収益モデル:

  • 殺虫剤などの定番商品の安定的な販売
  • 新製品の開発と投入による収益拡大
  • 海外市場での販売拡大

市場ニーズの変化への適応力:

  • 消費者のニーズに合わせた製品開発
  • 環境問題への対応(環境配慮型製品の開発)
  • デジタル技術の活用

5. 技術革新と主力製品

アース製薬は、殺虫剤分野で高い技術力を有しています。

主力製品:

  • 殺虫剤(アースジェット、ごきぶりホイホイなど)
  • 口腔衛生用品(モンダミンなど)
  • 入浴剤(バスロマンなど)

技術開発の動向:

  • 殺虫剤の効力向上、安全性向上
  • 新素材の開発
  • 環境負荷低減への取り組み

6. 株価の評価

  • 株価: 4,945.0円(2025年2月28日終値)
  • PER(会社予想): 25.04倍(業界平均:20.4倍)
  • PBR(実績): 1.56倍(業界平均:1.1倍)
  • EPS(会社予想): 197.45円
  • BPS(実績): 3,162.24円

PERは業界平均を上回っており、割高感があります。PBRは業界平均を上回っています。

7. テクニカル分析

直近10日間の株価は、5,100円から4,945円まで下落傾向にあります。年初来高値は5,740円、年初来安値は4,125円であり、現在の株価は年初来高値から大きく下落しています。50日移動平均線(5,189.30円)と200日移動平均線(5,119.75円)を下回っており、弱気相場を示唆しています。

8. 財務諸表分析

売上高: 過去5年間で増収傾向にあります。2024年12月期は169,278百万円と、前期比で増加しています。

利益:

  • 営業利益は、2024年12月期は6,425百万円と、前期から減少しています。
  • 経常利益は、2024年12月期は7,364百万円と、前期から減少しています。
  • 当期純利益は、2024年12月期は3,475百万円と、前期から減少しています。

キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは安定しています。
ROE: 2024年12月期のROEは5.13%と、低水準です。
ROA: 2024年12月期のROAは2.98%と、低水準です。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 2.43%
  • 1株配当(会社予想): 120.00円
  • 配当性向: 74.56%
  • 自社株買い: 過去の実施実績は不明

アース製薬は、安定的な配当を実施しています。2025年には設立100周年を記念し、2円の記念配当を実施予定です。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価モメンタム: 直近の株価は下落傾向にあり、モメンタムは弱いです。
  • 信用取引: 信用買残は増加、信用売残は減少しており、強気と弱気の思惑が交錯しています。
  • 株価への影響要因:
    • 業績動向(売上高、利益の伸び)
    • 原材料価格の変動
    • 競合他社の動向
    • 新製品の投入
    • 海外市場の状況
    • バスクリンとの経営統合に関する進捗

11. 総評

アース製薬は、国内トップシェアの殺虫剤メーカーであり、安定した事業基盤を持っています。しかし、2024年12月期の業績は減益となっており、PERは割高感があります。株価は下落傾向にあり、テクニカル的にも弱気シグナルが出ています。今後の業績回復、新製品の投入、海外展開の進捗、バスクリンとの経営統合の行方が注目されます。投資判断は、これらの要素を総合的に考慮する必要があります。


企業情報

銘柄コード 4985
企業名 アース製薬
URL https://corp.earth.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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