1. 企業情報
大日本印刷（DNP）は、総合印刷大手として、印刷技術を基盤に多角的な事業を展開しています。主な事業セグメントは、情報コミュニケーション、ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクスです。
* 情報コミュニケーション: 書籍、雑誌、デジタルマーケティング支援、BPOサービス、ICカード、デジタルサイネージなど。
* ライフ&ヘルスケア: 食品・飲料・日用品などの包装材、住宅・店舗内装材、自動車用成形品、リチウムイオン電池部品など。
* エレクトロニクス: ディスプレイ用光学フィルム、メタルマスク、フォトマスク、半導体関連製品など。
DNPは、印刷技術を応用した幅広い分野で事業を展開し、デジタル化の進展に対応した事業戦略を推進しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
DNPは、凸版印刷と並ぶ印刷業界の2強の一角を占めています。印刷需要の減少という課題に直面しつつも、印刷技術を応用した高付加価値製品やサービスへの展開を進めることで、競争優位性を維持しようとしています。
* 競争優位性: 高度な印刷技術、多角的な事業展開、BtoBビジネス中心。
* 課題: 印刷需要の減少、デジタル化への対応、原材料価格変動。
3. 経営戦略と重点分野
DNPは、中期経営計画（2023-2025年度）に基づき、事業構造の変革を進めています。
* 重点分野:
* スマートコミュニケーション部門: 出版印刷事業の再編、デジタルマーケティングの強化。
* ライフ&ヘルスケア部門: モビリティ領域におけるDX推進。
* エレクトロニクス部門: 有機ELディスプレイ向けメタルマスクの生産能力増強。
* 経営ビジョン: 詳細不明。
4. 事業モデルの持続可能性
DNPの事業モデルは、印刷技術を基盤としつつ、包装材、電子部品、情報サービスなど、多角的な事業展開によってリスク分散を図っています。デジタル化の進展に対応するため、デジタルマーケティング支援や電子部品分野への注力は、持続可能性を高めるための重要な取り組みです。
* 収益モデル: BtoBビジネスが中心であり、安定した収益基盤を構築。
* 市場ニーズへの適応力: デジタル化、環境対応、健康志向といった市場ニーズに対応した製品・サービスの開発を推進。
5. 技術革新と主力製品
DNPは、印刷技術を基盤に、様々な分野で技術革新に取り組んでいます。
* 技術開発の動向: 有機ELディスプレイ用メタルマスク、高機能包装材、デジタルマーケティング技術など。
* 主力製品/サービス:
* エレクトロニクス部門: メタルマスク、フォトマスク。
* ライフ&ヘルスケア部門: 包装材。
* 情報コミュニケーション部門: デジタルマーケティング支援。
6. 株価の評価
- 株価: 2,260.5円（2025年3月4日終値）
- PER（会社予想）: 9.95倍（業界平均14.5倍を下回る）
- PBR（実績）: 0.86倍（業界平均1.3倍を下回る）
- EPS（会社予想）: 227.22円
- BPS（実績）: 2,626.19円
PER、PBRともに業界平均を下回っており、割安感があります。EPS、BPSから見ても、現在の株価は割安と判断できます。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、2200円台を維持しており、上昇傾向にあります。年初来高値2,788円、年初来安値2,056円であり、現在の株価は年初来安値から上昇し、50日移動平均線（2217.90円）を上回っています。200日移動平均線（2445.76円）を下回っており、まだ上昇余地があると考えられます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去5年間、安定的に1兆3000億円台を維持。2024年3月期は1兆4248億円と増加。
- 営業利益: 2024年3月期は754億円と増加傾向。
- 経常利益: 2024年3月期は1430億円と増加。
- 当期純利益: 2024年3月期は1109億円と増加。
- ROE: 2024年3月期は9.85%と、高い水準。
- 自己資本比率: 59.6%と、財務体質は良好。
- キャッシュフロー: 過去12か月で、営業キャッシュフローは安定的にプラス。
全体的に、売上高、利益ともに増加傾向にあり、財務体質も良好です。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 1.68%
- 1株配当（会社予想）: 38.00円
- 配当性向: 11.61%
- 自社株買い: 2024年11月29日の取締役会で自己株式の取得を決議。
配当利回りは、平均的な水準です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価の変動: 直近10日間は上昇傾向。
- 株価への影響要因: 業績、中期経営計画の進捗、市場全体の動向、為替変動、原材料価格の変動など。
- 信用取引: 信用買残は減少、信用売残は増加しており、売り圧力が強まっている可能性があります。
11. 総評
大日本印刷は、印刷業界のリーディングカンパニーとして、安定した事業基盤と高い技術力を有しています。多角的な事業展開により、リスク分散を図り、デジタル化への対応も進めています。財務状況は良好で、株価は割安感があります。テクニカル分析では、上昇トレンドが見られます。
ただし、印刷需要の減少、原材料価格の変動、競合との競争激化といった課題も存在します。中期経営計画の進捗状況や、今後の業績動向を注視する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 7912 |
| 企業名 | 大日本印刷 |
| URL | http://www.dnp.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
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