1. 企業情報
コーナン商事（以下、コーナン）は、大阪府に本社を置くホームセンターチェーン大手です。DIY用品、家庭用品、プロ向け資材などを幅広く取り扱い、近畿地方を中心に店舗を展開しています。近年はM&Aを通じて首都圏への進出も加速させており、大型店舗展開に注力しています。事業はホームインプルーブメント、ハウスキーピング、ペット・レジャー関連が中心です。
2. 業界のポジションと市場シェア
ホームセンター業界は競争が激しく、コーナンは大手の一角として存在感を示しています。近畿地方でのドミナント戦略を強みとし、M&Aによる事業拡大も積極的に行っています。業界内での競争優位性は、地域密着型の店舗展開と、幅広い品揃えによる顧客ニーズへの対応力にあります。課題としては、大手競合との競争激化、ECサイトの台頭、人件費や物流コストの上昇などが挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
コーナンの経営戦略は、「第3次中期経営計画〜ずっと大好きや!!コーナン〜これからもあなたにぴったり」に基づき、店舗数の拡大、顧客満足度の向上、効率的な店舗運営などを目指しています。重点分野は、既存店舗の改装による魅力向上、新規出店による事業規模の拡大、PB商品の開発強化、デジタル戦略の推進などです。
4. 事業モデルの持続可能性
コーナンの事業モデルは、実店舗での販売を主体としており、DIY需要や生活必需品の安定的な需要を背景に、一定の持続性があります。しかし、ECサイトの普及や消費者の購買行動の変化に対応するため、オンライン販売の強化や、顧客体験の向上といった取り組みが重要になります。市場ニーズの変化への適応力も、今後の成長を左右する重要な要素です。
5. 技術革新と主力製品
コーナンは、技術革新に関する具体的な言及は少ないものの、PB商品の開発や、店舗のデジタル化による顧客体験の向上に注力しています。主力製品は、DIY用品、家庭用品、ペット用品など、幅広い商品群です。これらの商品は、顧客の多様なニーズに対応し、安定的な収益を支えています。
6. 株価の評価
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 株価 | 3,690円 |
| PER（会社予想） | 7.21倍 |
| PBR（実績） | 0.65倍 |
| EPS（会社予想） | 511.93円 |
| BPS（実績） | 5,687.81円 |
PERは業界平均（21.3倍）と比較して低く、割安感があります。PBRも1倍を下回っており、割安と判断できます。EPS、BPSも堅調であり、財務基盤の安定性を示しています。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価は、3,600円台を中心に小幅な変動を繰り返しています。年初来高値4,760円からは下落していますが、年初来安値3,240円からは上昇傾向にあります。50日移動平均線（3,574.80円）を上回っており、短期的には上昇基調にあると判断できます。200日移動平均線（3,741.38円）が目前に迫っており、これを上抜けるかどうかが今後の注目点です。
8. 財務諸表分析
| 指標 | 過去12ヶ月 | 2024/2 | 2023/2 | 2022/2 | 2021/2 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 (百万円) | 491,055 | 472,654 | 439,024 | 441,221 | 442,069 |
| 営業利益 (百万円) | 24,372 | 24,097 | 22,020 | 25,788 | 30,919 |
| 経常利益 (百万円) | 20,468 | 21,051 | 19,541 | 23,177 | 26,837 |
| 当期純利益 (百万円) | 13,026 | 14,054 | 13,235 | 15,590 | 18,649 |
| 売上高成長率 (%) | 11.86 | 7.66 | -0.50 | -0.19 | – |
| 営業利益率 (%) | 4.96 | 5.10 | 5.02 | 5.85 | 7.00 |
| ROE (%) | 8.06 | – | – | – | – |
| ROA (%) | 3.22 | – | – | – | – |
売上高は過去1年間で増加傾向にあり、2024年2月期も増収増益を達成しています。営業利益率は低下傾向にありますが、これはコスト上昇の影響と考えられます。ROE、ROAは、今後の推移に注目する必要があります。
9. 株主還元と配当方針
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 配当利回り（会社予想） | 2.71% |
| 1株配当（会社予想） | 100.00円 |
| 配当性向 | 22.00% |
コーナンは、安定的な配当を実施しており、配当利回りも2.71%と、ある程度の水準を維持しています。配当性向も22.00%と、余裕のある水準です。自己株式取得に関する言及もあり、株主還元に積極的な姿勢を示しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、3,600円台で推移しており、大きな変動は見られません。信用倍率は6.74倍と、やや高水準であり、今後の株価変動に注意が必要です。機関投資家による保有割合は18.89%と、一定の関心を集めています。直近の決算発表後、株価は大きな変動は見られていません。
11. 総評
コーナン商事は、ホームセンター業界で安定した地位を築き、増収増益を続けています。割安な株価指標、安定した配当、積極的な株主還元策は、個人投資家にとって魅力的な要素です。一方、業界競争の激化、コスト上昇、ECサイトの台頭といった課題にも直面しており、今後の経営戦略と業績推移に注目する必要があります。テクニカル分析では、短期的には上昇基調にありますが、200日移動平均線を突破できるかがポイントです。総合的に見て、中長期的な視点での投資を検討する価値のある銘柄と言えるでしょう。
企業情報
| 銘柄コード | 7516 |
| 企業名 | コーナン商事 |
| URL | http://www.hc-kohnan.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 小売 – 小売業 |
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