1. 企業情報
クミアイ化学工業は、全農系の農薬専業大手企業です。水稲用除草剤を主力とし、殺菌剤、殺虫剤、化成品なども製造・販売しています。近年は環境負荷低減に貢献する新製品の開発にも注力しており、化成品事業の強化も課題としています。
2. 業界のポジションと市場シェア
農薬業界において、クミアイ化学工業は国内トップクラスの地位を確立しています。全農との連携を強みとし、安定した販売チャネルを構築しています。競合他社との差別化を図るため、独自技術を活用した製品開発や、環境配慮型の製品ラインナップ拡充が重要となります。
3. 経営戦略と重点分野
中期経営計画「Create the Future」に基づき、企業価値向上を目指しています。具体的には、農薬事業における新製品開発と海外展開の加速、化成品事業の強化、環境負荷低減への貢献などを重点分野としています。配当性向3割超を目標に、株主還元にも積極的に取り組んでいます。
4. 事業モデルの持続可能性
農薬は、食料生産に不可欠な製品であり、安定した需要が見込めます。クミアイ化学工業は、水稲用除草剤を主力とし、国内市場での強固な基盤を築いています。また、海外展開を強化することで、更なる成長を目指しています。市場ニーズの変化に対応するため、環境配慮型製品の開発や、病害虫の発生状況に応じた製品ラインナップの拡充が重要となります。
5. 技術革新と主力製品
クミアイ化学工業は、長年の農薬開発で培った技術力を強みとしています。特に、水稲用除草剤分野で高い技術力を有し、多くの製品を市場に投入しています。近年は、微生物農薬の開発にも注力しており、環境負荷低減に貢献する製品の開発を進めています。主力製品である水稲用除草剤に加え、殺菌剤、殺虫剤、化成品なども収益に貢献しています。
6. 株価の評価
- 株価: 831.0円
- PER（会社予想）: 9.18倍 (業界平均: 20.4倍)
- PBR（実績）: 0.67倍 (業界平均: 1.1倍)
- EPS（会社予想）: 90.55円
- BPS（実績）: 1,233.32円
PER、PBRともに業界平均を下回っており、割安感があります。EPSとBPSも堅調であり、今後の業績拡大への期待も持てます。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価は上昇傾向にあり、2025年3月7日には年初来高値879円に接近しています。200日移動平均線（782.40円）を上回っており、上昇トレンドにあると判断できます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去5年間で増加傾向にあり、2023年10月期には1610億円を計上。
- 営業利益: 2023年10月期は140.89億円と、過去5年間で堅調に推移。
- 当期純利益: 2023年10月期は180.24億円と、過去5年間で増加傾向。
- ROE（実績）: 9.74%
- 自己資本比率（実績）: 53.0%
売上高、利益ともに増加傾向にあり、財務体質も良好です。ROEも9%を超えており、効率的な経営が行われていると考えられます。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 4.09%
- 1株配当（会社予想）: 34.00円
- 配当性向: 27.09%
- 株主優待: なし
- 自社株買い: 過去の実施状況は不明
配当利回りは4%を超えており、株主還元に積極的な姿勢を示しています。配当性向も3割を下回っており、今後の増配余地も期待できます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は上昇傾向にあり、モメンタムは良好です。信用買残は減少、信用売残は増加しており、需給はやや拮抗しています。決算発表後、株価は上昇しており、業績への期待感も高まっていると考えられます。
11. 総評
クミアイ化学工業は、農薬業界で安定した地位を築き、財務状況も良好です。中期経営計画に基づき、新製品開発や海外展開を推進しており、今後の成長も期待できます。株価は割安感があり、配当利回りも魅力的です。テクニカル的にも上昇トレンドにあり、投資妙味のある銘柄と言えるでしょう。ただし、農薬業界は天候や病害虫の発生状況に業績が左右される側面もあるため、注意が必要です。
企業情報
| 銘柄コード | 4996 |
| 企業名 | クミアイ化学工業 |
| URL | http://www.kumiai-chem.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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