1. 企業情報

福山通運は、西日本を地盤とする大手陸運会社です。路線トラック輸送を主力とし、小口貨物に強みを持っています。物流センターでの流通加工や国際輸送も展開しており、セイノーホールディングスとの共同輸送も推進しています。事業は、運送事業、流通加工事業、国際事業、その他事業に分かれています。

2. 業界のポジションと市場シェア

福山通運は、国内の陸運業界において大手の一角を占めています。特に小口貨物輸送に強みがあり、個人向け配送ニーズに対応しています。業界内では、大手競合との競争に加え、燃料費や人件費の高騰、2024年問題など、様々な課題に直面しています。セイノーホールディングスとの連携は、競争力強化の一環と考えられます。

3. 経営戦略と重点分野

福山通運は、第6次中期経営計画「Change & Growth 2026」に基づき、貸切事業を新たな収益の柱として位置づけています。具体的な施策としては、輸送品質の向上、ダブル連結トラック導入による輸送力強化、単価改定の推進などが挙げられます。また、流通加工事業や国際事業の拡大も目指しています。

4. 事業モデルの持続可能性

福山通運の収益モデルは、トラック輸送を基盤としており、景気変動の影響を受けやすい側面があります。近年は、EC市場の拡大に伴う小口貨物需要の増加が追い風となっていますが、燃料費や人件費の高騰はコスト増につながっています。市場ニーズの変化への対応として、流通加工や国際輸送といった付加価値の高いサービスの提供が重要となります。

5. 技術革新と主力製品

福山通運は、具体的な技術革新に関する情報は限定的です。しかし、輸送効率の向上やコスト削減のため、ダブル連結トラックの導入や、ITを活用した配車システムの最適化など、様々な取り組みを行っていると考えられます。主力製品は、路線トラックによる小口貨物輸送サービスです。

6. 株価の評価

  • PER(会社予想): 18.89倍
  • PBR(実績): 0.51倍
  • EPS(会社予想): 198.50円
  • BPS(実績): 7,283.94円

PERは、類似企業と比較してやや高い水準にあります。PBRは1倍を下回っており、割安感があります。EPSとBPSから、企業の収益性と資産効率を評価できます。
業界平均PER:13.9
業界平均PBR:1.0

7. テクニカル分析

直近10日間の株価推移を見ると、株価は3,700円から3,775円の間で変動しており、200日移動平均線(3759.40)近辺で推移しています。年初来高値(4,380円)からは下落していますが、年初来安値(3,360円)からは上昇しており、方向感は判断が難しい状況です。

8. 財務諸表分析

過去数年間の財務指標を比較すると、売上高は増加傾向にありますが、2024年3月期は営業利益、経常利益、当期純利益が減少しています。これは、コスト上昇と運賃改定の遅れが影響していると考えられます。自己資本比率は58.5%と高く、財務体質は安定しています。ROEは2.79%と、改善の余地があります。

項目 2024年3月期 2023年3月期 2022年3月期
売上高 287,563百万円 293,358百万円 291,266百万円
営業利益 10,451百万円 21,377百万円 22,094百万円
当期純利益 7,834百万円 20,791百万円 16,763百万円
自己資本比率 58.5%
ROE 2.79%

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 1.87%
  • 1株配当(会社予想): 70.00円
  • 配当性向: 28.11%

福山通運は、安定的な配当を重視する方針です。配当利回りは、現時点では平均的な水準です。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価は、3,700円台で推移しており、大きな変動は見られません。信用倍率は9.69倍と、買われ過ぎの可能性があります。株価への影響要因としては、業績動向、燃料費や人件費の動向、物流2024年問題、今後の経済状況などが挙げられます。

11. 総評

福山通運は、西日本を地盤とする陸運大手であり、小口貨物輸送に強みを持っています。しかし、足元ではコスト上昇や2024年問題など、厳しい経営環境に直面しています。財務体質は安定していますが、業績の回復が今後の株価を左右するでしょう。株価は、PER、PBRから見て割安感があるものの、今後の業績動向や、経営戦略の進捗を注視する必要があります。投資判断は、これらの情報を総合的に考慮し、ご自身の判断で行ってください。


企業情報

銘柄コード 9075
企業名 福山通運
URL http://www.fukutsu.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 運輸・物流 – 陸運業

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