1. 企業情報
セコムは、日本を代表する警備会社であり、セキュリティサービスを中核事業としています。具体的には、オンラインセキュリティシステム、常駐警備、現金輸送、防災システム、医療サービス、保険サービス、地理空間情報サービス、BPO・ICTサービスなど、多岐にわたる事業を展開しています。国内の警備市場で圧倒的なシェアを誇り、近年は海外展開も積極的に行っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
セコムは、日本の警備業界においてリーディングカンパニーとしての地位を確立しています。機械警備システムを中心としたセキュリティサービスは、高い信頼性とブランド力で顧客からの支持を得ています。
競争優位性:
- ブランド力: 長年の実績と信頼によるブランドイメージ。
- 技術力: 高度なセキュリティシステムと、それを支える技術開発力。
- 多角的な事業展開: セキュリティサービスに加えて、防災、医療、保険など、事業ポートフォリオの多様性。
- 全国的なサービスネットワーク: 広範囲なサービス提供体制。
課題:
- 人件費の高騰: 警備員の確保と人件費の上昇。
- 競争激化: 新規参入企業や異業種からの参入による競争激化。
- 技術革新への対応: AIやIoTなどの技術革新への迅速な対応。
3. 経営戦略と重点分野
セコムは、「セコムグループ2030年ビジョン」に基づき、「セコムグループ ロードマップ2027」を策定し、中長期的な成長を目指しています。
重点分野:
- セキュリティサービスの強化: 顧客ニーズに対応したサービスの拡充。
- 海外事業の拡大: グローバル市場での事業展開の加速。
- 防災・医療・保険事業の成長: シナジー効果を活かした事業展開。
- BPO・ICTサービスの強化: デジタル技術を活用したサービスの提供。
4. 事業モデルの持続可能性
セコムの事業モデルは、安定した収益基盤を築いています。
収益モデル:
- 月額料金収入: 機械警備システムを中心とした継続的なサービス利用料。
- 初期費用: システム導入時の費用。
- 保守・メンテナンス収入: 設備の保守・メンテナンス費用。
- 多角的な事業からの収益: セキュリティ以外の事業からの収益。
市場ニーズの変化への適応力:
- 技術革新への対応: AI、IoT、クラウド技術を活用したサービスの開発。
- 顧客ニーズへの対応: 多様な顧客ニーズに対応したサービスの提供。
- 社会の変化への対応: 防犯意識の高まり、高齢化社会への対応。
5. 技術革新と主力製品
セコムは、技術革新を積極的に推進し、競争優位性を高めています。
技術開発の動向:
- AI・IoT技術の活用: 防犯システムの高度化、効率的な警備体制の構築。
- セキュリティ関連技術の開発: 生体認証、画像解析技術などの開発。
- 医療・ヘルスケア分野への技術応用: 遠隔医療、健康管理サービスの提供。
主力製品・サービス:
- セコム・ホームセキュリティ: 家庭向けセキュリティシステム。
- セコム・オンラインセキュリティシステム: 法人向けセキュリティシステム。
- セコム防災システム: 防災設備の設計、施工、メンテナンス。
- セコム医療システム: 訪問看護、介護サービス。
- セコム保険サービス: 火災保険、自動車保険など。
6. 株価の評価
PER（会社予想）: 20.87倍（業界平均PER:17.0）
PBR（実績）: 1.77倍（業界平均PBR:1.8）
EPS（会社予想）: 251.36円
BPS（実績）: 2,964.75円
PERは業界平均をやや上回っており、割高感はありません。PBRは業界平均とほぼ同水準です。EPSとBPSに基づくと、現在の株価は妥当な水準にあると考えられます。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、2025年3月21日の終値は5,246円であり、年初来高値5,930円からは下落しています。50日移動平均線（5,187.70円）と200日移動平均線（5,148.87円）を上回っており、底堅い動きを見せています。
8. 財務諸表分析
売上高: 過去5年間で着実に増加傾向にあります。
営業利益: 安定的に推移しており、高い収益性を維持しています。
当期純利益: 増加傾向にあり、業績は好調です。
ROE（実績）: 8.54%
ROA（過去12か月）: 4.18%
自己資本比率（実績）: 58.8%
財務体質は良好であり、安定した経営基盤を持っています。
9. 株主還元と配当方針
配当利回り（会社予想）: 1.86%
1株配当（会社予想）: 97.50円
配当性向: 37.72%
安定的な配当を実施しており、株主還元にも積極的です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、やや調整局面にあるものの、底堅い動きを見せています。信用買い残が減少し、信用売り残が増加していることから、短期的な株価上昇への期待はやや薄れている可能性があります。
株価への影響を与える要因:
- 景気動向: 日本経済の動向、特に設備投資や個人消費の動向。
- セキュリティ市場の動向: 競合他社の動向、技術革新の進展。
- 海外事業の進捗: 海外市場での事業展開の成果。
- 災害の発生: 自然災害によるセキュリティ需要の変化。
11. 総評
セコムは、国内警備市場で圧倒的なシェアを誇るリーディングカンパニーであり、安定した収益基盤と高い財務健全性を有しています。多角的な事業展開と技術革新への取り組みにより、中長期的な成長も期待できます。株価は、PER、PBRから見て割高感はなく、テクニカル的にも底堅い動きを見せています。安定的な配当も魅力です。ただし、人件費の高騰や競争激化などの課題も存在します。総合的に見て、セコムは、長期的な視点での投資に適した銘柄であると考えられます。
企業情報
| 銘柄コード | 9735 |
| 企業名 | セコム |
| URL | http://www.secom.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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