1. 企業情報
乾汽船は、外航海運、倉庫、不動産事業を展開する企業です。特に、中小型ばら積み船を主力とする外航海運事業と、陸海一貫の物流体制が強みです。倉庫・運送事業では、保管・荷役、配送サービスを提供し、不動産事業では、主に賃貸住宅の建設・賃貸を行っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
乾汽船は、海運業界において中小型ばら積み船に強みを持つ企業です。詳細な市場シェアは公開されていませんが、陸海一貫の物流体制と、倉庫・運送事業、不動産事業を組み合わせた複合的な事業展開が特徴です。海運業界は市況変動の影響を受けやすく、競争も激しいですが、乾汽船は、経営基盤の強さで安定した事業運営を目指しています。
3. 経営戦略と重点分野
乾汽船の経営戦略は、外航海運事業を基盤としつつ、倉庫・運送事業、不動産事業との連携による収益の安定化を図ることにあると考えられます。
* 重点分野:
* 外航海運事業：市況変動に対応し、収益性を維持・向上させる。
* 倉庫・運送事業：顧客ニーズに対応したサービスの提供。
* 不動産事業：プラザ勝どきの再開発計画への対応。
4. 事業モデルの持続可能性
乾汽船の事業モデルは、外航海運、倉庫、不動産という複数の事業の組み合わせにより、リスク分散を図っています。外航海運は市況の影響を受けやすいものの、倉庫・運送事業や不動産事業が安定的な収益源となる可能性があります。市場ニーズの変化に対しては、柔軟な対応が求められます。
5. 技術革新と主力製品
乾汽船は、技術革新に関する具体的な情報は開示していません。主力製品・サービスは、外航海運におけるばら積み貨物輸送、倉庫・運送サービス、不動産賃貸です。
6. 株価の評価
- 株価: 1,440円
- PER（会社予想）: 7.22倍 (業界平均: 17.2倍)
- PBR（実績）: 1.00倍 (業界平均: 0.5倍)
- EPS（会社予想）: 199.38円
- BPS（実績）: 1,443.06円
- 配当利回り（会社予想）: 5.26%
PERは業界平均と比較して低く、割安感があります。PBRは1倍を超えており、純資産に対してある程度の評価を受けていると見られます。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、株価は1,440円近辺で推移しており、200日移動平均線（1,341.30円）を上回っています。年初来高値は1,752円、年初来安値は910円であり、現在は高値圏からやや下落した水準に位置しています。
8. 財務諸表分析
| 指標 | 過去12か月 (実績) | 2024/3 (実績) | 2023/3 (実績) | 2022/3 (実績) |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 31,850百万円 | 29,494百万円 | 44,267百万円 | 37,597百万円 |
| 営業利益 | 1,678百万円 | 1,678百万円 | 13,067百万円 | 13,366百万円 |
| 経常利益 | 1,918百万円 | 1,918百万円 | 13,696百万円 | 13,532百万円 |
| 当期純利益 | 1,194百万円 | 1,194百万円 | 9,857百万円 | 11,848百万円 |
| ROE | 14.23% | 3.64% | – | – |
| ROA | 3.85% | – | – | – |
| 自己資本比率 | – | 47.5% | – | – |
| 1株当たり当期純利益(EPS) | 189.22 | 47.64 | 393.71 | 473.60 |
- 売上高: 2023年3月期から2024年3月期にかけて減少しています。
- 利益: 2024年3月期は、2023年3月期と比較して大幅に減少しています。
- ROE: 2024年3月期は3.64%と低水準です。
- 自己資本比率: 47.5%と、財務基盤は安定しています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 5.26%
- 1株配当（会社予想）: 75.76円
- 配当性向: 9.13% (予想)
- 株主還元策: 配当性向は業績連動、下限6円
高い配当利回りは魅力ですが、業績に連動するため、今後の業績動向に注意が必要です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価の変動: 直近では1,440円近辺で推移しており、方向感は明確ではありません。
- 信用取引: 信用買残は減少し、信用売残は増加しています。
- 株価への影響要因: 海運市況、為替、燃料価格の変動、プラザ勝どきの再開発計画などが影響を与える可能性があります。
11. 総評
乾汽船は、外航海運、倉庫、不動産事業を展開し、高い配当利回りが魅力的な企業です。PERは業界平均と比較して割安であり、財務基盤も安定しています。
しかし、2024年3月期の業績は、2023年3月期と比較して大幅に悪化しており、今後の業績動向には注意が必要です。特に、外航海運事業は市況変動の影響を受けやすく、プラザ勝どきの再開発計画も影響を与える可能性があります。
投資を検討する際には、海運市況、為替、燃料価格の動向、および同社の業績見通しを注視し、リスクを十分に考慮する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 9308 |
| 企業名 | 乾汽船 |
| URL | http://www.inui.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 運輸・物流 – 海運業 |
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