1. 企業情報
日本証券金融（JSF）は、証券金融最大手として、主に制度信用取引に必要な資金や株券の貸付（貸借取引業務）を行っています。その他、証券担保融資、証券投資、信託銀行業務、不動産賃貸なども手掛けています。
2. 業界のポジションと市場シェア
JSFは、貸借取引業務において圧倒的なシェアを誇っています。この分野における競争優位性は高く、安定した収益基盤となっています。課題としては、株式市場の変動や金利動向に業績が左右される点が挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
JSFの経営戦略は、貸借取引業務を基盤としつつ、信託銀行業務や不動産賃貸など、多角的な事業展開を図ることで、リスク分散と収益の安定化を目指していると考えられます。中期経営計画に関する具体的な情報は、今回のデータからは確認できませんでした。
4. 事業モデルの持続可能性
JSFの収益モデルは、株式市場の活況と金利動向に大きく依存します。制度信用取引の需要は、市場の活況度合いに比例するため、市場環境の変化に柔軟に対応できるかが重要です。信託銀行業務や不動産賃貸などの多角化は、事業の持続可能性を高める上で有効な手段と考えられます。
5. 技術革新と主力製品
JSFは、技術革新に関する具体的な情報は開示していません。主力製品は、貸借取引業務における資金・株券の貸付です。信託銀行業務におけるアセットバックローン信託なども、重要な収益源となっています。
6. 株価の評価
- PER（会社予想）: 14.58倍
- PBR（実績）: 1.06倍
- EPS（会社予想）: 120.90円
- BPS（実績）: 1,662.99円
業界平均PERが10.3倍、PBRが0.9倍であることから、JSFの株価は、業界平均と比較して割高な水準にあると判断できます。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、2025年4月1日の終値は1,763円と、年初来安値1,715円からやや上昇した水準にあります。50日移動平均線1854.46円、200日移動平均線1896.92円を下回っており、短期的な株価はやや弱含みと見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2024年3月期は215.55億円、2023年3月期は224.57億円と、前期比で減少しています。
- 純利益: 2024年3月期は80.3億円、2023年3月期は59.66億円と、増益となっています。
- ROE（実績）: 7.04%
- 自己資本比率（実績）: 1.1%
売上高は減少傾向にあるものの、純利益は増加しており、収益性は改善しています。自己資本比率が低い点は、注意が必要です。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 4.76%
- 1株配当（会社予想）: 84.00円
- 配当性向: 54.41%
- 総還元性向: 100%
高い配当利回りは、投資家にとって魅力的な要素です。総還元性向が100%と高い水準にあることも特徴です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、2025年4月1日に1,763円と、やや下落傾向にあります。出来高は141,200株と、平均的な水準です。信用倍率は5.92倍と、買われ過ぎの状況です。
11. 総評
日本証券金融は、証券金融最大手として安定した収益基盤を持っています。高い配当利回りも魅力です。一方、株価は割高感があり、自己資本比率の低さ、株式市場や金利動向に業績が左右される点には注意が必要です。テクニカル面では、短期的に弱含みの傾向が見られます。投資判断にあたっては、これらの点を総合的に考慮する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 8511 |
| 企業名 | 日本証券金融 |
| URL | http://www.jsf.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 金融（除く銀行） – その他金融業 |
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