1. 企業情報
ispace（9348）は、月面資源開発を目的とした宇宙ベンチャー企業です。主な事業内容は、月面着陸機やローバーの開発・製造、顧客のペイロード（貨物）輸送サービス、月面データの提供などです。宇宙航空研究開発機構（JAXA）のミッションにも参画しており、月面開発におけるリーディングカンパニーを目指しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
ispaceは、月面開発というニッチな市場において、まだ競合が少ない中で事業を展開しています。特に、民間企業として月面輸送サービスを提供できる数少ない企業の一つです。しかし、宇宙開発は技術的なハードルが高く、多額の資金が必要となるため、資金調達や技術開発の進捗が事業の成否を左右する可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
ispaceは、月面経済圏の構築を目指し、月面輸送サービスの確立、月面データの取得・提供、月面資源の利用といった事業を展開しています。中期経営計画においては、月面探査ミッションの成功、顧客獲得、技術開発の加速などを重点分野として取り組んでいると考えられます。
4. 事業モデルの持続可能性
ispaceの収益モデルは、月面輸送サービス、データサービス、パートナーシップサービスなど多岐にわたります。月面開発市場は、将来的な成長が見込まれるものの、現時点ではまだ黎明期であり、収益の安定化には時間を要する可能性があります。市場ニーズの変化への適応力としては、多様な顧客ニーズに対応できる柔軟性が求められます。
5. 技術革新と主力製品
ispaceは、月面着陸機やローバーの開発において、独自の技術を有していると考えられます。また、月面データの取得・解析技術も重要な要素となります。主力製品としては、月面輸送サービスやデータサービスが挙げられます。
6. 株価の評価
- 株価: 707.0円（2025年4月3日終値）
- EPS（会社予想）: -114.28円
- BPS（実績）: 46.13円
- PER（会社予想）: 算出不可（EPSがマイナスのため）
- PBR（実績）: 15.33倍
EPSがマイナスであり、現時点では利益が出ていない状況です。PBRは15倍を超えており、割高感があります。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、2025年3月21日には698円まで下落しましたが、その後は上昇傾向にあり、2025年4月3日には707円で取引を終えています。年初来高値928円、年初来安値606円であり、現在は安値圏からやや上昇した水準に位置しています。50日移動平均線669.06円、200日移動平均線654.99円を上回っており、短期的には上昇トレンドにあると見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2024年3月期は23.57億円、2023年3月期は9.89億円と、売上は増加傾向にあります。
- 営業損益: 2024年3月期は-55億円、2023年3月期は-110億円と、赤字が続いています。
- 当期純損益: 2024年3月期は-23.66億円、2023年3月期は-113.98億円と、赤字です。
- ROE: 算出不可（自己資本がマイナスまたは、当期純利益がマイナスのため）
- ROA: 過去12か月で-22.68%と、低い水準です。
売上は増加しているものの、赤字幅も拡大しており、収益性の改善が課題です。
9. 株主還元と配当方針
ispaceは、現時点では配当を実施していません。
* 配当利回り（会社予想）: 0.00%
* 1株配当（会社予想）: 0.00円
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は上昇傾向にあり、モメンタムは強くなっています。信用買い残が増加している一方で、信用売り残はゼロであり、投資家の関心は高いと考えられます。株価への影響要因としては、月面探査ミッションの進捗、資金調達の状況、宇宙開発関連のニュースなどが挙げられます。
11. 総評
ispaceは、月面開発という将来性の高い分野で事業を展開する宇宙ベンチャー企業です。売上は増加していますが、赤字が続いており、収益性の改善が急務です。株価は、直近では上昇傾向にありますが、PERは算出できず、PBRは割高感があります。月面探査ミッションの成功や資金調達の状況、宇宙開発関連のニュースなど、今後の動向を注視する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 9348 |
| 企業名 | ispace |
| URL | https://ispace-inc.com/jpn/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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