1. 企業情報
日東紡績（以下、日東紡）は、ガラス繊維を主力とする産業資材メーカーです。建材、ヘルスケア、メディカル事業など多角化を進めています。主な事業内容は、ガラス繊維製品（自動車向け、電子機器基材など）、建材、診断薬、繊維製品など多岐にわたります。1898年創業の老舗企業です。
2. 業界のポジションと市場シェア
日東紡は、ガラス繊維分野で世界有数のシェアを誇ります。特に、電子機器基材や断熱材など、高付加価値製品に強みを持っています。競争優位性としては、長年の技術蓄積と多様な製品ラインナップが挙げられます。課題としては、原材料価格の変動や、競合他社との競争が挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
日東紡は、2024年から新中期経営計画（2024-2027年度）をスタートさせ、「環境・エネルギー」「デジタル化社会」「健康・安心・安全」に貢献するグローバル・ニッチNo.1を目指しています。重点分野は、電子材料事業、メディカル事業、複合材事業など、高成長が見込まれる分野です。
4. 事業モデルの持続可能性
日東紡の事業モデルは、多角化によりリスク分散を図っています。ガラス繊維製品は、自動車、電子機器、住宅など幅広い分野で需要があり、安定した収益基盤となっています。また、ヘルスケア分野への参入は、高齢化社会における需要増加に対応するものであり、持続可能性を高める要因となります。市場ニーズの変化への適応力も高く、新製品開発や技術革新を通じて、競争力を維持しています。
5. 技術革新と主力製品
日東紡は、ガラス繊維技術を基盤に、様々な製品を開発しています。主力製品は、自動車向けガラス繊維製品、電子機器基材、断熱材、診断薬などです。技術開発の動向としては、環境負荷低減に貢献する製品の開発や、高機能材料の開発などが挙げられます。
6. 株価の評価
- 株価: 3,170.0円
- PER（会社予想）: 10.04倍（業界平均：18.3）
- PBR（実績）: 0.93倍（業界平均：1.4）
- EPS（会社予想）: 315.87円
- BPS（実績）: 3,419.42円
PER、PBRともに業界平均を下回っており、割安感があります。EPS、BPSも堅調であり、企業の成長性を示唆しています。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、2025年4月9日の終値は3,170円であり、4月1日以降は下落傾向にあります。年初来高値は6,930円、年初来安値は3,025円であり、現在の株価は年初来安値に近い水準です。50日移動平均線は4895.60、200日移動平均線は5795.40であり、大きく下回っています。
8. 財務諸表分析
| 項目 | 過去12か月 (百万円) | 3/31/2024 (百万円) | 3/31/2023 (百万円) | 3/31/2022 (百万円) |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 93,253 | 93,253 | 87,529 | 84,051 |
| 営業利益 | 8,388 | 8,388 | 4,880 | 7,269 |
| 経常利益 | 9,083 | 9,083 | 4,661 | 8,679 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7,296 | 7,296 | 2,772 | 6,519 |
| 売上高成長率 | 6.5% | 6.5% | 4.1% | 6.3% |
| 営業利益率 | 9.0% | 9.0% | 5.6% | 8.6% |
| ROE | 9.33% | |||
| ROA | 4.36% | |||
| 自己資本比率 | 55.7% |
- 売上高: 過去数年で増加傾向にあり、2024年3月期には932億5300万円を計上。
- 営業利益: 2023年3月期は48億8000万円まで落ち込んだものの、2024年3月期には83億8800万円と回復。
- 当期純利益: 2023年3月期は27億7200万円まで落ち込んだものの、2024年3月期には72億9600万円と大幅に回復。
- ROE: 9.33%と、一定の収益性を示しています。
- 自己資本比率: 55.7%と、財務基盤は安定しています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 2.74%
- 1株配当（会社予想）: 87.00円
- 配当性向: 19.24%
日東紡は、安定的な配当を重視する方針です。配当利回りは2.74%と、一定の魅力があります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は下落傾向にあり、モメンタムは弱いです。信用倍率は20.98倍と、買われ過ぎの状況です。
2025年3月期第3四半期決算発表後、株価は上昇しましたが、その後下落に転じています。
株主構成を見ると、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行など、機関投資家の保有割合が高いです。
11. 総評
日東紡は、ガラス繊維を主力とする産業資材メーカーであり、安定した収益基盤と多角化によるリスク分散を図っています。財務状況は安定しており、配当利回りも魅力的です。
一方、直近の株価は下落傾向にあり、割安感があるものの、今後の業績動向を注視する必要があります。
2025年3月期第3四半期決算では増収増益を達成し、通期業績予想も上方修正されました。
今後の成長戦略や、株価の動向を注視し、投資判断を行うことが重要です。
企業情報
| 銘柄コード | 3110 |
| 企業名 | 日東紡績 |
| URL | http://www.nittobo.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – ガラス・土石製品 |
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