1. 企業情報
出光興産は、石油精製・販売を主軸とし、石油化学、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源開発など多角的な事業を展開する大手エネルギー企業です。昭和シェル石油との経営統合により、国内石油元売り2位の規模となりました。
2. 業界のポジションと市場シェア
出光興産は、国内石油製品市場において一定のシェアを占めています。競争優位性としては、石油化学製品の製造能力、豪州の石炭権益などが挙げられます。課題としては、原油価格変動や、脱炭素化の流れによる石油需要の減少などが挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
出光興産は、中期経営計画において、石油事業の最適化、非石油事業の強化、再生可能エネルギーへの投資などを推進しています。具体的な施策としては、高付加価値製品の開発、海外事業の拡大、カーボンニュートラルへの取り組みなどが挙げられます。
4. 事業モデルの持続可能性
出光興産の収益モデルは、原油価格や石油製品の需要に大きく影響されます。脱炭素化の流れの中で、石油需要の減少はリスク要因となりますが、石油化学製品や再生可能エネルギー事業へのシフトにより、事業モデルの持続可能性を高めようとしています。
5. 技術革新と主力製品
出光興産は、潤滑油、電子材料、OLED材料などの高機能材分野で技術開発を進めています。収益を牽引している製品としては、ガソリン、軽油などの燃料油、石油化学製品、潤滑油などが挙げられます。
6. 株価の評価
- 株価: 867.0円（2025年4月11日終値）
- PER（会社予想）: 8.07倍（業界平均: 8.0倍）
- PBR（実績）: 0.62倍（業界平均: 0.9倍）
- EPS（会社予想）: 107.43円
- BPS（実績）: 1,407.33円
PERは業界平均と同程度ですが、PBRは業界平均を下回っています。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、2025年4月2日に1044円の高値をつけた後、下落傾向にあります。200日移動平均線（1029.52円）を下回っており、短期的な株価は調整局面にあると考えられます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2024年3月期は9兆4562億円、2024年12月期（3Q累計）は6兆8764億円。
- 営業利益: 2024年3月期は2824億円、2024年12月期（3Q累計）は1232億円。
- 当期純利益: 2024年3月期は2536億円、2024年12月期（3Q累計）は1274億円。
- ROE（実績）: 13.39%
- ROA（過去12か月）: 2.11%
- 自己資本比率（実績）: 35.9%
売上高は増加傾向にありますが、利益は減少傾向にあります。ROEは高い水準を維持しています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 4.15%
- 1株配当（会社予想）: 36.00円
- 配当性向: 38.64%
- 自社株買い: 2024年5月14日に700億円を上限とする自己株式取得を決議。
高い配当利回りと、自社株買いによる株主還元を行っています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は下落傾向にあり、モメンタムは弱いです。信用買残は増加、信用売残は減少しており、個人投資家の関心は高いと考えられます。
11. 総評
出光興産は、石油・石炭製品セクターの大手企業であり、高い配当利回りと自社株買いによる株主還元が魅力です。しかし、原油価格変動や脱炭素化の流れによる事業環境の変化というリスクも抱えています。直近の業績は減益傾向にあり、株価は調整局面にあるため、今後の事業戦略や、再生可能エネルギー事業の進捗に注目する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 5019 |
| 企業名 | 出光興産 |
| URL | http://www.idemitsu.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | エネルギー資源 – 石油・石炭製品 |
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