1. 企業情報
- 企業名: 蝶理株式会社（Chori Co., Ltd.）
- 設立: 1948年9月2日（創業は1861年）
- 所在地: 東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟
- 従業員数: 1,353人
- 事業内容: 蝶理は繊維、化学品、機械の3事業を柱とする商社です。繊維分野では合成繊維や衣料、産業資材、車両用シートなど幅広い素材や製品を取り扱い、化学品分野ではウレタン原料、樹脂、電子材料、医薬・化粧品原料、電池材料、肥料など多岐にわたる原料・製品を供給しています。機械分野では自動車や農業機械、建設機械などの輸出入を展開。中国をはじめとした海外展開も積極的です。親会社は東レ株式会社。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 繊維・化学品を中心とした専門商社の中堅であり、東レグループの一員として安定した仕入・販売ネットワークを持ちます。特に繊維・化学品で強みを発揮し、機械事業は規模が小さいものの事業選択と集中を進めています。
- 競争優位性と課題: 東レとの連携による調達力、幅広い商品ラインナップ、海外展開力が優位性です。一方で、繊維・化学品業界は市況や原材料価格の影響を受けやすく、グローバル競争や中国リスク、環境規制対応などが課題となります。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略: 中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」を推進中。
重点戦略は以下の通りです。
– 既存事業の収益力強化（繊維・化学品の高付加価値化）
– 新規事業・新市場の開拓（環境・エネルギー、ヘルスケア等）
– 海外展開の深化（特に中国・アジア）
– DX推進と業務効率化
– 具体的施策: ファインケミカルや環境分野の強化、機械事業の選択と集中、グループ内シナジーの最大化など。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 商社としての仕入・販売マージン型が中心。繊維・化学品は安定収益源であり、機械事業はリスク分散の役割も。
- 市場ニーズへの適応力: 環境・サステナビリティ対応や新素材、電子材料分野への進出など、時代の変化に合わせた事業展開を進めています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向・独自性: 自社開発よりも、東レグループやパートナー企業との連携による新素材・高機能素材の取り扱いが強み。
繊維事業では機能性衣料や産業資材、化学品事業では電池材料や電子部品材料など成長分野を強化。
– 主力製品・サービス:
– 繊維：ポリエステル・ナイロン糸、衣料・産業資材用テキスタイル
– 化学品：リチウムイオン電池材料、ファインケミカル、樹脂、機能性化学品
– 機械：自動車、農業機械等の輸出
6. 株価の評価
- 株価: 2,933円（2025/4/17終値）
- EPS（会社予想）: 405.78円
- BPS（実績）: 3,596.04円
- PER（会社予想）: 7.23倍（業界平均12.1倍より低い）
- PBR（実績）: 0.82倍（業界平均1.0倍より低い）
評価:
PER・PBRともに業界平均を下回っており、株価は相対的に割安な水準と考えられます（※投資判断ではありません）。
7. テクニカル分析
- 年初来高値: 3,900円
- 年初来安値: 2,420円
- 直近株価推移: 直近10日間で2,400円台から2,900円台へ急反発し、その後はやや高値圏で推移。
50日移動平均（3,076円）、200日移動平均（3,562円）を下回っており、中長期的には調整局面ですが、短期的には反発の動きが見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2024年3月期：307,699百万円（前年比-6.6%）
- 営業利益: 2024年3月期：15,040百万円（前年比+18.8%）
- 純利益: 2024年3月期：9,624百万円（前年比+18.5%）
- ROE（実績）: 12.48%
- ROA（過去12か月）: 6.19%
- 自己資本比率: 57.2%（直近四半期は61.7%）
- キャッシュフロー: 現金同等物残高は潤沢。負債比率も低く財務健全性が高い。
- 利益成長: 2021年以降、純利益・EPSともに大きく成長。2024年度は営業利益・純利益ともに過去最高益を更新。
- 利益率: 営業利益率4.13%、純利益率3.51%と商社としては標準的。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）: 4.16%
- 1株配当（予想）: 122円
- 配当性向: 27.92%（直近）
- 自社株買い: 自己株式保有あり（2.06%）
- 配当方針: 安定配当を基本としつつ、業績連動型の株式報酬制度も導入。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価変動: 4月上旬に2,400円台まで下落した後、短期間で2,900円台まで急反発。出来高も増加しており、短期的な投資家の関心が高まった可能性があります。
- 信用取引動向: 信用買残は減少傾向、信用倍率は高い（188.5倍）ですが、信用売残が少なく、需給は買い優勢。
- 株主構成: 東レが過半数を保有し、浮動株比率は低め。安定株主が多い。
11. 総評
蝶理は繊維・化学品に強みを持つ中堅専門商社で、東レグループの一員として安定した事業基盤と財務健全性を有しています。近年は利益率・収益性が向上し、配当利回りも高水準を維持。PER・PBRともに業界平均を下回っており、株価は相対的に割安な水準です。直近では株価が急反発し、投資家の注目も集まっています。今後は中期経営計画に基づく新規事業・海外展開の進捗や、市況変動・中国リスクへの対応が注目点となります。
※本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資判断を目的としたものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 8014 |
| 企業名 | 蝶理 |
| URL | http://www.chori.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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