1. 企業情報

事業内容

日本コンクリート工業株式会社は、プレキャストコンクリート製品の製造・施工・販売を主力とする企業です。主な製品は、配電用ポール(電柱)、パイル(杭)、コンクリート二次製品(トンネル材、ボックスカルバート、防音壁など)、および不動産・太陽光発電事業も展開しています。電力・通信インフラ向けのポールで国内トップシェア、パイル分野でも大手3社の一角を占めています。海外ではミャンマー、ベトナム、タイ、インドネシアにも展開しています。
– 【連結事業構成】基礎49%、コンクリート二次製品50%、不動産・太陽光発電1%(2024年3月期)

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内ポジション:配電用ポール(電柱)で国内最大手。パイル分野でも大手3社の一角。
  • 競争優位性:電力・通信インフラ向けで圧倒的シェアを持つことが強み。高支持力杭工法の開発など、技術面でも先行。
  • 課題:コンクリートパイル・ポールの全国需要は減少傾向。建設工事の着工遅延や工期延長、原材料・エネルギー・人件費の上昇など、外部環境リスクが顕在化。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・戦略:2024年5月策定の中期経営計画に基づき、基礎事業・コンクリート二次製品事業の競争力強化、収益基盤の安定化を推進。
  • 重点施策
    • 高支持力杭工法など技術開発による差別化
    • インフラ老朽化対応・防災分野への製品展開
    • 海外事業の拡大
    • 不動産・太陽光発電など新規事業の育成

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル:インフラ向け需要に支えられる安定収益型。ただし、国内市場は縮小傾向のため、海外展開や新分野開拓が重要。
  • 市場ニーズへの適応力:老朽インフラ更新、防災・減災需要、再生可能エネルギー分野など社会的要請に対応。市場変化への柔軟な事業展開が求められる。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発:高支持力杭工法、超高強度繊維補強コンクリートなど独自技術を推進。
  • 主力製品:配電用ポール、コンクリートパイル、トンネル材、防音壁など。インフラ・防災関連が収益を牽引。

6. 株価の評価

  • EPS(会社予想):10.13円
  • BPS(実績):683.14円
  • PER(会社予想):32.58倍(業界平均18.3倍)
  • PBR(実績):0.48倍(業界平均1.4倍)
  • 株価:330円

評価コメント

PERは業界平均を大きく上回り、利益水準に対して株価は割高感が見られます。一方、PBRは業界平均を大きく下回り、純資産価値に対しては割安な水準です。

7. テクニカル分析

  • 株価推移:直近10日間で298円~330円のレンジで推移。年初来高値388円、安値288円。
  • 移動平均線:50日線355.22円、200日線357.10円より下回って推移。
  • 現在地:年初来安値圏に近い水準で、短期的には下値圏。

8. 財務諸表分析

  • 売上高:53,650百万円(2024/3)、前年比微増
  • 営業利益:1,807百万円(2024/3)、前年マイナスから回復
  • 純利益:614百万円(2024/3)、前期赤字から黒字転換
  • ROE:1.69%、ROA:0.85%(いずれも低水準)
  • 自己資本比率:45.7%(健全)
  • キャッシュフロー:現金8.2B円、総負債13.3B円、流動比率1.38(財務安全性は確保)
  • 利益率:営業利益率1.65%、純利益率0.35%と低い
  • 過去数年推移:2023年は赤字、2024年は黒字転換も利益水準は低下傾向

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り:3.94%(会社予想)、過去5年平均2.24%
  • 1株配当:13円(2025年3月期予想)
  • 配当性向:381.23%(利益水準に対して高い)
  • 自社株買い:自己株式保有比率5.4%
  • コメント:利益に対して高水準の配当を維持しているが、利益水準が低いため持続性には注意が必要。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価変動傾向:直近1年で-14.29%と下落傾向。直近10日間はやや反発気味。
  • 出来高:直近は平均10万株前後で安定。
  • 信用取引:信用買残多め(信用倍率15.86倍)、やや買い方優勢。
  • 影響要因:業績低迷、配当維持、インフラ需要の先行き不透明感などが株価に影響。

11. 総評

日本コンクリート工業は、インフラ向けコンクリート製品で国内トップシェアを持つ安定企業です。直近では業績が低迷し、利益率・ROEともに低水準にとどまっています。株価は純資産価値に対して割安ですが、利益水準に対しては割高感もあります。配当利回りは高いものの、配当性向が高く、利益成長が伴わなければ持続性に課題が残ります。今後はインフラ更新需要や新規事業の成長、コスト管理の徹底が重要となります。


企業情報

銘柄コード 5269
企業名 日本コンクリート工業
URL http://www.ncic.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 建設・資材 – ガラス・土石製品

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By シャーロット

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