1. 企業情報
栗田工業は、総合水処理の最大手企業であり、水処理薬品、水処理装置、超純水供給事業を展開しています。電子市場（半導体製造など）と一般水処理市場（工場、ビルなど）を主な事業領域としています。海外展開も積極的に行っており、安定した収益基盤を築いています。
2. 業界のポジションと市場シェア
栗田工業は、国内の総合水処理市場において高いシェアを誇っています。特に、超純水供給事業や水処理薬品分野での強みは、競合他社に対する優位性となっています。
競争優位性:
- 高い技術力と豊富なノウハウ
- 安定収益が見込める超純水供給事業
- グローバルな事業展開
課題:
- 世界経済の変動による影響を受けやすい
- 原材料価格の高騰リスク
- 競合他社との差別化
3. 経営戦略と重点分野
栗田工業は、中期経営計画において、グローバル展開の加速、新技術の開発、顧客ニーズへの対応を重点戦略としています。具体的には、海外市場でのシェア拡大、環境負荷低減に貢献する製品・サービスの開発、デジタル技術を活用した効率化などが挙げられます。
中期経営計画の重点分野:
- 海外事業の拡大
- 環境対応製品・サービスの強化
- デジタル技術の活用による業務効率化
4. 事業モデルの持続可能性
栗田工業の事業モデルは、水処理という社会インフラに関わるため、安定した需要が見込めます。特に、超純水供給事業は、半導体製造などの高度な産業を支える上で不可欠であり、長期的な収益基盤となっています。また、水処理薬品やメンテナンスサービスも、継続的な収益を生み出す要因となっています。
収益モデルの持続可能性:
- 安定した需要が見込めるインフラ関連事業
- 継続的な収益を生み出すストック型ビジネス
- 環境規制強化による需要拡大の可能性
5. 技術革新と主力製品
栗田工業は、水処理技術に関する研究開発に積極的に取り組んでいます。特に、省エネルギー、環境負荷低減に貢献する技術開発に注力しており、独自の技術を活かした製品・サービスを提供しています。
主力製品・サービス:
- 超純水製造システム
- 水処理薬品
- 排水処理設備
- メンテナンスサービス
6. 株価の評価
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 4,572円 |
| PER（会社予想） | 14.90倍 |
| PBR（実績） | 1.47倍 |
| EPS（会社予想） | 306.84円 |
| BPS（実績） | 3,106.91円 |
| 配当利回り | 2.01% |
PERは業界平均16.6を下回っており、割安感があります。PBRも業界平均1.4とほぼ同水準です。EPS、BPSも堅調であり、企業の収益性と資産価値を示しています。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価は、4月7日の3,701円を底に上昇傾向にあり、4月14日には4,689円の高値を付けています。50日移動平均線（4800.14円）と200日移動平均線（5619.54円）を下回っており、中期的なトレンドは下降を示唆しています。現在の株価は、年初来安値からは上昇していますが、年初来高値からは下落しており、高値圏にあるとは言えません。
8. 財務諸表分析
| 指標 | 過去12か月（百万円） | 3/31/2024（百万円） | 3/31/2023（百万円） | 3/31/2022（百万円） |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 391,992 | 384,825 | 344,608 | 288,207 |
| 営業利益 | 44,437 | 41,232 | 29,059 | 35,734 |
| 経常利益 | 44,907 | 41,686 | 30,151 | 30,079 |
| 当期純利益 | 31,526 | 29,189 | 20,134 | 18,471 |
| ROE | 9.34% | – | – | – |
| ROA | 5.18% | – | – | – |
| 自己資本比率 | 59.4% | – | – | – |
売上高は年々増加傾向にあり、2024年3月期には過去最高を記録しています。営業利益、経常利益、当期純利益も増加傾向にあり、収益性の向上が見られます。ROE、ROAも良好であり、自己資本比率も高く、財務体質は安定しています。
9. 株主還元と配当方針
栗田工業は、安定的な配当を重視する方針を示しています。2025年3月期の年間配当は92円（中間配当46円、期末配当46円）を予定しており、配当利回りは2.01%です。
株主還元策:
- 安定配当
- 自社株買いの実施（過去の実績は不明）
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は上昇傾向にあり、モメンタムは強くなっています。信用買残は減少、信用売残は増加しており、短期的な需給はやや悪化しています。
株価への影響要因:
- 業績動向（売上高、利益の成長）
- 海外事業の進捗
- 半導体市場の動向
- 環境規制の強化
- 金利変動
11. 総評
栗田工業は、総合水処理分野で高い競争力を持つ優良企業です。安定した収益基盤、高い技術力、グローバルな事業展開など、魅力的な要素を多く備えています。財務状況も良好であり、安定的な配当も魅力です。
総合的な見解:
- ポジティブ: 安定した事業基盤、高い技術力、グローバル展開、財務の健全性、株主還元。
- ネガティブ: 世界経済の動向、原材料価格の変動、競合との競争。
現時点では、割安感があり、業績も好調であるため、中長期的な視点での投資を検討する価値があると考えられます。ただし、世界経済の動向や競合の状況など、リスク要因も考慮し、慎重に判断する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 6370 |
| 企業名 | 栗田工業 |
| URL | http://www.kurita.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
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