1. 企業情報
企業概要
京浜急行電鉄株式会社（Keikyu Corporation）は、鉄道・バスなどの交通事業を中心に、不動産、レジャー・サービス、流通など多角的に事業を展開しています。鉄道・バスでは、京浜・三浦半島エリアを基盤とし、品川・羽田空港・横浜を主要拠点としています。不動産事業では、住宅や商業施設、オフィスビルの開発・販売・賃貸を手掛け、ホテルやスーパー、レジャー施設の運営も行っています。その他、広告、旅行、保険代理店、ITサービスなど幅広い分野に進出しています。
– 本社：横浜市西区高島1-2-8
– 設立：1948年6月1日（創業1898年）
– 従業員数：8,587人（平均年齢40.3歳、平均年収685万円）
– 連結事業構成（2024.3）：交通39%、不動産19%、レジャー・サービス9%、流通25%、他7%
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
京急は、首都圏の大手私鉄の一角として、特に羽田空港アクセスや品川・横浜エリアで強みを持っています。羽田空港利用者の増加や沿線再開発の進展が今後の成長ドライバーです。
競争優位性と課題
- 羽田空港直結路線を持つことによる利便性の高さ
- 沿線の再開発余地が大きく、不動産・流通事業の成長余地
- 他の大手私鉄（東急、小田急、京王など）との競争、人口減少やコロナ禍後の利用者数回復の遅れが課題
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略
「移動」と「まち創造」の相互価値共創を掲げ、交通ネットワークの強化と沿線価値向上を両輪に持続的発展を目指しています。
中期経営計画の施策・重点分野
- 羽田空港アクセス強化、インバウンド需要取り込み
- 沿線再開発（品川・横浜・三浦半島）による不動産・流通の収益拡大
- ホテル・レジャー施設の収益性向上
- グループシナジーの最大化とDX推進
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
交通事業を基盤とし、安定収益を確保。不動産や流通、レジャー等の非運輸分野で成長を図る多角化モデル。
市場ニーズへの適応力
- 羽田空港アクセス強化や観光需要回復への対応
- 沿線開発による新たな需要創出
- DX推進による効率化・サービス向上
5. 技術革新と主力製品
技術開発・独自性
- 交通系ICカードや駅の自動化、混雑緩和施策などの導入
- 鉄道車両の省エネ化・安全性向上
- 不動産・ホテル分野での新規開発・リノベーション推進
収益を牽引する主力サービス
- 羽田空港アクセス列車
- 沿線の商業施設・ホテル
- 分譲マンション・オフィスビル
6. 株価の評価
- 株価：1,512円（2025/4/18終値）
- 予想PER：19.33倍（業界平均13.9倍より高め）
- 実績PBR：1.13倍（業界平均1.0倍よりやや高い）
- 予想EPS：78.22円
- 実績BPS：1,343.01円
株価水準の比較
- PER、PBRともに業界平均より高めで推移
- BPS（1,343.01円）に対し株価は約1.13倍
7. テクニカル分析
- 年初来高値：1,606円／年初来安値：1,248円
- 直近株価（1,512円）は高値圏寄り
- 50日移動平均：1,497円、200日移動平均：1,290円
- 直近10日間は1,430～1,530円台で推移し、上昇基調から一服感
- 出来高は平均並み
8. 財務諸表分析
売上・利益推移（過去5年）
- 売上高はコロナ禍で一時減少したが、2023年以降回復傾向
- 2024年3月期：売上高2,806億円、営業利益280億円、純利益837.5億円（特別要因含む）
- 営業利益率は10%前後、直近では改善傾向
- ROE：26.75%（特別要因含む）、ROA：2.02%
- 自己資本比率：32.7%→35.8%へ改善
- キャッシュフロー、現金保有は安定
9. 株主還元と配当方針
- 2025年3月期予想配当：18円（前期15円から増配）
- 予想配当利回り：1.19%
- 配当性向：5.37%（利益水準に対して配当は控えめ）
- 自社株買い：自己株保有は0.13%と少額
- 5年平均配当利回り：0.89%で、安定した配当政策
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近1年で約15.9%上昇、TOPIX/S&P500を上回る
- 直近は高値圏でのもみ合い
- 信用買残は減少傾向、信用倍率2.72倍と過熱感は限定的
- インバウンド回復や沿線再開発への期待が株価を支える要因
11. 総評
京浜急行電鉄は、首都圏の交通インフラを基盤に、不動産・流通・レジャーなど多角化した安定収益モデルを構築しています。羽田空港アクセスや沿線再開発による成長余地があり、直近業績も回復傾向です。財務体質も改善傾向にあり、配当も増加しています。株価は業界平均よりやや割高ですが、インバウンド需要や都市開発への期待が根強く、今後の動向が注目されます。
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資判断を目的としたものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 9006 |
| 企業名 | 京浜急行電鉄 |
| URL | http://www.keikyu.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 運輸・物流 – 陸運業 |
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