1. 企業情報
- 事業内容
タツモ株式会社は、主に半導体・液晶ディスプレイ製造装置の開発・製造・販売を行う企業です。事業セグメントは「プロセス機器事業（半導体・FPD装置等）」「金型・樹脂成形事業」「表面処理用機器事業（プリント基板製造装置）」の3つで構成。液晶用塗布装置で世界首位級のシェアを持ち、半導体製造装置を主力としています。M&Aにより洗浄装置やプリント基板装置なども事業に加えています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 競争優位性
液晶用塗布装置で世界トップシェアを持ち、半導体製造装置分野でも一定の存在感を有します。プロセス機器事業が売上・利益の大部分を占めており、技術力と装置の品質で競争力を維持しています。
– 課題
パワー半導体需要の減速や電気自動車市場の低迷が設備投資の鈍化要因となっています。また、金型・樹脂成形事業は赤字が続いており、全体収益への寄与は限定的です。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン
「TAZMO Vision 2025」に基づき、顧客ニーズに応じた新製品開発・生産体制強化を推進。中長期成長を見据えた技術開発とグローバル展開を志向しています。
– 具体的施策
– アドバンスドパッケージ向け装置など成長分野への注力
– M&Aによる事業領域拡大
– 原価低減活動や生産性向上による利益率改善
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
半導体・FPD装置の販売が収益の柱。AI半導体など新規需要への対応力が強み。プリント基板装置や表面処理装置など多角化も進めています。
– 市場変化への適応力
顧客の設備投資動向に左右されるが、成長分野への製品ラインナップ拡充でリスク分散を図っています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向
液晶用塗布装置や半導体製造装置で独自技術を展開。AI・次世代半導体向け装置の開発も進行中。
– 主力製品
– 液晶用塗布装置（世界首位シェア）
– 半導体製造装置（ボンダー/デボンダー、洗浄装置等）
– プリント基板製造装置
6. 株価の評価
- バリュエーション指標
- PER（予想）: 6.73倍（業界平均16.6倍を大きく下回る）
- PBR（実績）: 0.97倍（業界平均1.4倍を下回る）
- EPS（予想）: 238.79円
- BPS（実績）: 1,649.40円
- 株価との比較
現在株価（1,606円）はBPS近辺、PERは業界平均を大きく下回る水準です。
7. テクニカル分析
- 株価推移
年初来高値2,525円、安値1,302円。直近10日間は1,300円台から1,600円台へ急反発後、ややもみ合い。
– 高値圏・安値圏
50日移動平均（2,003.6円）、200日移動平均（2,643.93円）を大きく下回っており、安値圏に位置しています。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益の推移
- 売上高: 2021年22,002百万円 → 2024年35,865百万円（年平均成長率約18%）
- 営業利益: 2021年2,092百万円 → 2024年5,917百万円
- 純利益: 2021年1,750百万円 → 2024年4,247百万円
- キャッシュフロー
営業CFは大幅増加、投資CFは設備投資等でマイナス、財務CFは借入返済・配当等でマイナス。
– ROE/ROA
– ROE: 19.33%
– ROA: 7.66%
– 自己資本比率
49.1%と財務健全性は良好。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想
- 2023年: 33円
- 2024年予想: 34円
- 配当利回り（予想）: 2.12%
- 配当性向
11.38%（利益成長に比べて配当は抑制的）
– 自社株買い
自己株式取得の発表あり（実施規模等は未記載）
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価変動
4月上旬に年初来安値1,302円をつけた後、急反発し1,600円台で推移。出来高も増加傾向。
– 信用取引動向
信用買残減少、信用倍率2.44倍とやや買い長。
– 投資家構成
機関投資家・外国人投資家の保有比率が高い（合計約47%）、インサイダー比率も23%超。
11. 総評
タツモは液晶用塗布装置で世界首位のシェアを持ち、半導体製造装置分野でも高い技術力を有する企業です。直近数年は売上・利益ともに大きく成長し、財務基盤も健全です。一方、株価は業績成長に対し低PER・低PBR水準で推移しており、年初来安値圏にあります。配当利回りは2%台とやや控えめですが、利益成長を背景に今後の株主還元策にも注目されます。今後は、半導体業界の設備投資動向や新規需要（AI・次世代半導体等）への対応力が業績・株価のカギとなります。
企業情報
| 銘柄コード | 6266 |
| 企業名 | タツモ |
| URL | http://www.tazmo.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
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