1. 企業情報
三菱瓦斯化学株式会社（Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc.）は、基礎化学品、ファインケミカル、機能材料など幅広い化学製品を製造・販売する総合化学メーカーです。主力製品にはメタノール、酸素吸収剤（エージレス®）、ポリカーボネート樹脂、エンジニアリングプラスチック、電子材料などがあり、半導体やスマートフォン向けの高機能材料にも強みを持っています。また、海外でのメタノール合弁事業は世界トップクラスの規模です。その他、不動産や物流、機械製造など多角的な事業も展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
三菱瓦斯化学は、素材・化学業界の中で高い競争力を持ち、特にメタノールのグローバルシェアはトップクラスです。機能化学品分野では、電子材料や光学材料、酸素吸収剤など独自技術を活かした製品群で存在感を発揮しています。一方、基礎化学品は市況変動の影響を受けやすく、グローバルな需給バランスや原材料価格の変動が課題となります。中国経済の減速や地政学リスクなど、外部環境の変化にも注意が必要です。
3. 経営戦略と重点分野
中期経営計画「Grow UP 2026」では、「事業ポートフォリオの強靭化」を掲げ、以下の重点施策を進めています。
– 独自性（Uniqueness）と存在感（Presence）のある事業への集中
– イノベーションによる新たな価値創造
– 重点管理事業の再構築
– 収益性と成長性の両立を目指し、機能化学品や電子材料など高付加価値分野へのシフトを強化
4. 事業モデルの持続可能性
三菱瓦斯化学は、基礎化学品と機能化学品の両輪で安定した収益基盤を持ちます。特に、電子材料や酸素吸収剤などは市場ニーズの変化に柔軟に対応できる強みがあります。海外事業の拡大や環境対応型製品の開発も進めており、持続可能な成長モデルを志向しています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発力が高く、酸素吸収剤「エージレス®」や高性能エンジニアリングプラスチック、電子材料（半導体・スマホ向け）などで独自性を発揮
- メタノール生産は世界トップクラス
- 光学材料や電子材料など、成長分野の技術開発を強化中
6. 株価の評価
- 現在株価：2,151円
- 予想EPS：240.00円
- 実績BPS：3,399.98円
- 予想PER：8.96倍（業界平均20.4倍）
- 実績PBR：0.63倍（業界平均1.1倍）
評価
PER・PBRともに業界平均を大きく下回っており、割安感が見られます。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：2,836円、年初来安値：1,918円
- 直近株価は2,151円と、安値圏寄りに位置
- 50日移動平均：2,353.14円、200日移動平均：2,650.47円
- 株価は移動平均線を下回って推移しており、モメンタムは弱い傾向
8. 財務諸表分析
- 売上高は2021年から2024年にかけて増加傾向（2021年595,718百万円→2024年813,417百万円）
- 営業利益は2022年をピークにやや減少傾向だが、2024年は持ち直し
- 純利益は2023年以降減少傾向だが、2025年3月期は増益予想
- ROE：6.14%、ROA：3.09%と安定
- 自己資本比率：61.6%と財務健全性が高い
- キャッシュフローは安定しており、財務リスクは低い
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：4.42%（年間配当95円）
- 配当性向：約49%
- 自己株式取得も実施
- 5年平均配当利回り：3.48%と比較的高水準
- 安定的かつ継続的な株主還元を重視
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近1年で株価は高値から大きく下落（52週変動：-22.68%）
- 直近10日間の株価は2,000円台前半で推移し、やや下値模索の展開
- 信用買残は減少傾向、信用倍率は高い（69.87倍）ため、需給面ではやや重い印象
- 機関投資家の保有比率は約53%と高く、安定株主が多い
11. 総評
三菱瓦斯化学は、基礎化学品から高機能材料まで幅広い事業を展開し、メタノールや電子材料分野で高い競争力を持つ大手化学メーカーです。財務基盤は堅固で、株主還元にも積極的です。株価指標（PER・PBR）は業界平均を大きく下回っており、割安感が見られますが、株価モメンタムは弱く、外部環境や市況変動の影響を受けやすい点には注意が必要です。今後は、中期経営計画に基づく高付加価値分野へのシフトや技術革新の進展が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 4182 |
| 企業名 | 三菱瓦斯化学 |
| URL | http://www.mgc.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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