1. 企業情報
概要
日本たばこ産業株式会社（Japan Tobacco Inc., JT）は、たばこ事業を中心に、医薬品、加工食品の製造・販売を国内外で展開する大手企業です。たばこ事業では紙巻きたばこ、加熱式たばこ（プルームX等）、電子たばこ、葉巻、パイプ、無煙たばこ等を幅広く提供。医薬品分野では循環器、腎・代謝、免疫・炎症、中枢神経領域の処方薬を開発・販売。加工食品分野では冷凍うどん、パックご飯、調味料などを展開しています。
主なブランドはWinston、Camel、MEVIUS、LDなど。1985年設立、本社は東京都港区。従業員数は約5.4万人。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション
JTは国内たばこ市場で圧倒的なシェアを持ち、日本唯一のたばこ製造免許企業です。海外でもM&Aを通じてグローバル展開を進め、世界的な大手たばこメーカーの一角を占めます。
– 競争優位性
国内独占的地位、ブランド力、海外拡大、加熱式たばこ等の新製品開発力が強みです。
– 課題
健康志向の高まりによる喫煙率低下、規制強化、訴訟リスク、為替変動、海外事業の安定成長確保が課題です。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン・戦略
中期経営計画（2025～2027年）で年平均high single digit成長を目指し、たばこ事業のグローバル展開強化、加熱式たばこ等の新規分野拡大、医薬・食品事業の収益性向上を掲げています。
– 重点施策
– 海外たばこ事業のM&A推進
– 加熱式たばこ「プルームX」等の拡販
– 医薬・食品事業の選択と集中による効率化
– 法規制・訴訟リスク管理の強化
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
たばこ事業が売上・利益の大半を占めるが、医薬・食品での多角化も進行中。加熱式たばこ等の新製品で市場変化に対応。
– 市場ニーズ適応力
健康志向や規制強化への対応としてリスク低減型製品（加熱式等）を開発・投入。海外展開により国内市場縮小リスクを分散。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向
加熱式たばこ「プルームX」等のリスク低減型製品の開発・拡販が進行中。医薬品分野でも新薬開発を推進。
– 主力製品・サービス
たばこ（MEVIUS、Winston、Camel等）、加熱式たばこ（プルームX）、冷凍食品、調味料など。
6. 株価の評価
- EPS/BPSと株価比較
- 株価：4,250円
- 直近12か月EPS：101.15円
- BPS：2,121.33円
- PER：約42.0倍（4,250 ÷ 101.15）
- PBR：約2.00倍（4,250 ÷ 2,121.33）
- 業界平均との比較
- 業界平均PER：19.5倍、PBR：1.3倍
- 現状は業界平均より高い水準
7. テクニカル分析
- 株価推移
- 直近10日で3,800円台から4,250円まで上昇
- 52週高値：4,622円、安値：3,453円
- 50日移動平均：3,959.8円、200日移動平均：4,107.6円
- 現在の株価は移動平均を上回り、高値圏に位置
8. 財務諸表分析
- 売上・利益推移（過去3年）
- 売上高：2.32兆円（2021）→2.66兆円（2022）→2.84兆円（2023）→3.15兆円（2024予想）
- 営業利益：4,950億円（2021）→6,455億円（2022）→6,640億円（2023）→3,106億円（2024予想）※2024年は訴訟損失引当金計上で減少
- 当期利益：3,384億円（2021）→4,427億円（2022）→4,823億円（2023）→1,792億円（2024予想）
- 利益率・効率性
- 営業利益率：10.3%
- ROE：4.7%、ROA：2.41%
- キャッシュフロー
- 営業CF：6,300億円、フリーCF：1,938億円
- 財務安全性
- 自己資本比率：45.0%、流動比率：1.66、総負債/自己資本：44.87%
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想
- 年間配当予想：194円（中間97円、期末97円）
- 配当利回り：約4.56%
- 配当性向：192.19%（2024年は特別要因で高水準）
- 株主還元策
- 自社株買い実施実績あり
- 安定配当を重視
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向
- 直近10日間で上昇傾向が顕著
- 出来高も高水準
- 信用買残は減少傾向、信用倍率高め（16.91倍）
- 影響要因
- 訴訟関連ニュース、為替動向、規制・税制変更、業績発表等が株価に影響
11. 総評
日本たばこ産業は国内外で高いシェアとブランド力を持つたばこ大手であり、加熱式たばこ等の新製品や海外展開で成長を目指しています。直近では訴訟損失引当金の計上で一時的に利益が減少しましたが、売上は堅調に推移しています。財務基盤は安定しており、配当利回りも高水準です。株価は過去1年で上昇し、高値圏に位置しています。今後は規制強化や健康志向の高まり、海外事業の安定成長が重要なポイントとなります。
企業情報
| 銘柄コード | 2914 |
| 企業名 | 日本たばこ産業 |
| URL | http://www.jti.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 食品 – 食料品 |
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