1. 企業情報
- 事業内容
島精機製作所は、コンピュータ横編機（WHOLEGARMENT、N.SVRシリーズ）、自動生地裁断機（P-CAMシリーズ）、手袋・靴下編機、デザインシステム（SDS-ONE APEXシリーズ、APEXFiz等）などの開発・製造・販売を行う機械メーカーです。主な顧客はアパレル（ファッション、スポーツ、アウトドア）、自動車、航空、産業資材分野など多岐にわたります。和歌山県に本社・生産拠点を持ち、グローバルに事業展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 競争優位性
電子制御横編機分野で世界トップクラスのシェアを誇り、特にWHOLEGARMENT技術は独自性が高いです。デザインシステム（CAD/CAM）も強みで、トータルソリューションを提供できる点が差別化要因です。
– 課題
主要市場である中国・アジアの景気減速、バングラデシュの政情不安など外部環境の影響を大きく受けています。近年は売上・利益の減少が続き、競争環境の激化や需要の変動に対応する必要があります。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略
新中期経営計画「Ever Onward 2026」を掲げ、「経営基盤の再構築」「ソリューションビジネスの確立」「横編機事業の再生」「自動裁断機事業の拡大」を重点施策としています。
– 具体的施策
– 生産・販売体制の見直し
– デジタル技術を活用した新製品・サービス開発
– サブスクリプション型デザインソフト（APEXFiz）など新ビジネスモデルへの転換
– 既存事業の収益性改善と新規市場開拓
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
主力の横編機・デザインシステムの販売が中心ですが、近年はサブスクリプション型ソフトウェアやアフターサービス、保守部品販売などストック型収益の拡大も志向しています。
– 市場ニーズへの適応力
アパレル業界のDX化・省人化ニーズやサステナビリティ志向に対応した製品開発を進めていますが、外部環境変化への対応力強化が求められます。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向
WHOLEGARMENT（無縫製一体成型）編機や、3Dバーチャルサンプリング対応のデザインシステムなど、業界をリードする技術開発が特徴です。
– 主力製品・サービス
– WHOLEGARMENT横編機
– SDS-ONE APEXシリーズ（デザインシステム）
– APEXFiz（サブスク型デザインソフト）
– P-CAM（自動裁断機）
6. 株価の評価
- EPS・BPSと株価比較
- 株価：794円
- BPS（1株当たり純資産）：2,391.51円
- PBR（株価純資産倍率）：0.33倍（業界平均1.4倍と比較して大幅に低い）
- EPS（1株当たり利益）：-385.31円（赤字）
- PER（株価収益率）：算出不可（赤字のため）
純資産価値（BPS）に対し株価は大きくディスカウントされていますが、赤字が続いているため利益面からの評価は難しい状況です。
7. テクニカル分析
- 株価推移
- 年初来高値：1,072円
- 年初来安値：714円
- 直近株価：794円
- 50日移動平均：904.14円
- 200日移動平均：1,143.90円
直近は安値圏に位置し、移動平均線を大きく下回っています。短期的にはやや反発傾向も見られますが、中長期では下降トレンドが続いています。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益推移（年度比較）
| 決算期 | 売上高（百万円） | 営業利益（百万円） | 純利益（百万円） |
|---|---|---|---|
| 2021/3 | 24,489 | -9,143 | -17,866 |
| 2022/3 | 30,998 | -4,268 | -3,589 |
| 2023/3 | 37,886 | -2,185 | -5,644 |
| 2024/3 | 35,910 | 431 | 1,030 |
| 2025/3（3Q） | 21,863（3Q） | -9,793（3Q） | -11,281（3Q） |
- 2024年3月期は黒字回復したものの、2025年3月期3Qは再び大幅赤字。
- 自己資本比率は80%超と財務健全性は高い。
- 営業キャッシュフロー等の詳細は未開示。
- ROE：1.16%（2024/3）、直近はマイナス。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・方針
- 年間配当予想：10円（配当利回り1.26%）
- 配当性向：33.51%（直近は赤字のため実質的な目安にならず）
- 自社株買い：自己株式保有あり（3.58%）
- 5年平均配当利回り：0.90%（安定配当志向）
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向
- 直近10日間で700円台前半から800円近辺まで反発局面あり。
- 52週変動幅：714円～1,072円
- 52週リターン：-36.63%（大幅下落）
- 信用買残は減少傾向、信用倍率4.64倍とやや買い長。
- 機関投資家・インサイダーの保有割合は比較的高い。
11. 総評
- 島精機製作所は横編機分野で世界的な競争力を持つ一方、主力市場の景気減速や外部環境の影響を大きく受け、直近は大幅な赤字決算となっています。財務基盤は堅固であり、BPS比で株価は大きく割安な水準ですが、利益面の回復が課題です。中期経営計画では事業構造改革や新規ビジネスモデルへの転換を進めていますが、業績回復の道筋や市場環境の改善が今後の注目点となります。株価は安値圏にあり、投資家の関心は今後の業績動向や経営戦略の進捗に左右される状況です。
企業情報
| 銘柄コード | 6222 |
| 企業名 | 島精機製作所 |
| URL | http://www.shimaseiki.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
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