1. 企業情報
井筒屋は、北九州市に本社を置く老舗百貨店です。小倉本店と山口店を中心に店舗を展開し、百貨店業を主軸としています。近年は、経営資源を小倉・山口店に集中させるため、不採算店舗の閉鎖を進めています。
2. 業界のポジションと市場シェア
百貨店業界は、少子高齢化や消費スタイルの変化、競合の激化など、厳しい環境に置かれています。井筒屋は、地域密着型の百貨店として一定の顧客基盤を維持していますが、全国展開する大手百貨店と比較すると、市場シェアは限定的です。競争優位性を高めるためには、地域特性を活かした商品・サービスの提供や、顧客ニーズへの迅速な対応が重要となります。
3. 経営戦略と重点分野
井筒屋は、中期経営計画において、小倉本店と山口店への経営資源の集中、デジタル戦略の推進、商品・サービス力の強化などを重点分野としています。具体的には、ECサイトの強化や、顧客データの活用によるパーソナルマーケティングの展開などが考えられます。
4. 事業モデルの持続可能性
百貨店業は、実店舗での販売が中心であり、オンライン販売の拡大や、顧客ニーズの変化への対応が求められています。井筒屋は、ECサイトの強化や、地域に根差したイベントの開催など、事業モデルの変革に取り組んでいます。しかし、競争激化や消費者の購買行動の変化に対応できるかが、今後の持続可能性を左右する重要な要素となります。
5. 技術革新と主力製品
百貨店業においては、技術革新による大きな変化は限定的です。井筒屋は、顧客の購買履歴や嗜好に基づいた商品提案や、オンラインとオフラインを融合した購買体験の提供など、顧客サービスの向上に注力しています。主力製品は、百貨店で取り扱う幅広い商品（衣料品、食料品、雑貨など）であり、顧客のニーズに合わせた商品構成が重要となります。
6. 株価の評価
- 株価: 416.0円（2025年4月21日終値）
- PER（会社予想）: 6.72倍（業界平均：21.1）
- PBR（実績）: 0.39倍（業界平均：1.3）
- EPS（会社予想）: 61.90円
- BPS（実績）: 1,054.14円
PER、PBRともに業界平均を下回っており、割安感があります。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、2025年4月10日に385円まで下落した後、410円台で推移しています。50日移動平均線（420.38円）と200日移動平均線（424.85円）を下回っており、弱気相場を示唆しています。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2025年2月期は221.58億円と、前期比1.6%減。
- 営業利益: 2025年2月期は10.40億円と、前期比4.3%増。
- 経常利益: 2025年2月期は7.41億円と、前期比21.7%減。
- 当期純利益: 2025年2月期は9.99億円と、前期比3.4%増。
- ROE（実績）: 8.73%
- 自己資本比率（実績）: 26.8%
売上高は減少傾向ですが、営業利益、当期純利益は増加しています。ROEは8.73%と、一定の収益性を示しています。自己資本比率は26.8%と、財務基盤は安定しています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 1.44%
- 1株配当（会社予想）: 6.00円
- 配当性向: 8.00%
配当利回りは1.44%と、まずまずの水準です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、410円台で推移しており、方向感に欠ける展開となっています。信用買い残が非常に多く、今後の株価の重しになる可能性があります。
11. 総評
井筒屋は、北九州地盤の老舗百貨店であり、地域密着型の経営を行っています。業績は、売上高は減少傾向にあるものの、利益は改善しています。株価は割安感があり、配当も実施しています。ただし、百貨店業界を取り巻く環境は厳しく、今後の成長には、経営戦略の実行と、競争力の向上が不可欠です。株価の動向には注意が必要であり、今後の業績推移を注視する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 8260 |
| 企業名 | 井筒屋 |
| URL | http://www.izutsuya.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 小売 – 小売業 |
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