1. 企業情報

事業内容の概要

電気興業株式会社(DKK Co., Ltd.)は、主に大型通信アンテナや無線通信関連機器の製造・工事を手掛ける企業です。携帯電話基地局用アンテナ、無線機器、周辺機器、通信タワーの設計・建設・保守を国内外で展開しています。加えて、防災行政無線や災害監視システム、高周波焼入れ技術を活かした産業用加熱装置、IoT関連製品なども提供。インフラ・防災・エネルギー分野にも事業を拡大しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

業界内での競争優位性・課題

同社は通信インフラ構築の老舗であり、大型アンテナや高周波技術で独自の地位を築いています。特に携帯基地局アンテナ、防災無線、放送用アンテナなどで強みがあります。一方、通信インフラ市場は大手電機メーカーや建設会社との競争が激しく、5G/IoT対応など技術革新への迅速な対応が求められています。海外売上比率は14%(2024年3月期)と、国内偏重も課題です。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣のビジョン・戦略

  • 通信インフラの高度化(5G、IoT、災害対策)への対応強化
  • 高周波応用技術の新分野展開(産業用加熱装置、エネルギー分野)
  • 海外市場の開拓と事業多角化
  • ESG・ガバナンス強化、財務健全性の維持

中期経営計画の重点施策(推定)

  • 5G・IoT関連製品の開発投資
  • 防災・減災関連インフラの強化
  • 高付加価値製品の拡販と新規事業創出

4. 事業モデルの持続可能性

収益モデル・市場変化への適応力

主力の通信インフラ事業は、携帯通信網の世代交代や防災需要に支えられています。高周波技術を活かした産業用装置も、他分野への応用が進んでいます。ただし、通信インフラ投資の波に業績が左右されやすい点、競争激化による収益圧迫リスクがあります。持続的成長には新規分野開拓・海外展開が不可欠です。

5. 技術革新と主力製品

技術開発動向・独自性

  • 大型通信アンテナ、防災無線、放送用アンテナの設計・施工技術
  • 独自の高周波焼入れ・加熱技術(産業用加熱装置、RF応用機器)
  • IoT・AI活用の監視システム、防災情報ネットワーク

収益を牽引する主力製品・サービス

  • 携帯基地局アンテナ・関連設備
  • 防災行政無線・災害監視システム
  • 産業用高周波加熱装置

6. 株価の評価

バリュエーション指標(2025/4/22時点)

  • 株価:1,907円
  • EPS(直近12ヶ月):-123.58円(赤字)
  • BPS(直近四半期):3,858.23円

PER・PBR比較

  • PER(株価収益率):赤字のため算出不可
  • PBR(株価純資産倍率):1,907円 ÷ 3,858.23円 ≒ 0.49倍

→ 業界平均PBR(1.6倍)を大きく下回る水準

7. テクニカル分析

株価推移・位置づけ

  • 直近株価は1,576円(52週安値)~2,292円(52週高値)のレンジ内
  • 直近10日間で1,757円→1,907円へ上昇傾向
  • 50日移動平均:1,723.1円、200日移動平均:1,839.7円

→ 現在株価は移動平均線を上回り、やや高値圏に位置

8. 財務諸表分析

売上・利益・キャッシュフロー等の推移

  • 売上高は2021年の414億円から2024年の288億円へ減少傾向
  • 営業利益・純利益は2023年以降赤字転落(2024年純損失:約20億円)
  • 営業キャッシュフローは未記載
  • ROE:-4.01%、ROA:-0.41%(いずれもマイナス)
  • 自己資本比率は推定で高水準(有利子負債比率16.4%、流動比率3.34)

総評

直近2期は赤字が続き、収益性が大きく低下。財務安全性は高いが、収益回復が課題。

9. 株主還元と配当方針

配当利回り・配当性向

  • 1株配当:60円(予定・実績とも)
  • 配当利回り:約3.19%(2025/4/22時点)
  • 配当性向:6,923%(赤字のため異常値)

自社株買い等

  • 自己株式保有比率高め(14.42%)

10. 株価モメンタムと投資家関心

株価の直近変動傾向

  • 直近10日で1,757円→1,907円と上昇基調
  • 信用買残が多く(信用倍率16.74倍)、需給はやや買い長
  • 52週変動幅の中間よりやや上、直近は出来高増加傾向

影響要因

  • 決算短信の開示遅延(会計処理の見直し)による一時的な不透明感
  • 通信インフラ投資や防災需要の動向

11. 総評

  • 電気興業は通信インフラ・防災分野で独自技術を持つ老舗企業であり、財務の安全性は高い一方、直近2期は赤字が続き収益回復が課題となっています。
  • 株価はPBR0.5倍と割安水準に位置し、配当利回りは高いものの、業績の不安定さから配当の持続性には注視が必要です。
  • 直近は株価が上昇傾向にあり、投資家の関心も高まっていますが、今後の業績動向や経営改善策の進捗に注目が集まります。

企業情報

銘柄コード 6706
企業名 電気興業
URL http://www.denkikogyo.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

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By シャーロット

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