1. 企業情報
富士通は、情報通信技術（ICT）を基盤とするグローバル企業です。日本国内ではITサービス分野で首位を誇り、官公庁、金融、流通など幅広い分野に強みを持っています。サーバーやITシステム、超高速コンピューターの開発・提供も行っています。近年は、コンサルティング機能の強化やDX（デジタルトランスフォーメーション）関連事業に注力しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
富士通は、国内ITサービス市場において高いシェアを占めています。公共、金融といった分野での実績が豊富であり、これらの分野における安定した需要が強みとなっています。競争環境としては、グローバルIT企業や国内の競合他社との競争が激化しています。DX推進の流れの中で、コンサルティング能力や最新技術への対応力が、今後の競争優位性を左右する重要な要素となります。
3. 経営戦略と重点分野
富士通は、中期経営計画において、DX（デジタルトランスフォーメーション）の推進を重要な戦略として掲げています。具体的には、顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを支援するサービスを強化し、収益の拡大を目指しています。また、AI、クラウド、セキュリティなどの分野への投資を積極的に行い、技術力の向上を図っています。
4. 事業モデルの持続可能性
富士通の事業モデルは、ITサービスを中核とし、ハードウェア、デバイスソリューションを組み合わせることで、多角的な収益源を確保しています。ITサービスは、顧客との長期的な関係を構築しやすく、安定した収益に繋がりやすいという特徴があります。市場ニーズの変化に対しては、DX関連のサービスを強化することで、変化への適応力を高めています。
5. 技術革新と主力製品
富士通は、AI、クラウド、セキュリティなどの分野で技術開発を進めています。特に、スーパーコンピュータ「富岳」の開発で培った技術を活かし、高性能コンピューティング分野での優位性を目指しています。収益を牽引しているのは、ITサービスであり、顧客企業のシステム構築、運用、保守などを提供しています。
6. 株価の評価
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 株価 | 2,941.0円 |
| PER（会社予想） | 25.37倍 |
| PBR（実績） | 3.14倍 |
| EPS（会社予想） | 115.92 |
| BPS（実績） | 935.27 |
| 業界平均PER | 24.2 |
| 業界平均PBR | 1.6 |
PERは25.37倍であり、業界平均の24.2倍と比較すると、やや割高な水準です。PBRは3.14倍であり、割高感があります。
EPSとBPSから計算すると、
理論株価 = BPS * PER = 935.27 * 25.37 = 23729.73
現在の株価は2941円であり、理論株価と比較すると割安です。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、2025年4月10日に2934.5円の高値をつけた後、下落傾向にあり、2025年4月23日の終値は2941円となっています。年初来高値は3,260円、年初来安値は2,514円であり、現在の株価は年初来高値に近づきつつあります。50日移動平均線は2960.34円、200日移動平均線は2830.09円であり、50日移動平均線に近づきつつあります。
8. 財務諸表分析
| 指標 | 過去12ヶ月 (百万円) | 3/31/2024 (百万円) | 3/31/2023 (百万円) | 3/31/2022 (百万円) | 3/31/2021 (百万円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,756,059 | 3,756,059 | 3,713,767 | 3,586,839 | 3,589,702 |
| 営業利益 | 160,260 | 160,260 | 335,614 | 219,201 | 266,324 |
| 営業利益率 | 4.27% | 4.27% | 9.04% | 6.11% | 7.42% |
| 当期純利益 | 254,478 | 254,478 | 215,182 | 182,691 | 202,700 |
| ROE | 15.24% | – | – | – | – |
| ROA | 4.46% | – | – | – | – |
| 自己資本比率 | 49.9% | – | – | – | – |
- 売上高: 過去数年間は安定的に推移しています。
- 営業利益: 2023年3月期は大きく増加しましたが、2024年3月期は減少しています。営業利益率は低下傾向にあります。
- 当期純利益: 安定的に推移しています。
- ROE: 15.24%と、高い水準を維持しています。
- 自己資本比率: 49.9%と、財務体質は良好です。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 0.95%
- 1株配当（会社予想）: 28.00円
- 富士通は、安定的な配当を重視する方針を示しています。配当性向は15.92%です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は上昇傾向にあり、出来高も増加しています。信用買い残は減少し、信用売り残は増加しており、短期的な調整局面にある可能性があります。
株価への影響要因としては、
* 決算発表の内容
* ITサービス市場の動向
* DX関連の需要
* 為替変動
* 世界経済の動向
などが挙げられます。
11. 総評
富士通は、国内ITサービス市場で高いシェアを誇り、安定した収益基盤を持っています。DX推進を重点戦略とし、AI、クラウド、セキュリティなどの分野への投資を強化しています。財務状況は良好で、ROEも高い水準を維持しています。
株価は、PERが業界平均を上回っており、割高感があります。
今後の株価動向は、DX関連の需要の拡大、技術革新の進展、そして世界経済の動向に左右されると考えられます。
企業情報
| 銘柄コード | 6702 |
| 企業名 | 富士通 |
| URL | http://jp.fujitsu.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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