1. 企業情報
概要
富士通株式会社は、日本およびグローバルで事業展開する総合ITサービス企業です。主な事業は「テクノロジーソリューション」「ユビキタスソリューション」「デバイスソリューション」の3セグメント。ITサービス（システムインテグレーション、クラウド、DXコンサル、サイバーセキュリティ等）、IT機器（サーバー、PC、ストレージ）、電子デバイス（半導体パッケージ、バッテリー）など多岐にわたります。官公庁・金融・流通など国内大手顧客に強みを持ち、スーパーコンピュータやAI、IoT分野にも注力しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション
国内ITサービス市場で首位。公共、金融、流通分野への深い顧客基盤を有し、システムインテグレーションやDX支援で高いシェアを持ちます。
– 競争優位性
長年の信頼関係を背景とした大規模案件受注力、幅広いサービスラインナップ、グローバル展開力が強み。
– 課題
国内市場の成長鈍化、グローバルでの存在感強化、ハードウェア依存からの脱却、DX人材確保などが課題。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略
「DX（デジタルトランスフォーメーション）推進による社会・産業の変革」を掲げ、ITサービス中心のビジネスモデルへシフト。
– 中期経営計画の重点分野
– サービスソリューション強化（コンサル・運用・クラウド等）
– グローバル事業拡大
– AI、IoT、サイバーセキュリティ、SaaS型サービスへの投資
– ポートフォリオ見直し（富士通ゼネラル株式の譲渡等）
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
サービス（SI、アウトソーシング、コンサル等）が売上の約55%を占め、安定したストック型収益が増加傾向。ハードウェア依存度は低下。
– 市場ニーズ適応力
DX需要やクラウド移行、サイバーセキュリティ需要拡大に対応。顧客の業務変革支援を通じて長期的な取引関係を維持。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向・独自性
スーパーコンピュータ「富岳」などHPC分野、AI・IoTプラットフォーム、セキュリティ技術に強み。自社開発のITインフラ管理ソフト等も展開。
– 主力製品・サービス
– ITインフラ（サーバー、ストレージ）
– クラウドサービス（Fujitsu Cloud Service）
– DXコンサルティング
– サイバーセキュリティサービス
6. 株価の評価
- EPS（会社予想）: 115.92円
- BPS（実績）: 935.27円
- 株価: 2,941円
- PER（会社予想）: 25.37倍（業界平均24.2倍）
- PBR（実績）: 3.14倍（業界平均1.6倍）
→ 業界平均と比較してPER・PBRともにやや高め。成長期待や安定性、ブランド力が株価に織り込まれていると考えられます。
7. テクニカル分析
- 株価推移
年初来高値3,260円、安値2,514円。直近10日間は2,800円台後半〜2,900円台で推移し、直近は2,941円でやや反発傾向。
– 移動平均線
50日移動平均: 2,960円、200日移動平均: 2,830円
現在値は50日線付近、200日線より上。高値圏ではないが、直近の下落からやや戻しつつある水準。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益
- 売上高（2024/3期）: 3,756,059百万円（前年比+1.1%）
- 営業利益: 160,260百万円（前年比-52.2%）
- 当期純利益: 254,478百万円（前年比+18.2%）
- キャッシュフロー
- 営業CF: 255,410百万円（安定的）
- フリーCF: 4,160百万円
- ROE/ROA
- ROE: 15.24%（直近は18.21%と上昇傾向）
- ROA: 4.46%
- 自己資本比率
- 49.9%（財務健全性高い）
- 過去数年の傾向
売上は安定、利益は一時的に減少するも、2025年3月期第3四半期では利益率が大幅改善。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り: 0.95%（会社予想）
- 配当性向: 15.92%
- 自社株買い: 自己株式保有比率高め（11.63%）
- 方針: 安定配当を基本としつつ、事業成長・投資とのバランスを重視。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向
直近1年で14.24%上昇。直近10日間は2,800円台後半から2,900円台で推移し、出来高も安定。
– 影響要因
決算発表やDX関連需要、株式分割、ポートフォリオ改革（富士通ゼネラル株式譲渡）などが材料視されやすい。
11. 総評
富士通は国内ITサービス最大手として、安定した顧客基盤と幅広いサービスを有し、DX・クラウド・AI分野へのシフトを進めています。直近ではサービス事業の利益率改善が顕著で、財務健全性も高い水準です。株価は業界平均よりやや高いバリュエーションがついていますが、安定成長への期待が背景にあると考えられます。配当利回りは低めですが、自己株式保有や安定配当方針も特徴的です。今後はグローバル展開力やDX人材の確保、ポートフォリオ改革の進捗が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 6702 |
| 企業名 | 富士通 |
| URL | http://jp.fujitsu.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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