1. 企業情報
会社概要
王子ホールディングス株式会社は、1873年創立の日本を代表する総合製紙企業です。国内製紙業界でトップの地位を持ち、板紙で国内1位、洋紙で2位。事業は「生活産業資材」「機能材」「資源環境ビジネス」「印刷情報メディア」など多岐にわたり、段ボールやパルプ、感熱紙などの分野でアジア・南米を中心に海外展開も積極的です。
従業員数は約39,000人、平均年齢48.3歳、平均年収840万円。プライム市場上場。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 国内製紙最大手であり、板紙分野でシェア1位、洋紙で2位。
- 近年は海外売上比率が増加し、2024年度第3四半期時点で39.5%に到達。
- 競合他社は日本製紙、レンゴー、北越コーポレーション等。
- 強み:グローバルな生産・販売ネットワーク、多様な製品群、資源調達力。
- 課題:国内市場の成熟・縮小、原材料・エネルギーコスト上昇、為替変動リスク。
3. 経営戦略と重点分野
- 長期ビジョン:「成長から進化へ」を掲げ、サステナビリティ、収益性、グリーンイノベーションを推進。
- 中期経営計画:2026年度までに1,000億円の自己株式取得を計画、資本効率改善と株主還元を強化。
- 重点施策:
- 気候変動対応
- 既存事業の深化
- 海外パッケージング事業・環境配慮型製品の拡大
- 新規事業開発(バイオマス、再生可能エネルギー等)
4. 事業モデルの持続可能性
- 生活必需品や産業資材を幅広くカバーするため、景気変動耐性が比較的高い。
- 海外展開強化と環境対応型製品の拡大で将来的な市場変化にも適応。
- 森林資源の自社管理やリサイクル技術により、持続可能な収益構造を志向。
5. 技術革新と主力製品
- 主力製品:段ボール・板紙、パルプ、感熱紙、包装資材、家庭紙(ティッシュ・トイレットペーパー)等。
- 技術開発:バイオマス発電、再生可能資源の活用、環境配慮型パッケージ、機能紙(感熱紙・特殊紙)など独自性のある技術開発を推進。
- グリーンイノベーション:プラスチック代替素材やカーボンニュートラル対応製品の開発。
6. 株価の評価
- EPS(会社予想):58.03円
- BPS(実績):1,123.28円
- 株価:670.1円
- PER(会社予想):11.55倍(業界平均9.5倍よりやや高め)
- PBR(実績):0.60倍(業界平均0.5倍より高いが依然1倍未満)
- 配当利回り(予想):3.58%(5年平均2.71%を上回る)
7. テクニカル分析
- 年初来高値:690円、年初来安値:572円
- 直近株価:670.1円(高値圏に近い水準)
- 50日移動平均:627.78円、200日移動平均:595.08円
- 直近10日間で急騰し、高値圏で推移。出来高も増加傾向。
8. 財務諸表分析
- 売上高:1兆6,962億円(2024年3月期)
- 前年比ほぼ横ばい
- 営業利益:726億円(同上)
- 直近数年で増減あり、2022年に一時的に増加
- 純利益:508億円(同上)
- 2022年に大幅増、以降はやや減少傾向
- ROE:5.07%(実績)
- ROA:1.82%
- 自己資本比率:43.7%
- キャッシュフロー:詳細不明だが、現金・現金同等物は約280億円、流動比率1.01倍と安全性は一定水準
9. 株主還元と配当方針
- 配当方針:安定配当を基本としつつ、業績に応じた増配も実施
- 配当予想:年間24円(配当性向33.44%)
- 配当利回り:3.58%
- 自社株買い:2026年度末までに1,000億円の自己株取得方針
- 過去5年平均配当利回り:2.71%(現在はこれを上回る)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近10日間で株価は約600円台前半から一時690円近くまで急騰し、現在も高値圏を維持。
- 出来高も増加傾向で、投資家の関心が高まっている様子。
- 信用買残は減少、信用売残は増加傾向で、やや短期的な調整圧力も見られる。
11. 総評
王子ホールディングスは、国内最大手の総合製紙企業として安定した収益基盤とグローバルな事業展開を持ち、サステナビリティやグリーンイノベーションなど中長期的な成長分野にも積極的に取り組んでいます。
財務基盤は堅固で、配当利回りも高め、株主還元策も強化されています。直近では株価が高値圏にあり、投資家の注目度も高まっていますが、国内市場の成熟やコスト上昇などの課題も引き続き注視する必要があります。
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(本レポートは情報提供を目的とし、投資判断を推奨するものではありません。)
企業情報
銘柄コード | 3861 |
企業名 | 王子ホールディングス |
URL | http://www.ojiholdings.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – パルプ・紙 |
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