1. 企業情報
概要
世紀東急工業株式会社は、主に日本国内で道路・高速道路・橋梁の舗装工事を行う建設会社です。計画・設計・施工・点検などの一連の土木工事を手掛けるほか、舗装資材や土木資材の製造・販売も行っています。また、産業廃棄物の運搬・処理、土木機械の製造・修理・リース、不動産賃貸、スポーツ施設の運営など多角的な事業も展開しています。東急建設グループの一員で、関東を中心とした東日本エリアに強みを持ちます。
事業構成（2024.3）
- 建設事業：80%（営業利益率8%）
- 舗装資材製造販売：20%（営業利益率6%）
- その他：0%（営業利益率18%）
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
世紀東急工業は、東急建設系の舗装大手として、特に関東・東日本エリアで高い認知度と実績を持ちます。舗装資材の外販も行い、独自の技術力や環境・景観対応工事など多彩な技術を有しています。
競争優位性・課題
- 東急グループのネットワークや信用力を活かした受注力
- 技術開発力や環境対応力
- 一方で、建設業界全体の課題として、原材料価格の高騰や人手不足、公共事業依存度の高さなどが挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
ビジョン・戦略
- 「持続可能な社会インフラの構築」「サステナブル経営の推進」を掲げ、中期経営計画（2024-2026年度）を推進中。
- 事業基盤の強靭化、環境配慮型工事の拡大、技術革新による競争力強化が重点分野。
具体的施策
- 環境負荷低減型舗装技術の開発・導入
- DX（デジタルトランスフォーメーション）による効率化
- 人材育成・働き方改革
- 営業エリア・事業領域の拡大
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- 主力の建設事業（道路舗装工事）に加え、舗装資材の製造・販売による安定収益
- 公共投資の底堅さやインフラ老朽化対策需要に支えられる
市場ニーズへの適応力
- 環境対応や景観配慮など新たな社会ニーズへの技術開発
- DX推進による生産性向上
5. 技術革新と主力製品
技術開発動向・独自性
- 環境負荷低減型舗装、耐久性向上技術、リサイクル舗装材の開発
- ICT活用による施工管理の効率化
主力製品・サービス
- 道路・高速道路・橋梁の舗装工事
- 舗装資材（アスファルト合材等）の製造・販売
6. 株価の評価
指標比較
- 株価：1,545円
- 予想PER：15.24倍（業界平均14.0倍と比較してやや高め）
- 実績PBR：1.41倍（業界平均1.1倍より高め）
- 予想EPS：101.39円
- 実績BPS：1,097.49円
株価水準
- 理論株価（BPS×PBR）：1,097.49円 × 1.41 ≒ 1,548円
- 現在の株価は理論値付近で推移
7. テクニカル分析
- 年初来高値：1,600円、年初来安値：1,298円
- 直近10日間の株価は1,476円～1,545円で推移し、50日移動平均（1,528円）を上回る水準
- 200日移動平均（1,552円）付近で推移しており、高値圏と安値圏の中間
- 信用倍率0.56倍と売り長傾向
8. 財務諸表分析
売上・利益推移（単位：百万円）
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | EPS |
|---|---|---|---|---|
| 2021/3 | 90,023 | 8,471 | 5,180 | 128.45 |
| 2022/3 | 85,130 | 4,419 | 3,304 | 84.81 |
| 2023/3 | 92,413 | 2,670 | 1,127 | 30.73 |
| 2024/3 | 88,036 | 4,092 | 2,740 | 75.16 |
| 2025/3予 | 96,900 | 5,520 | 3,700 | 101.07 |
- 2023年に一時的な減益が見られたが、2024年以降は回復傾向
- 営業利益率・純利益率も改善
- 自己資本比率50%超、財務基盤は安定
その他指標
- ROE（実績）：6.83%
- ROA（実績）：4.39%
- キャッシュフローも安定
- 有利子負債比率低く、流動比率1.38と健全
9. 株主還元と配当方針
- 予想配当利回り：5.83%（高水準）
- 1株配当：90円（年間）
- 配当性向：95.55%（利益の大部分を配当に回す方針）
- 自社株買い実施実績あり（自己株式保有2.5%）
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価は堅調に推移、出来高も安定
- 信用売り残が多く、売り長傾向
- 配当利回りの高さや東急グループの安定感から、個人投資家の関心は高いとみられる
11. 総評
世紀東急工業は、東急グループのネットワークと高い技術力を活かし、安定した受注と収益基盤を有する舗装工事大手です。近年は環境対応やDX推進などで競争力強化を図り、2024年度以降は業績回復・増益基調となっています。財務体質も安定しており、高配当利回りを維持しています。株価は理論値付近で推移しており、業績・配当の安定感が評価材料となっています。一方で、建設業界特有の原材料価格高騰や人手不足などのリスクも引き続き注視が必要です。
企業情報
| 銘柄コード | 1898 |
| 企業名 | 世紀東急工業 |
| URL | http://www.seikitokyu.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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