1. 企業情報
事業内容
朝日工業社は、主に空調・衛生工事の設計・施工を手掛ける建設業の大手企業です。特にハイテク分野（半導体・液晶製造工場など）向けの精密環境制御装置の開発・製造にも強みを持ち、メーカー機能も有しています。主要事業は「設備工事」（売上比率96%）と「機器製造販売」（同4%）です。1925年創業、東京都港区に本社を置き、従業員数は約1,000名です。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
空調・衛生工事分野における専業大手であり、特に民間受注を中心に安定した実績を有します。ハイテク分野の環境制御装置では技術力が評価され、半導体・液晶製造装置メーカー等の産業向け案件で高いシェアを持ちます。
競争優位性・課題
- 優位性：高精度な環境制御技術、長年の実績、メーカー機能による一貫体制
- 課題：建設業界全体の人手不足、資材価格の変動、公共投資の動向、海外市場への進出余地
3. 経営戦略と重点分野
経営陣のビジョン・戦略
- 「技術力と信頼性で社会に貢献」を掲げ、環境技術の高度化・省エネ化を推進
- 中期経営計画では、民間・産業分野での高付加価値案件の拡大と、機器製造販売事業の収益性改善を重視
具体的施策・重点分野
- ハイテク産業向け環境制御装置の開発強化
- 工事採算性の向上による利益率改善
- 100周年を記念した配当・株主還元強化
- 働き方改革・人材育成による組織力強化
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- 主力の設備工事は景気や建設投資動向に影響されるものの、産業分野（半導体・液晶等）の需要は底堅い
- 機器製造販売事業は成長余地があり、近年は損失縮小・黒字化に向けて改善傾向
市場ニーズへの適応力
- 環境規制強化・省エネ需要の高まりに応じた技術開発
- 高度なクリーンルーム需要や産業インフラ投資に対応
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向・独自性
- クリーンルーム、恒温恒湿室など高精度環境制御技術
- 省エネ・高効率空調システムの開発
- 半導体・液晶パネル工場向けの特殊装置
収益を牽引する製品・サービス
- 設備工事（特に民間・産業分野の大型案件）
- ハイテク環境制御装置（半導体・液晶向け）
6. 株価の評価
- EPS（会社予想）：240.84円
- BPS（実績）：1,536.65円
- PER（会社予想）：8.74倍（業界平均14.0倍）
- PBR（実績）：1.37倍（業界平均1.1倍）
現在の株価（2,104円）は、PER・PBRともに業界平均より割安水準に位置しています。
配当利回り（会社予想）は5.7%と高水準です。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：2,370円
- 年初来安値：1,620円
- 直近終値：2,104円
- 50日移動平均：1,985.44円
- 200日移動平均：1,743.55円
直近10日間で2,000円台前半から上昇基調にあり、年初来高値圏には届いていませんが、50日・200日移動平均を上回る水準です。短期的には高値圏に近づいています。
8. 財務諸表分析
売上・利益の推移（過去4年）
- 売上高：70,435百万円（2021年）→68,820百万円（2022年）→80,170百万円（2023年）→91,676百万円（2024年）
- 営業利益：2,238百万円→2,289百万円→2,700百万円→4,570百万円
- 純利益：1,821百万円→1,860百万円→2,480百万円→3,712百万円
収益性・効率性
- ROE（実績）：10.01%
- ROA：5.03%
- 営業利益率：5.64%
- 自己資本比率：46.1%（直近四半期は59.4%と向上）
キャッシュフロー
- 総現金：99.6億円
- 総負債：22.3億円
- 流動比率：1.84
分析
売上・利益ともに堅調に増加し、利益率も向上。財務安全性も高く、自己資本比率・流動比率ともに健全です。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）：5.70%
- 1株配当（会社予想）：120円（特別配当・記念配当含む）
- 配当性向：25.97%
- 自社株買い：自己株式保有比率5.31%
- 株式分割：2024年4月1日に1:2の株式分割実施
配当は安定的であり、特別配当・記念配当も実施。株主還元策が強化されています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価の直近変動：4月下旬から5月初旬にかけて急騰。年初来高値には届いていないが、上昇モメンタムが強い。
- 信用倍率：20.60倍（信用買い残が多い）
- 出来高：直近は増加傾向
- 投資家関心：配当利回りの高さ、業績上方修正、株式分割等が関心材料
11. 総評
朝日工業社は、空調・衛生工事分野の専業大手として、特にハイテク産業向け環境制御技術に強みを持ちます。業績は近年堅調に推移し、利益率・財務安全性も高い水準です。配当利回りも高く、株主還元策が充実しています。株価は業界平均と比べて割安水準にあり、直近では上昇モメンタムが強まっています。今後も建設投資や産業分野の需要動向、技術開発の進展、配当・株主還元方針などが注目されます。
※本レポートは情報提供を目的とし、投資助言を行うものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 1975 |
| 企業名 | 朝日工業社 |
| URL | http://www.asahikogyosha.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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