1. 企業情報
事業内容・概要
長野計器株式会社は、圧力計・圧力センサーを中心とした計測・制御機器の製造・販売を行う企業です。主力製品は機械式圧力計であり、同分野で世界首位のシェアを持ちます。その他、圧力スイッチ、圧力センサー、デジタル圧力計、流量計、温度計、各種計測制御機器、ダイカスト製品、自動車用精密部品なども手掛けており、自動車、産業機械、半導体、医療、食品、エネルギーなど幅広い業界へ供給しています。
設立は1948年、本社は東京都大田区。従業員数は2,421名。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内のポジション
機械式圧力計で世界トップシェアを持ち、圧力センサー分野でも存在感が高いです。自動車、産業機械、半導体、医療など多様な分野に製品を供給し、グローバル展開も進めています。
– 競争優位性
長年の技術蓄積と品質、幅広い製品ラインナップ、世界最大級の電子圧力センサー工場を持つ点が強みです。
– 課題
半導体や自動車業界の景気変動、原材料価格や為替変動の影響を受けやすい点がリスクとなります。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣のビジョン・戦略
公式な中期経営計画の詳細は開示されていませんが、産業自動化やエネルギー分野、医療・半導体分野への展開強化が想定されます。
– 重点分野
・圧力計・圧力センサーのグローバル展開
・半導体・医療・新エネルギー分野の需要取り込み
・高付加価値製品・IoT対応製品の開発
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
主力の圧力計・圧力センサーは、産業インフラや自動車、半導体など景気に左右されるものの、長期的な需要は底堅い分野です。
– 市場ニーズの変化への適応力
新エネルギーやIoT、医療分野など新しい市場にも対応し、製品開発を進めています。幅広い顧客基盤とグローバル展開も安定性に寄与しています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向・独自性
世界最大級の電子圧力センサー工場を持ち、精密な圧力・流量・温度計測技術に強み。デジタル化やIoT化にも対応した製品開発を進めています。
– 主力製品・サービス
・機械式圧力計（世界シェア首位）
・電子圧力センサー
・各種計測制御機器
・自動車用精密部品
6. 株価の評価
- PER（会社予想）: 6.46倍（業界平均21.1倍）
- PBR（実績）: 0.83倍（業界平均1.8倍）
- EPS（会社予想）: 287.91円
- BPS（実績）: 2,241.57円
- 現株価（2025/5/2終値）: 1,860円
- 評価
業界平均と比較してPER・PBRともに大幅に低い水準です。EPS・BPSから見ても割安感が示唆されます。
7. テクニカル分析
- 株価推移
年初来高値2,506円、安値1,531円。直近は1,800円台後半で推移し、50日移動平均（1,881.74円）をやや下回っています。
– 現在の株価水準
直近の値動きは下落傾向から横ばい～やや反発の動き。年初来安値圏からは回復基調ですが、依然として高値圏からは遠い水準です。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益
- 売上高：67,936百万円（2024/3期）、3年連続増収
- 営業利益：7,151百万円（2024/3期）、3年連続増益
- 純利益：5,410百万円（2024/3期）、3年連続増益
- 利益率
- 営業利益率：約10.5%
- 純利益率：約8.7%
- ROE/ROA
- ROE（実績）：14.97%
- ROA（実績）：5.95%
- 自己資本比率
- 54.9%（財務健全性良好）
- キャッシュフロー
- 現金保有8,220百万円、流動比率2.04と流動性も高い
- 傾向
直近数年は増収増益基調。2025年3月期第3四半期は売上・利益とも前年同期比でやや減少も、純利益は増加。財務基盤は安定。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）: 2.58%
- 配当性向: 13.28%（低水準）
- 配当実績: 年間配当46円（2025年3月期予想）
- 自社株買い: 自己株式保有あり（1.02%）
- 方針
安定配当を基本としつつ、業績に応じた還元を実施。配当性向は低く、今後の増配余地もあると考えられます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価変動
2025年4月下旬～5月初旬は1,800円台後半で横ばい。出来高はやや減少傾向。
– 信用取引状況
信用買残が多く、信用倍率も高い（68.42倍）。需給面でやや買い方優勢。
– 投資家関心
機関投資家・主要取引先・銀行などが一定割合を保有。インサイダー比率も高め。
11. 総評
長野計器は、圧力計・圧力センサーの分野で世界トップシェアを持ち、グローバルに事業を展開する精密機器メーカーです。主力の機械式圧力計や電子圧力センサーは産業インフラや自動車、半導体、医療など幅広い分野で需要があり、今後も安定した事業基盤が期待されます。
財務体質は健全で、収益性・効率性も高い水準です。株価指標（PER・PBR）は業界平均と比較して割安感があり、配当利回りも相対的に高めです。
一方で、半導体や自動車業界の景気変動、原材料価格や為替リスクなど外部環境の影響を受けやすい点には注意が必要です。
全体として、事業の安定性と財務健全性、株主還元のバランスが取れている企業といえます。
企業情報
| 銘柄コード | 7715 |
| 企業名 | 長野計器 |
| URL | http://www.naganokeiki.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
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