1. 企業情報
- 企業名: NTTデータグループ株式会社
- 概要: 国内最大手のシステムインテグレーター（SIer）。官公庁や金融機関向けの大型システム受託に強みを持ち、グローバル展開を積極的に進めている。2022年にはNTTグループの海外IT事業を集約し、海外売上比率が約60%に達するなど、事業のグローバル化が進行中。NTT（日本電信電話）グループの中核IT企業であり、幅広い業種（自動車、ヘルスケア、金融、製造など）にITサービスやコンサルティングを提供。
- 設立: 1988年
- 従業員数: 約198,000人
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 国内SI専業最大手。官公庁・金融機関向けの大型案件に強みがあり、国内外で高いシェアを持つ。海外売上比率が60%と、グローバルITサービス企業としての地位を確立。
- 競争優位性: NTTグループのブランド力、長年の実績、公共・金融領域での信頼性、グローバルネットワークが強み。
- 課題: 国内市場の成熟化、競合（富士通、日立、アクセンチュア、IBM等）とのグローバル競争激化、人材確保・育成、利益率の改善。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/戦略: 「Trusted Global Innovator」を掲げ、グローバルでの成長とデジタル領域での競争力強化を目指す。
- 中期経営計画の重点施策:
- 海外事業の拡大・強化（M&Aや現地企業買収含む）
- DX（デジタルトランスフォーメーション）、クラウド、AI、BaaS（Banking as a Service）分野への集中投資
- コンサルティング・デジタル関連案件の拡大
- 生成AIや先端技術の活用によるサービス高度化
- 産業別（金融、製造、ヘルスケア等）に特化したソリューション開発
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: システム開発・保守運用の受託、ITコンサルティング、クラウド・データセンターサービス、BPO（ビジネスプロセスアウトソーシング）など多様な収益源を持つ。
- 市場ニーズへの適応力: DX需要の拡大、クラウド移行、AI活用、業界特化型サービスなど、顧客ニーズの変化に柔軟に対応。海外M&Aや新技術導入により、グローバル市場の変化にも適応。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向: 生成AI、クラウド、サイバーセキュリティ、BaaS、SAP・Salesforce等の最新ITソリューションの提供に注力。Google Cloudとの戦略的パートナーシップ拡大や、クラウドエンジニアリング企業の買収など、先端技術の導入・展開が活発。
- 主力製品・サービス:
- 官公庁・金融機関向け基幹システム
- 共同利用型BaaS基盤「BeSTA-BaaS」
- コンサルティング、アプリケーション開発・運用
- クラウドサービス、データセンターサービス
- グローバル向けSAP・ServiceNow等の導入支援
6. 株価の評価
- PER（会社予想）: 30.33倍（業界平均23.2倍より高い）
- PBR（実績）: 2.27倍（業界平均2.3倍と同水準）
- EPS（会社予想）: 97.71円
- BPS（実績）: 1,303.70円
- 株価（5/2終値）: 2,963.5円
- 指標比較:
- 株価/EPS（PER）からみて、やや割高な水準。
- 株価/BPS（PBR）は業界平均並み。
7. テクニカル分析
- 株価推移: 直近10日間で2,600円台後半から3,000円台前半まで上昇。年初来高値3,258円、安値2,310円。
- 移動平均線:
- 50日: 2,723.85円
- 200日: 2,659.15円
- 現在値は両移動平均線を上回り、年初来高値圏に近い。
- モメンタム: 直近で急騰し高値圏にある。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 4,367,387百万円（2024/3期）、過去4年で大幅増加（2021/3期: 2,318,658百万円→2024/3期: 4,367,387百万円）
- 営業利益: 309,550百万円（2024/3期）、増加傾向
- 純利益: 133,869百万円（2024/3期）、やや減少（2023/3期: 149,962百万円→2024/3期: 133,869百万円）
- EPS: 95.48円（2024/3期）、前年より減少
- ROE: 8.44%（2024/3期）、自己資本比率23.8%
- キャッシュフロー: 営業CFはプラスだが、投資CFが大きくマイナス（積極的な投資・M&Aによる）
- レバレッジ: 有利子負債増加、Debt/Equity 100.61%、自己資本比率はやや低め
- 利益率: 営業利益率7.45%、純利益率3.19%（やや低め）
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り: 0.84%（会社予想）、過去5年平均1.05%より低い
- 1株配当: 25.00円（会社予想）
- 配当性向: 22.96%
- 自社株買い: 直近では特記なし
- 方針: 安定配当を基本としつつ、成長投資を優先する姿勢
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向: 直近10日で大幅上昇。年初来高値圏付近で推移。
- 信用取引動向: 信用買残増加、信用倍率22.92倍と高水準。需給はやや買いに偏り。
- 出来高: 直近も高水準を維持。
- 投資家関心: NTTグループ再編、DX・AI関連ニュース、海外M&Aなどで注目度が高い。
11. 総評
NTTデータグループは、国内最大手SIerとしての地位と、グローバル展開による成長力を兼ね備えています。官公庁・金融機関向けの強固な顧客基盤、先端技術・DX分野への積極投資、海外M&Aによる事業拡大が特徴です。財務面では売上・営業利益は増加傾向ですが、純利益・EPSはやや伸び悩み、利益率も高くはありません。株価は年初来高値圏にあり、PERは業界平均を上回る水準です。配当利回りは低めで、株主還元よりも成長投資を重視する経営方針がうかがえます。今後もグローバルでのDX需要や先端技術分野での成長が期待される一方、競争激化や利益率改善が課題となります。
企業情報
| 銘柄コード | 9613 |
| 企業名 | NTTデータグループ |
| URL | https://www.nttdata.com/global/ja/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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