1. 企業情報
企業名：株式会社 極洋
設立：1937年9月3日
本社所在地：東京都港区赤坂3-3-5
代表者：井上 誠
従業員数：2,089人
平均年齢／年収：41.3歳／8,460千円
事業内容：
極洋は、水産物の貿易・加工・買い付けを主力とし、外食店向けの寿司ネタや魚介類、業務用加工食品、冷凍食品、物流サービスなどを国内外で展開しています。海外加工比率が高く、グローバルなサプライチェーンを構築しています。
セグメント構成（2024.3）：
– 水産：49%
– 生鮮：25%
– 食品：25%
– 物流サービス：1%
– その他：0%
2. 業界のポジションと市場シェア
業界区分：食品（33業種：水産・農林業）
極洋は水産品の貿易・加工に強みを持ち、特に外食向け寿司ネタで高いシェアを有します。業界内ではマルハニチロ、ニチレイなど大手と競合しますが、独自の調達・加工・販売ネットワークにより安定した地位を維持しています。
競争優位性：海外加工比率の高さ、外食向け強み、幅広い商品ラインナップ
課題：原材料価格や為替変動、消費者の節約志向、国際情勢による需給変動
3. 経営戦略と重点分野
ビジョン・戦略：
2024年度より新中期経営計画『Gear Up Kyokuyo 2027』をスタート。
– 重点分野：水産・生鮮・物流サービスの強化、海外展開の拡大、サステナビリティ対応、収益性向上
– 具体施策：商材の戦略的保持・加工、輸出事業の拡大、アジア圏外食チェーン向け販売強化、冷蔵倉庫事業の拡大
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル：
水産物の調達・加工・販売を基軸に、外食・小売・業務用向けに幅広く展開。物流サービスも収益源。
適応力：原材料調達のグローバル化、為替・国際情勢リスクへの対応力、加工技術による付加価値創出、インバウンド需要や外食産業の回復に対応
5. 技術革新と主力製品
技術開発・独自性：
海外加工拠点の活用によるコスト競争力、冷凍・加工技術、商品開発力
主力製品・サービス：
– 寿司ネタ（マグロ・サーモン等）、魚介加工品、カニ風味かまぼこ、冷凍食品、缶詰（サバ缶・ツナ缶）、物流・冷蔵サービス
6. 株価の評価
- 株価：4,125円（2025/5/2終値）
- EPS（会社予想）：589.35円
- BPS（実績）：5,457.16円
- PER（会社予想）：7.00倍（業界平均9.9倍）
- PBR（実績）：0.76倍（業界平均0.9倍）
評価：
PER・PBRともに業界平均を下回っており、株価は割安圏に位置しています。BPSに対する株価水準も低めです。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：4,460円
- 年初来安値：3,615円
- 50日移動平均：4,169円
- 200日移動平均：4,097円
- 直近株価推移：4,100円台で横ばい～やや下落基調。高値圏からやや調整中。
- 信用倍率：14.62倍（買い残多め）
現状：
年初来高値圏からやや調整局面。移動平均線付近で推移しており、短期的には方向感に乏しい状況です。
売上・利益推移（過去5年）
| 決算期 | 売上高（百万円） | 営業利益（百万円） | 純利益（百万円） | EPS（円） |
|---|---|---|---|---|
| 2021/3 | 249,197 | 4,659 | 3,838 | 356.95 |
| 2022/3 | 253,575 | 6,393 | 4,634 | 430.83 |
| 2023/3 | 272,167 | 8,106 | 5,782 | 539.10 |
| 2024/3 | 261,604 | 8,807 | 5,936 | 548.61 |
| 直近12ヶ月 | 294,810 | 14,280（EBITDA） | 7,070 | 599.36 |
- 売上・利益ともに右肩上がり。2024年度は営業利益・純利益ともに過去最高水準。
- ROE（実績）：11.15%／ROA：4.06%
- 自己資本比率：36.7%（財務健全性は標準的）
- キャッシュフロー・現金残高：安定的
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：2.67%
- 1株配当（予想）：110円
- 配当性向：16.68%（低め、増配余地あり）
- 自社株買い：自己株口保有あり（1.34%）
- 過去5年平均配当利回り：2.46%
方針：安定配当を基本とし、業績に応じた増配も実施。株主還元意識は高い。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近10日間の株価：4,100円台で横ばい、出来高も安定
- 52週変動率：+15.06%
- β値（5年）：0.12（市場平均より変動小）
- 機関投資家保有比率：30.67%
- 信用買い残多め、やや需給は買い方優勢
影響要因：業績の上方修正や配当政策、為替・原材料価格動向、外食・インバウンド需要の変動など
11. 総評
極洋は、水産物の調達・加工・販売を中心に、外食向けや業務用で強みを持つ企業です。近年は業績が堅調に推移し、2024年度も増収増益を達成。新中期経営計画のもと、海外展開や物流強化、サステナビリティ対応など成長戦略を推進しています。
財務基盤も安定しており、配当利回りも業界標準を上回る水準。株価指標（PER・PBR）は業界平均より低く、割安感が見られます。株価は年初来高値圏からやや調整していますが、業績や株主還元策への投資家の関心は高い状況です。
今後も外食・インバウンド需要や原材料価格、為替動向など外部環境の影響を受けやすいものの、持続的な成長戦略と収益性の改善が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 1301 |
| 企業名 | 極洋 |
| URL | http://www.kyokuyo.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 食品 – 水産・農林業 |
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