1. 企業情報
会社概要
フルキャストホールディングスは、主に日本国内で人材サービスを展開する企業です。事業は「短期業務支援（短期人材派遣・紹介）」を中心に、「営業支援」「飲食」「警備・その他」の4セグメントを持ちます。短期派遣からアルバイト紹介や給与管理代行に主力を移し、警備請負やマイナンバーカード管理代行なども展開しています。
– 本社：東京都品川区
– 設立：1990年
– 従業員数：1,178人
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
フルキャストは短期人材サービス市場で高い知名度と実績を持ち、特に短期アルバイト紹介や給与管理代行に強みがあります。大手総合人材サービス企業と比較すると規模はやや小さいものの、短期・スポット人材領域に特化したビジネスモデルで独自のポジションを確立しています。
競争優位性・課題
- 優位性：短期業務支援に特化したノウハウ、ITを活用したマッチングシステム、給与管理代行など付加価値サービス
- 課題：労働人口減少による人材確保の難しさ、法規制（労働者派遣法等）への対応、景気変動の影響を受けやすい点
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略
- 「短期人材サービスのリーディングカンパニー」を目指し、アルバイト紹介・給与管理代行へのシフトを推進
- 警備請負やマイナンバー管理代行など新規サービスの拡充
- ITプラットフォーム「OtetsudaiNetworks」などデジタル活用による効率化
中期経営計画の重点施策
- 主力の短期業務支援事業の収益力強化
- 新規分野（警備、マイナンバー管理等）への展開
- 業務効率化・コスト削減のためのDX推進
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- 派遣・紹介手数料、給与管理代行手数料、警備請負収入など多様な収益源
- クライアントの業務量変動に応じた柔軟なサービス提供が可能
市場ニーズ適応力
- 景気変動や人材需給の変化に柔軟に対応できるビジネスモデル
- 労働市場の変化（副業・短期就労ニーズの増加）にも適応
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向・独自性
- IT活用によるマッチングプラットフォーム（OtetsudaiNetworks）を展開
- 給与管理やマイナンバー管理など、バックオフィス業務の効率化サービス
主力サービス
- 短期業務支援（アルバイト紹介、給与管理代行）
- 警備業務請負
- 営業支援（通信商材の販売代理、コールセンター運営）
6. 株価の評価
- 株価：1,585円
- 予想EPS：155.68円
- PER：10.18倍（業界平均17.0倍と比較し低水準）
- BPS：812.65円
- PBR：1.95倍（業界平均1.8倍とやや高め）
評価
- 収益力に対して株価は割安水準にあると考えられる（PERベース）。
- PBRは業界平均をやや上回るが、ROEの高さ（20%超）を考慮すると一定の正当性がある。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：1,656円
- 年初来安値：1,370円
- 直近株価は1,570～1,610円で推移し、50日移動平均（1,570円）・200日移動平均（1,515円）を上回る水準。
- 直近10日間は1,570～1,610円のレンジで推移し、やや高値圏にある。
8. 財務諸表分析
売上・利益推移（単位：億円）
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
|---|---|---|---|
| 2021/12 | 523.7 | 75.9 | 50.1 |
| 2022/12 | 646.4 | 98.2 | 66.2 |
| 2023/12 | 689.7 | 86.6 | 58.9 |
| 2024/12予 | 685.6 | 71.3 | 54.9 |
- 売上高は増加傾向だが、直近はやや減少
- 営業利益・純利益は2022年をピークに減少傾向
収益性・効率性指標
- ROE（実績）：20.34%
- ROA：11.08%
- 営業利益率：10.59%
- 自己資本比率：69.0%（財務健全性高い）
キャッシュフロー
- 営業CF：57.6億円
- フリーCF：55.9億円
- 現金等資産：175.3億円
- 有利子負債：10億円（Debt/Equity 3.46%）
9. 株主還元と配当方針
- 予想1株配当：63円
- 配当利回り：3.97%（5年平均2.76%を大きく上回る）
- 配当性向：39.99%（安定的な水準）
- 自社株買い：自己株式保有比率6.06%
- 株主還元に積極的な姿勢が見られる
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価は年初来高値圏に近く、直近は1,570～1,610円で安定推移
- 出来高はやや少なめだが、信用買残が多く信用倍率は25.74倍と高水準
- インサイダー保有比率が高く、安定株主が多い
- 配当利回りの高さや財務健全性から個人投資家の関心が高い
11. 総評
フルキャストホールディングスは、短期人材サービス市場で独自のポジションを持ち、IT活用や新規サービス展開により事業の多角化と効率化を進めています。収益性・財務健全性ともに高い水準を維持しており、配当利回りも業界平均を上回ります。直近の業績はやや減速傾向ですが、安定したキャッシュフローと積極的な株主還元策が特徴です。株価はPERで見ると割安感があり、PBRもROEの高さを反映しています。今後は人材需給や法規制、景気動向など外部環境の変化に注視が必要です。
※本レポートは情報提供を目的とし、投資判断を推奨するものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 4848 |
| 企業名 | フルキャストホールディングス |
| URL | http://www.fullcastholdings.co.jp |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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