1. 企業情報
企業名: JX金属（JX Advanced Metals Corporation）
所在地: 東京都港区虎ノ門2-10-4 オークラ プレステージタワー
設立: 2002年9月27日（前身は1905年創業）
代表者: 林 陽一
市場区分: 東証プライム
業種: 非鉄金属（鉄鋼・非鉄）
概要:
JX金属は、銅を中心とした非鉄金属の製造・販売を主力とするENEOSグループの中核企業です。鉱山開発から製錬、リサイクル、材料開発・製造まで一貫したバリューチェーンを持ち、半導体材料、情報通信材料、基礎材料など幅広い分野で非鉄金属製品を展開しています。2024年5月に社名をJX Advanced Metals Corporationへ変更し、先端材料分野への注力を強調しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 国内最大級の非鉄金属メーカーであり、特に銅製錬分野で高いシェアを持つほか、半導体材料や電子材料分野でも競争力を持っています。
- 競争優位性: 原料調達からリサイクルまでの垂直統合、ENEOSグループの資本力、技術開発力が強みです。
- 課題: 銅価格や為替変動の影響を受けやすい点、グローバルな資源獲得競争、環境規制への対応などが挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略:
- 「先端素材で社会の発展に貢献」を掲げ、半導体・情報通信分野など成長領域への投資を強化。
- サステナビリティ経営の推進（低炭素・資源循環型社会への貢献）。
- 中期経営計画の重点施策:
- 高付加価値材料（半導体・電子材料）の拡販
- 銅リサイクル事業の強化
- 海外展開の拡大
- 生産効率化・コスト競争力の向上
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 銅や非鉄金属の製錬・販売に加え、半導体材料や電子材料など高付加価値製品の売上が成長ドライバー。
- 市場ニーズへの適応力: 半導体・EV・情報通信分野の成長により、先端材料の需要が拡大。資源リサイクルやサステナビリティ対応も進展。
- リスク要因: 資源価格や為替の変動、環境規制強化等への対応が必要。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向:
- 高純度銅・銅合金、銅箔、スパッタリングターゲット、化合物半導体材料などで独自技術を保有。
- EVや5G/6G向けの高性能材料開発を推進。
- 主力製品・サービス:
- 半導体材料（スパッタリングターゲット、化合物半導体等）
- 情報通信材料（高純度銅箔等）
- 基礎材料（銅・銅合金等）
6. 株価の評価
- 株価: 800.6円（2025/5/7終値）
- EPS（会社予想）: 58.48円
- BPS（実績）: 650.85円
- PER（会社予想）: 13.69倍（業界平均80.4倍）
- PBR（実績）: 1.23倍（業界平均0.8倍）
評価:
PERは業界平均を大きく下回り、PBRはやや高め。利益水準に対して株価は割安感があるものの、成長期待やリスク要因も織り込まれていると考えられます。
7. テクニカル分析
- 年初来高値: 1,040円
- 年初来安値: 650円
- 50日/200日移動平均: 836.64円
- 直近株価推移: 直近10日間で800円前後まで下落傾向。年初来高値からは大きく下落し、移動平均線を下回る水準。
- 現状: 安値圏に近づいており、下落トレンドが継続。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 1.51兆円（2024/3期）前年1.64兆円→減収
- 営業利益: 680億円（2024/3期）前年1,198億円→減益
- 純利益: 1,026億円（2024/3期）前年369億円→大幅増益（特別要因含む）
- ROE: 18.33%（実績）
- ROA: 1.23%（過去12か月）
- 自己資本比率: 47.3%
- キャッシュフロー: 現金57.53億円、流動比率1.47と流動性は確保
- 傾向: 直近では減収・減益傾向だが、純利益は特別要因で大幅増。財務基盤は堅調。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り: 1.50%（会社予想）
- 1株配当: 12.00円（予想）
- 配当性向: 0.00%（直近は特別要因で未計上）
- 自社株買い: 情報なし
- 株主構成: ENEOSホールディングスが100%保有（一般投資家向けの流通株は極めて限定的）
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向: 直近10日間で下落基調、年初来高値から大きく調整。
- 出来高: 直近も高水準。信用買残増加、信用売残減少で買い意欲がやや強い。
- 投資家関心: ENEOS100%子会社で流通株が少なく、機関投資家の保有割合も低い。
11. 総評
JX金属は、非鉄金属業界で高い技術力とシェアを持つENEOSグループの中核企業です。半導体・情報通信材料など成長分野へのシフトを進め、サステナビリティやリサイクルにも注力しています。直近は減収・減益傾向ですが、財務基盤は安定しており、ROEも高水準です。株価は年初来高値から大きく調整し、PERは業界平均を大きく下回っています。株主還元は配当利回りがやや低めで、株主構成の特殊性（ENEOS100%保有）も特徴です。今後は、成長分野での収益拡大と資源価格変動・環境対応へのリスク管理が重要となります。
企業情報
| 銘柄コード | 5016 |
| 企業名 | JX金属 |
| URL | https://www.jx-nmm.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 鉄鋼・非鉄 – 非鉄金属 |
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