1. 企業情報
概要
イチネンホールディングスは、自動車リース関連事業を中核とし、ケミカル、パーキング、機械工具販売、合成樹脂、農業関連と多角的に事業を展開する持株会社です。1930年創業、2008年に現社名へ変更。自動車リースのほか、車両整備受託、燃料販売、化学製品の製造・販売、駐車場運営、機械工具や合成樹脂の販売、農業関連事業も行っています。大阪市に本社を置き、従業員数は2,072人です。
2. 業界のポジションと市場シェア
競争優位性
- 自動車リース分野で中堅規模、整備工場のネットワークが強み。
- 多角化による安定収益基盤と、M&Aを通じた事業拡大が特徴。
- パーキング事業やケミカル、合成樹脂、農業分野にも進出し、リスク分散を図っています。
課題
- 自動車リース市場は大手との競争が激化。
- ケミカル事業は原材料価格の上昇が利益圧迫要因。
- 合成樹脂や農業関連事業は市場環境や需要変動の影響を受けやすい。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣のビジョン・戦略
- 「多角化経営」と「収益基盤の強化」を掲げ、既存事業の深化と新規分野への進出を両立。
- M&Aを積極活用し、シナジー創出と規模拡大を目指す。
中期経営計画の施策・重点分野
- 自動車リース：地方市場・中小企業への販売強化、小型リースの拡大。
- ケミカル：高付加価値商品の開発・販売。
- パーキング：駐車場数の拡大。
- 機械工具販売：取扱アイテム拡充とオリジナル製品開発。
- 合成樹脂：遊技機部品・セラミックヒーター等の販売拡大。
- 農業関連：肥料製造・販売、生産技術の効率化。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源が複数あるため、特定事業の不調時にも全体収益の安定が期待される構造。
- 自動車リース市場の緩やかな拡大や、駐車場需要の底堅さが支え。
- 市場変化や原材料高騰などの外部リスクには、商品構成やコスト管理で対応。
5. 技術革新と主力製品
- 自動車リース・整備受託でのネットワーク活用や、ケミカル事業での高付加価値製品開発が強み。
- 機械工具や合成樹脂での自社オリジナル製品開発も推進。
- 近年は農業関連分野でも生産技術の効率化に注力。
6. 株価の評価
- PER（予想）：6.15倍（業界平均17.0倍）
- PBR（実績）：0.59倍（業界平均1.8倍）
- EPS（予想）：263.24円
- BPS（実績）：2,746.38円
- 株価：1,620円
評価
- 業界平均と比較してPER、PBRともに大きく下回っており、株価は割安水準に位置。
- EPS、BPSから見ても、利益・純資産に対して株価は低め。
7. テクニカル分析
- 直近10日間の株価は1,600円台前半～1,690円程度で推移し、やや下落傾向。
- 50日移動平均：1,664.98円、200日移動平均：1,772.84円
- 現在値（1,620円）は50日・200日移動平均を下回り、年初来高値（1,935円）からも下落。
- 直近は安値圏にあると判断できる。
8. 財務諸表分析
売上・利益の推移
- 売上高は年々増加（2021年：112,618百万円 → 2025年：154,920百万円）。
- 営業利益も増加傾向（2021年：7,519百万円 → 2025年：10,279百万円）。
- 2025年3月期は純利益が前年から減少（6,657百万円、△45.7%）。
収益性・効率性
- ROE：10.65%、ROA：3.14%と資本効率は一定水準。
- 営業利益率：6.6%、利益率は安定。
安全性
- 自己資本比率：31.5%（安定的）。
- 流動比率：1.68（短期支払能力に問題なし）。
- 有利子負債比率は高め（Debt/Equity：166.39%）。
キャッシュフロー
- 営業CFはプラス（4,018百万円）、投資・財務CFはマイナス。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：4.32%（業界平均を上回る高水準）
- 配当性向：23.67%（利益に対して余裕あり）
- 配当実績：2024年60円→2025年70円（記念配当含む）、2026年も70円予想
- 自社株買い：自己株式保有あり（2.48%）
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近は年初来高値から下落し、安値圏で推移。
- 信用買残が増加傾向、信用倍率は7.41倍と買い長。
- 出来高は安定、機関投資家・個人投資家ともに一定の関心。
- 市場平均やTOPIXと比較して株価パフォーマンスはやや劣後。
11. 総評
イチネンホールディングスは自動車リースを中心に多角化経営を進める中堅企業であり、安定した収益基盤と積極的なM&A戦略が特徴です。財務は安定、配当利回りも高水準で株主還元に積極的です。直近の株価は割安水準にあり、株価モメンタムはやや弱含みですが、事業の持続性や財務の健全性は一定の評価ができます。今後は原材料高や為替変動など外部リスクへの対応、各事業の収益力向上が課題となります。
企業情報
| 銘柄コード | 9619 |
| 企業名 | イチネンホールディングス |
| URL | http://www.ichinenhd.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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