1. 企業情報
- 概要
HOYA株式会社は、医療機器・光学製品・半導体関連部材などをグローバルに展開する精密機器メーカーです。主力は眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、医療用内視鏡、半導体用マスクブランクス、ハードディスク用ガラス基板など。ライフケア事業（眼鏡・コンタクト・医療機器）と情報・通信事業（半導体・HDD関連）が2本柱。海外売上比率が高いのも特徴です。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 競争優位性
眼鏡レンズ・半導体用マスク基板で世界的なシェアを有し、特にEUV（極端紫外線）マスクブランクスなど先端分野で高い技術力を持ちます。HDD用ガラス基板もデータセンター需要の拡大で成長中。医療用内視鏡や眼内レンズもグローバル展開。
– 課題
半導体やHDDなど中間材は最終消費財の市況に左右されやすく、景気変動リスクや顧客在庫調整の影響を受けやすい点が課題です。また為替変動リスクも大きいです。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略
「技術とイノベーションによる社会貢献」を掲げ、ライフケアと情報・通信の両輪で成長を目指します。
– 中期経営計画の施策
– ライフケア事業：新興国展開・高付加価値製品（多焦点眼内レンズ等）強化、オンラインサービス拡充
– 情報・通信事業：EUVマスクブランクス等の先端技術開発、HDD基板の高容量化対応、光学製品の自動車・産業用途拡大
– 資本効率向上（自己株式取得・消却等）
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
医療・半導体・HDD・光学など複数分野で収益源を分散。高い技術力とグローバル展開で安定したキャッシュフローを維持しています。
– 市場変化への適応力
半導体・HDDの需要変動や医療規制等への対応力が求められますが、研究開発・M&A・新製品投入で柔軟に対応しています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向・独自性
EUVマスクブランクス、ハードディスク用超薄型ガラス基板、医療用多焦点眼内レンズなど、業界トップクラスの技術を有します。
– 収益牽引製品
– 半導体用マスクブランクス（特にEUV向け）
– ハードディスク用ガラス基板
– 眼鏡・コンタクトレンズ
– 医療用内視鏡・眼内レンズ
6. 株価の評価
- PBR（実績）：6.24倍（業界平均1.8倍）
- EPS（直近12か月）：594.85円
- 株価：17,700円
PERは算出不可（会社予想EPS未開示）ですが、直近実績EPSで計算すると約29.8倍（17,700円 ÷ 594.85円）。業界平均PER（21.1倍）と比較するとやや高水準。
– BPS（実績）：2,841.73円
株価÷BPS＝約6.23倍
7. テクニカル分析
- 株価推移
- 年初来高値：21,800円、年初来安値：14,345円
- 直近は18,000円前後で推移し、50日移動平均（16,788円）を上回るが、200日移動平均（19,124円）は下回る。
- 直近10日間はやや軟調で、短期的には調整局面。
- 現在は高値圏から調整中の水準。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益推移
- 売上高（2021→2025年）：558,264→866,032百万円（年平均成長率約11.6%）
- 当期純利益（2021→2025年）：125,446→201,750百万円
- 営業利益率・純利益率ともに高水準（営業利益率約47%、純利益率約23%）
- キャッシュフロー
- 営業CF：235,113百万円（2025年3月期）
- フリーCFも安定してプラス
- ROE・ROA
- ROE（実績）：20.82%（業界平均を大きく上回る）
- ROA（実績）：21.01%
- 財務健全性
- 自己資本比率：78.9%
- 有利子負債比率：3.84%（低水準）
- 流動比率：4.90（高い安全性）
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り：0.90%（年間配当160円/株）
- 配当性向：18.5%（利益成長に対し控えめな還元）
- 自社株買い：自己株式取得・消却を積極的に実施し、資本効率向上と株主還元を強化
- 過去5年平均配当利回り：0.69%（増配傾向）
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向
- 直近1年では高値圏から調整中（52週変動：-1.6%）
- 出来高は安定しており、機関投資家比率も高い（51.1%）
- 影響要因
- 半導体・HDD関連の市況、為替、医療分野の規制・制度変更などが株価に影響
- 自社株買い・消却など資本政策も株価に寄与
11. 総評
- HOYAは、ライフケア（眼鏡・医療）と情報・通信（半導体・HDD）という2大成長分野で世界的な競争力を持つ企業です。高い技術力と安定したキャッシュフロー、健全な財務体質が特徴です。株主還元にも積極的で、自己株式取得・消却を通じて資本効率向上にも取り組んでいます。
- 一方で、半導体・HDDなどの市況変動や為替リスク、医療分野の制度変更など外部環境の影響を受けやすい点には留意が必要です。
- 株価は業界平均と比べてやや高い水準にあり、直近は高値圏から調整局面にあります。今後の業績動向や市場環境の変化に注視が必要です。
本レポートは情報提供を目的としたものであり、特定の投資判断を推奨するものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 7741 |
| 企業名 | HOYA |
| URL | http://www.hoya.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
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