1. 企業情報
概要
オムロン株式会社は、制御機器を中心とした産業オートメーション、電子部品、社会システム、ヘルスケア、データソリューション事業をグローバルに展開しています。主力の制御機器事業では、センサーやリレー、スイッチ、制御機器などを提供し、工場の自動化や効率化に貢献。鉄道システムや車載機器、医療機器（血圧計など）も展開し、幅広い分野で社会インフラや健康領域を支えています。
設立：1948年、本社：京都市、従業員数：約28,450人。
2. 業界のポジションと市場シェア
競争優位性
- 制御機器分野で国内外トップクラスのシェアを持つ大手企業。
- 感知・制御技術を基盤とし、産業オートメーション（FA）領域で長年の実績を有する。
- ヘルスケア（血圧計など）も家庭用・医療用で世界的なブランド力。
課題
- 産業オートメーション市場の需要回復の鈍さや中国市場の減速が直近の課題。
- 米国の関税政策やグローバルな景気変動リスク。
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略
- 中期経営計画「NEXT2025」に基づき、収益構造の改革と成長基盤の再構築を推進。
- 顧客起点の価値創造、グローバル展開、社会課題解決型事業へのシフトを重視。
重点分野・具体施策
- 制御機器：顧客ニーズに即応した製品開発、固定費効率化。
- ヘルスケア：オンライン販売強化、新興国市場開拓。
- 社会システム：エネルギー・交通インフラ向けソリューション拡大。
- 電子部品：エネルギー・半導体業界向け需要獲得。
- データソリューション：医療データ活用サービスの拡大。
4. 事業モデルの持続可能性
- 産業オートメーションやヘルスケアなど、社会インフラや健康領域に根差した事業モデル。
- 市場ニーズの変化（自動化、デジタル化、健康志向）に対する柔軟な対応力。
- 収益源の多様化（制御機器、ヘルスケア、社会システム等）により、特定分野の不振リスクを分散。
5. 技術革新と主力製品
- センサー、リレー、制御機器などのコア技術を活かし、工場自動化やIoT対応製品を開発。
- ヘルスケア分野では血圧計や呼吸器管理機器、遠隔患者モニタリングなど独自性の高い製品を展開。
- データソリューション分野では医療データ活用やDX関連サービスの強化。
6. 株価の評価
- 現在株価：4,020円
- 会社予想EPS：147.29円
- 会社予想PER：27.29倍（業界平均PER：24.2倍）
- 実績BPS：3,920.30円
- 実績PBR：1.03倍（業界平均PBR：1.6倍）
評価
- PERは業界平均よりやや割高水準。
- PBRは業界平均を下回る。
- BPSと株価を比較すると、株価はほぼ簿価水準。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：5,336円、年初来安値：3,634円
- 直近株価は4,020円で、安値圏に近い水準。
- 50日移動平均：4,290.86円、200日移動平均：5,155.98円
- 直近10日間で大きく下落し、移動平均を大きく下回る展開。
- モメンタムは弱含み。
8. 財務諸表分析
売上・利益推移（百万円）
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | 営業利益率 | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025/3期 | 801,753 | 54,038 | 16,271 | 6.7% | 2.09% | 56.7% |
| 2024/3期 | 818,761 | 34,342 | 8,105 | 4.2% | 2.09% | 58.1% |
| 2023/3期 | 876,082 | 98,409 | 73,861 | 11.2% | — | — |
| 2022/3期 | 762,927 | 86,714 | 61,400 | 11.4% | — | — |
| 2021/3期 | 655,529 | 65,089 | 43,307 | 9.9% | — | — |
- 2024/3期は売上・利益ともに減少したが、2025/3期は営業利益・純利益ともに大幅増益。
- ROE・ROAは低水準。
- 自己資本比率は高く、財務健全性は良好。
- 営業キャッシュフロー・フリーキャッシュフローともに黒字。
9. 株主還元と配当方針
- 2024年・2025年ともに年間配当104円（配当利回り2.59%）。
- 配当性向は125.86%と高め（利益水準の低下により一時的に高くなっている）。
- 自社株買いも実施（自己株式保有比率4.28%）。
- 5年平均配当利回りは1.37%で、近年は還元強化傾向。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近1年で株価は大きく下落（52週変化率：-30.21%）。
- 出来高は増加傾向、信用買残もやや減少。
- 構造改革や米国関税政策など外部要因への注目度が高い。
11. 総評
オムロンは制御機器を中心に産業オートメーション、ヘルスケア、社会インフラ分野で幅広く事業を展開する大手企業です。直近はFA市場や中国市場の減速、米国関税政策の影響などで売上が減少したものの、構造改革の効果で利益は回復傾向にあります。財務体質は健全で、安定した配当政策を継続していますが、株価は低迷し、直近の業績水準に対してPERはやや高め、PBRは割安圏です。今後は構造改革の進捗やグローバル市場の需要回復、DX・ヘルスケア事業の成長が注目されます。
本レポートは情報提供を目的とし、投資判断を推奨するものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 6645 |
| 企業名 | オムロン |
| URL | http://www.omron.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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