1. 企業情報

新光電気工業株式会社は、半導体パッケージやリードフレームの開発・製造・販売を主力とする富士通系の大手メーカーです。主な製品はプラスチックパッケージ、メタルパッケージ、リードフレーム、ヒートスプレッダー、セラミック静電チャックなどで、主に海外(売上比率87%)の大手半導体メーカー(インテル等)へ供給しています。産業用途としては、コンピュータ・ネットワーキング、モバイル、産業・IoT、自動車分野など多岐にわたります。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 競争優位性: 世界的な半導体パッケージメーカーとして、特にインテルなど大手顧客への供給実績が強みです。富士通グループの一員であり、技術力・信頼性が評価されています。
  • 課題: 半導体市況の変動やAI向け需要の拡大などで市場が二極化。フリップチップタイプパッケージの需要回復の遅れやPC向け競争激化が収益に影響しています。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・戦略: 公式な中期経営計画の記載はありませんが、AI関連や半導体製造装置向けの需要拡大を成長ドライバーと位置づけています。
  • 重点分野:
    • AI向け半導体パッケージ
    • IC組立(ハイエンドスマートフォン等)
    • 半導体製造装置向けセラミック静電チャック
    • サーバー向けCPU用ヒートスプレッダー
  • 施策: 製品ポートフォリオの多様化、先端技術への対応強化、グローバル展開の推進。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル: 半導体パッケージの受託製造が主で、顧客の多様化や技術革新により一定の需要が見込まれます。
  • 市場変化への適応力: AIや自動車、産業用途など新分野への対応力があり、サプライチェーンの変化にも柔軟に対応しています。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発: フリップチップ、プラスチックBGA、2.3Dパッケージ、光チップレットなど先端パッケージ技術を有します。
  • 主力製品:
    • プラスチックパッケージ(売上高構成比61%)
    • メタルパッケージ(35%)
    • セラミック静電チャック、ヒートスプレッダー
  • 独自性: AIやサーバー向け高性能パッケージ、半導体製造装置用部品など高付加価値分野に強み。

6. 株価の評価

  • BPS(実績): 2,097.30円
  • PBR(実績): 2.81倍(業界平均1.6倍より高い)
  • EPS(実績): 132.16円
  • PER: 未記載(参考:業界平均24.2倍)
  • 株価(2025/5/9終値): 5,900円
  • 評価: PBRは業界平均より高く、株価はBPSの約2.8倍水準。直近の業績低下を踏まえると、やや割高感も見受けられます。

7. テクニカル分析

  • 株価推移: 直近10日間は5,900円前後で小動き。年初来高値10,495円、安値5,685円。
  • 移動平均: 50日移動平均6,206円、200日移動平均5,757円。
  • 現状: 株価は年初来安値圏にあり、50日移動平均を下回っています。出来高もやや減少傾向。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 215,022百万円(前年比+2.4%)
  • 営業利益: 25,354百万円(+2.2%)
  • 純利益: 17,875百万円(-3.9%)
  • ROE: 6.52%
  • ROA: 4.01%
  • 自己資本比率: 71.4%(高水準)
  • キャッシュフロー: 営業CFはプラス(48.26B)、フリーCFはマイナス(-14.21B、設備投資負担増が要因)
  • 傾向: 2023年3月期以降、売上・利益とも減少傾向。2022年がピークで、その後半導体市況の調整影響を受けています。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当実績: 2024年3月期は25円配当、2025年3月期は無配。
  • 配当性向: 0%(2025年3月期)
  • 自社株買い: 自己株式保有はごく僅か。
  • 方針: 直近は配当停止。今後の配当方針は未定。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価モメンタム: 直近は横ばい~やや下落傾向。年初来高値から大きく下落し、安値圏で推移。
  • 投資家関心: 信用買残も減少傾向。大株主の富士通が50%保有、浮動株が少なく、流動性は限定的。
  • 影響要因: JICC-04によるTOB成立、上場廃止予定(2025年6月6日)など特殊要因が株価に影響。

11. 総評

新光電気工業は、半導体パッケージ分野で世界的な競争力を持つ企業です。AIや産業用途向けの需要拡大を追い風としつつも、半導体市況の調整や競争激化の影響で直近の業績は減速傾向です。財務基盤は強固で自己資本比率も高い一方、2025年3月期は配当停止を決定し、株主還元姿勢は慎重です。株価は年初来安値圏で推移し、直近ではTOB・上場廃止が決定しているため、通常の投資判断とは異なる特殊な状況にあります。今後の業績や株主還元方針については、非上場化後の動向に注目が集まります。


企業情報

銘柄コード 6967
企業名 新光電気工業
URL https://www.shinko.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

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By シャーロット

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