1. 企業情報
- 企業名: マネックスグループ株式会社
- 事業内容: マネックスグループは、ネット証券を中心とした金融サービスをグローバルに展開しています。主な事業は日本・米国・中国・オーストラリアでのオンライン証券取引、資産運用、M&Aアドバイザリー、暗号資産（仮想通貨）取引（子会社コインチェック）、投資教育、SaaS型マーケティングツール開発、医療・ヘルスケアデータの利活用など多岐にわたります。2024年1月には国内証券事業をNTTドコモに売却し、事業ポートフォリオの再編を進めています。
- 設立: 2004年8月2日
- 本社: 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル
- 従業員数: 1,073人
- 代表者: 清明 祐子
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 日本のネット証券大手の一角であり、米国やアジアにも展開。国内証券事業売却後は、米国証券事業と暗号資産事業（コインチェック）が収益の柱となっています。
- 競争優位性・課題: ・暗号資産事業に強み（コインチェック）
・グローバル展開による多様な収益源
・ネット証券事業の国内競争激化、事業再編による収益構造の変化
・暗号資産市場のボラティリティや規制リスク
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣のビジョン・戦略: ・「新しい金融の形を創造する」ことを掲げ、デジタル金融領域での成長を目指す
・国内証券事業売却で得た資金を、成長分野（暗号資産、米国証券、投資事業等）へ再投資
– 中期経営計画の施策: ・暗号資産事業の拡大（コインチェックの上場、Web3領域強化）
・米国証券事業のDARTS（取引件数）増加による収益強化
・投資事業（ベンチャー投資等）の拡充
※中期経営計画の詳細な数値目標等は未開示
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: ・受入手数料（41%）、トレーディング損益（13%）、金融収益（39%）、その他（8%）
・暗号資産、米国証券、投資事業の3本柱
– 市場ニーズへの適応力: ・事業ポートフォリオの柔軟な見直し（国内証券事業売却、暗号資産事業強化）
・デジタル金融・Web3分野への積極投資
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向・独自性: ・暗号資産取引所「コインチェック」の運営
・SaaS型マーケティングツール「ChatBook」の開発
・Web3、ブロックチェーン技術の活用
– 主力収益製品・サービス: ・コインチェック（暗号資産取引所）
・米国証券取引サービス
・各種金融商品・投資信託
6. 株価の評価
- PBR（実績）: 1.44倍（業界平均1.0倍より高い水準）
- BPS（実績）: 490.65円
- 株価/BPS比較: 709円 ÷ 490.65円 ≒ 1.44倍（PBRと一致）
- PER: 業績予想未開示のため算出不可
- 配当利回り: 5.67%（予想）
7. テクニカル分析
- 株価推移: ・年初来高値: 995円、年初来安値: 557円
・直近株価: 709円（2025/5/9終値）
・50日移動平均: 707.04円、200日移動平均: 781.55円
– 現在値の位置: ・50日移動平均線付近、200日線より下
・年初来安値圏からは回復傾向だが、年初来高値からは大きく下落した水準
8. 財務諸表分析
- 売上高: 73,814百万円（2025年3月期、前年比+12.3%）
- 営業利益: 34,070百万円（2025年3月期）
- 純利益: △7,197百万円（2025年3月期、赤字転落）
- ROE: 27.05%（過去実績）、直近はマイナス
- ROA: -1.09%（直近）
- 自己資本比率: 17.3%（やや低め）
- 営業CF: 13,300百万円（2025年3月期、プラス）
- 利益推移: ・2023年3月期: 3,392百万円
・2024年3月期: 31,293百万円
・2025年3月期: △7,197百万円（赤字）
– セグメント別: ・米国事業が堅調、クリプトアセット事業が大幅赤字
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り: 5.67%（会社予想、特別配当含む）
- 配当性向: 118.13%（利益に対して高い水準、特別配当含む）
- 自社株買い: 自己株式保有比率0.53%（大きな自社株買いは見られない）
- 配当方針: ・特別配当を含む増配実施（事業売却益を原資とした特別配当）
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向: ・直近1年で年初来高値995円から下落し、709円付近で推移
・出来高は安定しており、信用買い残が増加傾向（信用倍率13.48倍）
– 投資家関心: ・高配当利回りや暗号資産事業への期待
・一方で、事業再編・収益構造の変化への警戒感も
11. 総評
- マネックスグループは、国内証券事業の売却により事業ポートフォリオを大きく転換し、米国証券・暗号資産事業を軸とした成長戦略を推進しています。暗号資産事業の収益変動が大きく、直近ではクリプトアセット事業の赤字が全体業績を圧迫しています。一方で、米国証券事業は堅調です。株価は年初来高値から大きく下落し、配当利回りは高水準を維持していますが、特別配当を含むため今後の安定性には注意が必要です。財務面では自己資本比率がやや低く、利益の変動も大きいため、今後の事業成長と収益安定化が課題となります。
企業情報
| 銘柄コード | 8698 |
| 企業名 | マネックスグループ |
| URL | http://www.monexgroup.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 金融（除く銀行） – 証券、商品先物取引業 |
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